2 山崎本店酒造場倉庫(屋号 小松屋)
台帳番号93
白土町1091
概要 敷地は南北に往来する島原街道の東側に位置し、北面は小路に面する角地である。主屋は島原街道に西面して建ち、北側を上手とする。主屋主体部分は桁行9間(17.6m)、梁間4間(7.9m)、入母屋造桟瓦葺き平入で、つし二階建である。正面下手半分は桟瓦葺きで2間の下屋をおろし、正面上手は3畳の仏間を突出させる。仏間と下手下屋の間は坪庭をつくり腰板土塀で囲み、街道に面して門を開く。主屋背面は上手側に半間の縁、下手側は洗場が2間半の下屋として張出す。外壁は大壁造漆喰塗りで、軒裏は波型に塗り込め、正面下屋の軒裏は角型に塗込める。
主屋主体部分の間取りは床上部分と通り土間部分に分かれる。床上は六間取りを基本とし、正面上手に仏間、下手に葺下ろした下屋は店の間とする。下手妻面に取付く続座敷は後世の増築である。
建築年代は棟札より、弘化5年と判明した。
特徴 今回の調査で建築年代が判明した建物のなかで最も古い。敷地、主屋の規模が大きく、建物の仕上げも丁寧で、格式の高さがうかがえる。建築当初の姿をよく残しており、江戸時代の形式、特徴をあらわす貴重な遺構である。なお当家には、建物が建築された弘化5年前後に書かれた普請帳も残っており、建築資料が整っていることも評価できる。
主屋正面上手に突出する仏間は、キリスト教弾圧という歴史的背景に強く影響を受けた痕跡として、建築史的にも宗教史的にも注目すべき観点である。島原独特の特徴としても貴重である。
屋根伏図
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梁間断面図1/100
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小松屋一階平面図1/200
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小松屋二階平面図1/200
山崎本店酒造場(小松屋)