日本財団 図書館


2 調査の目的
 調査の目的は、島原市の町家を、・学術(民家史)、・文化遺産・文化財、・まちづくりの資源に活かす立場から位置づけることである。
 このためには島原市の町家の実態を学術上から知る必要がある。まず、島原市の町家に関する文献を収集した。しかし、民家史・文化財の立場からの調査研究のリポートは少ない。そこでまずは、古い民家が集中している中心市街地の町家の実測と編年研究をすることとした。つまり、民家の建築年代を測る物差を作製するのである。九州各地の民家で編年研究がなされているところはほとんどない。基礎的な調査から手掛けることとしたのである。
 調査研究を、ただそれだけで終わらしたくない。文化遺産・文化財としての位置づけや価値評価をして、要件を満たす物件は保存を図りたい。建造物に関わる文化財としては、指定文化財制度、登録文化財制度がある。また、町なみは伝統的建造物群保存地区、つまり町なみ保存の制度もある。この制度を活用して出来るだけ歴史的な民家や町なみを保存する方向で、まちづくりの資産として活用したい。
 今回の調査研究の結果を、市側もわれわれも歴史と文化を生かしたまちづくりに活用したいと考えていた。島原街道の白土町・加美町・桜町の町なみは、建造物の保存を考慮したまちづくりを進めることも考えてよい。商業活動が盛んな上の町の町なみは、別な方法を考えた方がよいだろうか。
 上記のようなことを考えながら調査にあたった。ただ、この項の最初にあげた目的の項目は大きな課題を含んでいるので、今回の調査で完了するようなものではない。結果として完了をみたのは一部に過ぎない。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION