日本財団 図書館


3.6 取扱説明ツールの内部仕様
(1) ファイルの種類
舶用エンジンの取扱説明ツールを構成するファイルは以下のとおりである。
表3 ファイル構成
形式 解説
DTD XMLの文書構造を定義する定義ファイル
本取扱説明ツールは3つのDTDから構成されている。
[1]diagnosis.dtd(故障探求用DTD)
[2]card.dtd(事例・作業・交換・処置カード用DTD)
[3]parts.dtd(パーツリスト用DTD)
XML XML文書コンテンツ
XSL XML用スタイル
JS Javascriptファイル
HTML フレーム用ファイル
ナビゲーションファイル
CSS HTML用スタイル
GIF 画像ファイル
JPG 画像ファイル
PDF PDFファイル
BPG MPEGムービーデータ
 
(2) 主要ファイルの関連性
z1119_02.jpg
図3 主要ファイル間の関連性
 
4 調査研究の成果
4.1 まとめ(本年度開発モデルに対するユーザ評価)
 本調査研究では、取扱説明ツールの機能試験の一環として、実際のツールのユーザと成り得る船社・船舶管理会社のSI(外航SI:2名、内航SI:1名)にトライアル試用をお願いし、評価を行った。
 上記から得られた結果は、概ね以下のとおりである。
・不満足さの指摘では、取扱説明ツール全体に対するものとして「全体的に文章が多い。もっとビジュアルな内容が良い」、「動きが遅く、次に何処へ行くか分かり難い」が多かった。
・取扱説明ツールの内容・様式評価を機能別で見ると、「異常時の原因と対策」への評価が高く、「保守点検要領」は中程度、「パーツリスト」、「オーダ機能」へが低い結果となった。
・これらは評価というよりも、むしろ“期待”と捉えるべきである。「異常時の原因と対策」および「保守点検要領」は、そのコンテンツを作成する側のエンジンメーカとしては、相応の工数やノウハウが求められる。すなわち高い付加価値を有するところとなり、ビジネス上の有効ツールとすることが期待できる。
・取扱説明ツールの機能別評価の中で、もっとも低かったのが「オーダ機能」であった。現状のSIとメーカ(代理店含む)間のビジネス形態においては、ネットから部品をワンクリックで発注するようなケースはほとんど発生しないのが実態である。
・最近のe−マーケットプレイス・ブームにのって舶用品調達サイトも出てきており、上記の用途に限れば認知度や利用度も上がっていくものと予想されるが、メーカにとって重要なポイントは、これらe−マーケットプレイスと同じレベルで単に“部品が買えます”のみ提供しても駄目であることである。他の高い付加価値のメニューをもってユーザをネット上に誘引し、さらに囲い込み、その一連の締めくくりとして「発注機能」が必要なのである。
・インターネットWebを通じた情報交換の大きなメリットは、インターネットに接続できる情報機器(パソコン、PDA、携帯電話等)さえあれば、常に最新の情報にアクセスできる点にある。本ツールも、そのようなメリットを最大限に活用せよとの指摘が多くあった。
4.2 今後の課題
 本調査研究において開発に取り組んだ「舶用エンジンの取扱説明ツール」は、[1]保守点検要領、[2]異常時の原因と対策、[3]パーツリスト、[4]問合せ、の各機能の実装を行うことができた。
 しかし、一方でコンテンツ・機能の個々の内容に対する不十分さの指摘も少なくなく、またツールが本来備えるべき機能(運転要領、分解組立要領等)の実装も残されている。
 
1) マルチメディア情報コンテンツの拡張
 現段階では多くのダミーデータが含まれているため、実運用化に備えて可能な限り実データの入力を行う。
 また、マルチメディア情報コンテンツについて、静止画像や動画像の活用はpoorなネットワーク環境においては必ずしも有効ではなく、ネットワーク利用に相応しい、例えばアニメーション等による“軽い”マルチメディアの研究も行い、その有効性等を検証する。
2) 検索機能の拡張(全文検索等)
 事故情報から対処方法を検索(“事例検索”)できる等、高度な検索機能を備えた効率的なシステム操作が実現される必要がある。
 実際のユーザからの要望を聞きながら、本ツールの既存の検索機能の見直しを図ると共に、上記の検索ニーズに応える方策として全文検索機能の追加等を行う。
3) 情報の双方向性(ユーザ情報の識別等)への対応
 本ツールの意図するところは、単なる紙の機器マニュアルをそのままの利用形態で電子化するのではなく、船社サイドと舶用メーカ間の情報交換に繋げるためのツールとなることを目指している。
 そのためには、本ツールを介して一方的に常に同じ情報コンテンツの提供を行うのではなく、そのユーザに適した情報の切り分けや、ユーザからの入力、ユーザカスタマイズを受け付ける双方向性を持つことが不可欠である。引き続き、当該機能についての研究も行う。
4) コンテンツ作成支援機能の追加
 本ツールはユーザ(主として船社サイド)に対して簡易なユーザインタフェースを提供することは当然であるが、一方で舶用メーカサイドについても、情報コンテンツの掲載を簡易にかつ迅速に行える機能をもたせることが必要である。本機能はいわゆる“ビルダー”、“エディタ”的な機能であり、拡張機能として検討を行っていく。
以上








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION