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財団法人日本ナショナルトラストからのメッセージ
観光ボランティアガイド万歳
竹之下 久義
 名勝地や観光地へ旅した時、ホスピタリティ精神を持った地元の方から、多少の方言を取り混ぜながら、できれば実費もしくは謝礼程度の出費でその地を案内して頂けると旅の楽しさは二倍にも三倍にもふくらむ。このように虫がいいというか、夢のような話が最近になって現実的なものとなっている。この夢の請負人こそ観光ボランティアガイドだ。
 社団法人日本観光協会が平成13年初頭に発行した全国633の観光ボランティアガイド組織に関する報告書によると、この633組織のうち12%は昭和年代に設立されたのに対し、88%は平成年代に設立され、平成年代に同組織の設立ブームが始まったことを示している。特に、平成10年は1年間で80もの組織が発足した。その後も、年間70前後の組織が設立されており、ブーム状態は続いている。観光ボランティアガイド活動については、マスコミも多くを取り上げないだけに世の脚光を浴びるまでにはいたっていないが、今、静かなブームを呼んでいるのが観光ボランティアガイド活動なのである。
 今、何故観光ボランティアガイド活動が熱いのであろうか。思うに、人々の旅行形態が従前の何でも見てやろう式のものから地元の人々との触れ合いを大切にしながら一地域をじっくり楽しもうというスタイルに変化していること、高齢化社会に入って人々が生きがいを求めていること、観光は地域の知名度を高めると同時に地域経済に貢献することから地域住民や地方公共団体が観光ボランティアガイド活動を重要視するようになったことが主要因ではないだろうか。阪神・淡路大震災が人々のボランティア意欲を一気に喚起したことも底流にあろう。
 これからの旅人は旅先を選定するに際して観光ボランティアガイドの存在を確認し、観光ボランティアガイドの存在しない地域は旅する魅力がないかあるいは住民が来客を歓迎していないのだとして、このような地域への旅を回避するまでになるかもしれない。
<(財)日本ナショナルトラスト事務局長>








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