3)三郷衝撃吸収性試験
[1]目的
新たに試作した膨張式ネックガードについて、衝撃を加えその衝撃吸収性能を測定し、減衰効果を分析し、防護効果の基礎データを得る。
[2]状況
(1)日程
平成13年12月13日 気温:8℃
(2)場所
全国モーターボート競走会連合会 技術研究所
(3)人員
全モ連(技術指導): |
藤井、原 |
マリンスポーツ財団: |
野口、松田、梅田 |
田辺ポーグ: |
井上、元木、宮内、田辺 |
東洋物産: |
小菅 |
オブザーバー: |
ヤマト発動機大沢、加藤 |
(1)落錘衝撃吸収性試験
・方法
別紙添付による衝撃吸収性試験装置でネックガードの衝撃吸収性を比較測定する。
・試験機設定
落錘重さ:20kg 落下高さ:80cm
・試験片
衝撃吸収材構成 (大きさ20cm×20cm厚さ)
ネックガード試験片のみの落錘試験を除き、次の救命胴衣の硬質防護材を加えて試験した。
a.FRP板
b.ポリプロピレン:(PP300)
c.ポリエステレン発泡シート:(S−3000)
・ネックガード試験片(2種 幅:20cm 気室エアー圧:58mm−Hg)
Aタイプ |
10.3cm径 |
Bタイプ |
15.1cm径 |
・測定項目 重量物加速度(動歪式計、加速度波形記録)
(2)ダミー(人間模型)による衝撃吸収性試験
・方法
ワイヤーで吊り下げた艇を振り上げて、ダミーに衝撃を加え、ネックガード等による衝撃吸収性を比較測定する。
衝撃位置はヘルメットの顎ガード位置で、ダミーの顔面方向のフロント側及び顔面側面側のサイド側に衝撃を加える。
・試験装置
重量物:実艇の振り子式衝撃(競走用1P約182kg、9.3km/h(計算値))
ダミー:人間模型ダミー(頭部内に動歪式加速度計装着)セーフティージャケット及びヘルメット装着
・試験ネックガード
(2種) エアー圧:58mm−Hg
品名 |
フロント径(cm) |
サイド径(cm) |
4次試作ネックガード
(No1,No2)2個 |
10.0 |
15.3 |
3次 〃 |
20.3 |
11.2 |
・測定項目
ダミー頭部の加速度2軸(加速度波形記録)、ビデオ撮影
・変更項目
衝撃点位置:前部(フロント)及び側部(サイド)
(3)その他の器具
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a. |
カメラ |
マリス、田辺ボーグ(株) |
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b. |
ビデオ |
2台(マリス2台) |
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c. |
気室圧力計 |
東洋物産より借用 |
[3]試験結果
(1)落錘吸収性試験結果
試験結果を表1に示す。この表1の平均値を示す簡易な表を表3に示す。
この結果、重量落下物頭部の衝撃加速度値で比較し、ネックガード無し(FRP板と発泡体付き、62G)に対し、Aタイプ(約10cm径)のネックガードは3 5.1Gで43%、Bタイプ(約15cm径)で22.9Gで63%の減少で、ネックガード径の大きい方が衝撃減少率は大きくなる。
衝撃吸収材が無くとも(FRP板および発泡体無し、15cm径)55%の減少があった。
この試験での、80cmの高さから20kgの物体落下の衝撃力は比較的大きく、この試験に使用したネックガード試験片は試作したネックガードと同じ材質、同じ製造法による試験片であり、破損する事も無く、十分な強度の持つものであることが確認できた。
(2)ダミーによる衝撃吸収性試験
吊り下げ艇の重量は、182kgであり、おおよそ785ccクラスのランナバウト重量に相当する。艇の振り上げで、位置エネルギーの変化量は、高さ方向の変化量は34.4cmであり、落錘試験の衝撃値(質量×落下加速度×高さ)で比較し、計算で約4倍に相当する。衝撃時の速度は9.3km/hrで、実艇の速度よりだいぶ少ない。しかし、艇の重量やダミーの重量と頚部の硬さ等は、実際に類似したものであり、比較しやすい。
試験結果は、
表2に示す。試験は、4次試作品と3次試作品、更にネックガード無しにヘルメットに直接衝撃を加える試験を実施した。これらの平均値をまとめ比較した簡易な表を
表4に示す(平均値比較表)。
この結果ヘルメットのみの試験結果で、ダミーの受ける衝撃加速度(フロント側18.2G、サイド側38G)と比較し、ネックガードの着用時、フロント部で77%、サイド部で84%の減少が見られた。
なお、フロントとサイド側の衝撃値そのものは、ネックガード無しの場合、サイドの方が2倍大きかった。これは、若干ヘルメットの顎ガードそのものが吸収するであろうが、ダミーの据付方法による差が大きいと思われる。しかし、ネックガードをつけるとフロントとサイドの差は少なくなる。
[4]写真および図