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(2) 需要見通しと鉄道投資の方向
a) 需要見通し
 鉄軌道事業者アンケートから取りまとめた主な意見は、以下のとおりである。
※(  )内の数字は回答の得られた事業者数
○マイナスの見通し
・ 人口減少・少子高齢化等の社会構造の変化により、需要は減少する。(3)
・ 景気低迷、雇用調整等循環的な要因により、需要は減少する。(3)
・ 沿線プロジェクトの遅延、既存集客施設の減少等により、需要は減少する。(3)
・ 沿線各市、及び既存ニュータウンの人口減少、少子高齢化により需要は減少する。(3)
・ 他事業者の新駅設置、新線開業等により自社旅客の流出が懸念される。(2)
・ ローカル線においては、鉄道経営が難しい水準まで落ち込むことが予想される。(1)
・ 人口減少、IT化等情報技術の進化による人の移動そのものの減少が予想される。(1)
・ 大幅な輸送需要の回復は見込めず、今後、10年間(中期的)は減少傾向。(2)
 
○プラスの見通し
・ 延伸線は、他鉄道と有機的に結節することにより、広域的なネットワークの拡充が図られることから利用増が見込まれる。(2)
・ 沿線で住宅開発、都市開発等が進展している地域もあり、需要増に繋がる僅かな兆しがある。(3)
・ 都心への人口回帰など若干のプラス要因がある。(1)
・ 積極的な旅客誘致の実施などの営業努力により減少率は小さくなっていく。(1)
・ 新たな多様化するニーズ(バリアフリー、地球環境問題の解決、高齢化社会への適応など)も考えられることから、公共交通への依存度が高くなり、長期的には微増傾向になるのではないかと考える。(1)
 
 事業者ヒアリングによる需要喚起策を含めた今後の対応としては、次のとおりである。
・ 企画乗車券の販売、周辺地域でのイベントとのタイアップ等による需要喚起
・ 開発地に積極的な企業誘致を図る
・ ダイヤ改正等による利便性の向上
・ 沿線開発地でのマンション建設等による旅客需要誘致
・ スルッと関西、Jスルーとの連携、ICカード化等によるソフト面でのネットワーク強化 (乗換抵抗の軽減)
・ 交流人口の増加を対象にした取り組み強化
・ 駅施設の魅力向上(公共施設の併設など)
・ 駅までのアクセス交通の改善(駐車・駐輪場の設置、バス優先レーンの設置等)
 
 
b) 投資計画
 事業者アンケートからとりまとめた平成13年度以降(13年度含む)の投資額は、駅施設改良、バリアフリー対策等の割合が高くなっている。
表 3-10-1 投資計画一覧
(拡大画面: 99 KB)
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※京阪奈新線、関西空港連絡線に伴う交差化事業
※事業期間などを元に、13年度以降の事業費を算定
※該当事業者数計は、延べ数
 
 事業者ヒアリングから得られた投資計画の大きな方向性としては、次の4点が挙げられる。
 
駅務機器の更新
バリアフリー化
ソフト面でのネットワーク構築(ICカード、スルッとKANSAI、Jスルーとの連携)
駅施設の集客機能強化
 
 輸送需要の落ち込みが予想される中では、多大な資金を要する輸送力増強より、既存施設を有効に活用(改良)し、利用しやすさを追求したサービス向上に重点をおくことが重要と考えられている。








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