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第1章 調査研究の概要
1.事業の目的 
 海上安全への対応は海上交通の国際的性格上、国内だけでは推進できるものではなく、国際協調が不可欠であり常に国際的動向に注目して、これらを斟酌し官民一体となって対応する必要がある。
 従って、平成13年度もIMO(国際海事機関)のMSC(海上安全委員会)、NAV(航行安全小委員会)、COMSAR(無線通信・捜索救助小委員会)等に対して、積極的に参画を図り、アドバイザーとして、わが国代表を補佐するとともに、わが国の適切な対策の立案に寄与し、海上安全及び海洋環境保全の推進に資することを目的とする。
2.事業の遂行に関する計画
(1) 事業計画の内容
 海上交通の国際的性格上、海上安全の確保及び海難防止の問題については、常に国際的動向に注目して、これらを斟酌する必要がある。
 近年頻発する海賊被害への対策が国際的緊急課題となっており、昨年のMSCにおいては「海賊及び武装強盗の調査、捜査及び処罰に関するコード」が起草、審議された。今後これがどのように運用され、更に各国において施行されていくのか注目されるところである。
 平成10年のMSCにおいて、マラッカ・シンガポール海峡の新分離通航制度及び強制船位通報制度が採択され、運用が開始されているところである。同海峡は、多数の日本向け船舶が通航しており、これらの制度が実際上適切に運用されているか、また改正の動向等に常に注目していく必要がある。また、1994年に北欧で発生し、多数の死者を出したRORO船「エストニア」の海難を契機とした「ROROフェリーの安全性」に関する検討、1997年に日本海で発生したナホトカ号、1999年フランスカスケー沖で発生したErika号の両タンカー沈没事故を契機としたシングルハルタンカーのフェーズアウトその他の安全対策が検討されている。更に近年のエレクトロニクスの発達により開発されたGMDSS、VDR、AIS、ECDIS等の性能基準等の審議も行われている。
 また、高速船、WIGクラフト等の発達により、現在の国際衝突予防規則では十分に対応できないという問題点が指摘されており、今後、同規則改正をめぐる重要な審議も行われることになっている。
 そこで、先進海運国であるわが国としては、積極的にこれらの検討に参画する必要があることから、これら航行安全海難防止関連事項を中心に各国の動向を調査するとともに、IMO関連会議に調査員を派遣し、当協会ロンドン連絡事務所との協力のもとこれら会合におけるわが国の対応に寄与する。
 
a 調査項目
(a) MSC、NAV及びCOMSARに関する資料の収集及び解析
(b) COLREG、SOLAS条約、SAR条約等の海難防止関係規則、条約に関連する資料の収集及び解析、並びにIMO会議における動向調査
(c) 海外における海難防止に関する事例の資料の収集及び解析
 
b 調査方法
(a) 学識経験者、関係団体、関係官庁等で構成する委員会を開催してわが国における問題点、IMOに提出された諸外国の提案文書の問題点を調査し、対処方針等を検討する。
(b) 当協会ロンドン連絡事務所との連係のもとに各国の関連情報を収集し、解析、検討する。
(c) IMO会議への出席
 IMO会議に調査員を派遣、出席させ、わが国代表を補佐し、関連作業部会等に出席して国際的動向を把握するとともに、わが国の意見の反映を図る。
イ 第74回MSC(平成13年5月30日〜6月8日)
 (イ) 場 所: ロンドン
 (ロ) 開催回数: 1回
 (ハ) 人 員: 1名
ロ 第47回NAV(平成13年7月2日〜6日開催)
 (イ) 場 所: ロンドン
 (ロ) 開催回数: 1回
 (ハ) 人 員: 1回
ハ 第6回COMSAR(平成14年2月18日〜22日開催)
 (イ) 場 所: ロンドン
 (ロ) 開催回数: 1回
 (ハ) 人 員: 1名
 
c 報告書の作成
 (a) 題 名: 平成13年度海事の国際的動向に関する調査研究=海難防止=
 (b) 規 格: 本編 A4判 60頁
      : 資料編 A4判 160頁
 (c) 数 量: 本編 100部
      : 資料編 100部
 (d) 内 容 : MSC、NAV及びCOMSARの審議状況並びに本委員会内容
 (e) 配布先: 委員、関係官庁及び関係団体等
(2) 実施の方法
 (社)日本海難防止協会に「委員会」を設置して実施する。
(3) 事業の実施の予定表
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(4) 事業成果の公表の方法
 この事業は、日本財団の助成金を受けて実施した旨を明示するとともに、報道機関、機関誌等を通じて、一般に公表し、機会あるごとに利用者、関係者に対して周知徹底させる。
(5) 事業の開始及び 完了の時期
     開 始 平成13年 4月 1日
     完 了 平成14年 3月31日








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