(4) プランクトンの異常発生(項目番号:物循−4)
(A) 調査趣旨
赤潮に代表されるプランクトンの異常発生は、海湾の富栄養化の度合いを示す重要な項目として、従来のモニタリングでも考慮されている。また、透明度のデータと同様に海湾の基礎生産の観点から基礎生産の異常性を評価する項目となる。
(B) 使用データ
赤潮発生件数のデータは各自治体の水産部局で整理しているはずであり、これらの組織から入手可能であると考えられる。またそれ以外でも主な海湾であれば環境省発行の環境白書等に整理されていることがあるので、これらから入手する。
(C) 調査手法
整理する項目は赤潮発生件数および赤潮発生のべ日数とする。
(D) 調査結果の評価手法
「海の健康度」の評価基準は以下のよう設定する。
赤潮が発生していないこと。
(E) 調査結果の事例
赤潮発生の推移を検討するために図II-19には赤潮発生件数の推移を、図II-20には赤潮発生のべ日数の推移を示した。その結果、発生件数でみると東京湾では横ばいもしくは微増であり、伊勢湾・大阪湾・周防灘では減少傾向にある。しかしながら有明海では近年増加傾向であった。
延べ日数を合わせてみると、伊勢湾では件数は減少しているのにも関わらず、延べ日数はあまり変化していない。これは赤潮減少の長期化を示している。また、有明海では延べ日数も件数同様に増加している傾向にある。
(F) 注意点
赤潮発生件数やのべ日数の調査は、各自治体で独自の方法により行われている。そのため、各海湾の情報を横並びに評価することは難しく、あくまで、その海湾におけるトレンドとして評価を行う。
(拡大画面: 294 KB)
図II-19 各海湾における赤潮発生件数の推移
【データ出典】
東京湾、伊勢湾: 「第5次水質総量規制のあり方について」、環境庁ホームページ
大阪湾、周防灘: 「瀬戸内海の赤潮」、水産庁瀬戸内海漁業調整事務所
有明海: 「第1回第三者委員会資料」、水産庁増殖推進部漁業資源課
(拡大画面: 165 KB)
図II-20 赤潮発生のべ日数の推移
【データ出典】
東京湾、伊勢湾: 「第5次水質総量規制のあり方について」、環境庁ホームページ
有明海: 「第1回第三者委員会資料」、水産庁増殖推進部漁業資源課