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4.試験結果
4.1 「Aバーナ」試験結果
 図5に、本開発品における負荷と排ガス中のO2濃度との関係を示す。図中の破線は弊社製A1バーナの負荷一O2曲線を、また実線は、弊社製A2バーナおよび本開発品(A3バーナ)の負荷一O2曲線を示している。実線のほうが破線より下側に位置しているが、これは、低空気比燃焼を実現するために設定されたものである。燃焼試験は、図中●の条件で行っており、各条件におけるCOは100ppm以下、バカラックスモークナンバは3以下であり、火炎安定も良好であった。
 図6に、上記条件における火炎長さと火炎径を実測した結果を示す。図中2本の実線は、火炎長さ、火炎径の予測曲線である。負荷60%以上でほぼ火炎長さは一定(3.7m)となっている。これは、燃焼量の増加に伴い、空気流速も増加することによって、乱流混合が活発になるためであると予測される。燃焼試験の結果、火炎長さ、火炎径ともに予測値とほぼ同等であった。これらのことから、最小負荷および中間負荷に対しては、目標性能をほぼ達成したと考えられる。最大負荷に対しては、本テスト設備では燃焼不可能なため実施していない。
4.2 「Bバーナ」試験結果
 図7、8に、ガス比率と、火炎長さおよび火炎径の関係を示す。●はB1バーナ(弊社標準品)、▲は本開発品の結果を示す。火炎長さについては、B1では、ガス比率が約50%で最大値(4m)を示すが、本開発品では、ガス比率が大きくなるとわずかに短くなる傾向にある。ガス比率45%付近においては、約1mの差が見られる。これは、ガスの吹き出し方向を分散させたことで、ガスと空気の混合が活発になったこと、および、ガススポーク本数を減らしたことで、油火炎が空気と混合しやすくなったことに起因するものと考えられる。
 一方、火炎径については、ガス比率が大きくなると、わずかに減少する傾向にあり、両者の差はほとんど見られない。
 
5.まとめ
5.1 成果
 舶用大型ボイラ用バーナの高性能化について、調査研究を行った結果、次の事項が明らかとなった。
(1)「Aバーナ」については、「シンプルな構造・制御」に変更しながらも、高TDR(15:1)および低空気比燃焼(MCR時)が実現できることが分かった。
(2)「Bバーナ」については、「ガスノズルの形状や配置」を考慮することによって、火炎長さを短くできる可能性があることが明らかとなった。
5.2 今後の課題
 今後、本調査結果をもとに実用化に向けて開発を行いたい。以下に今後の開発に向けての課題を示す。
(1)「Aバーナ」については、シリーズ化に向けて相似設計を行い、性能の妥当性を確認する。
(2)「Bバーナ」については、引き続き「ガスノズルの形状や配置」について試験を行い短炎化を追求する。また、上記「Aバーナ」調査研究で得られた結果をもとに、「シンプルな構造・制御」としながら「高TDRおよび低空気比燃焼」について改良する。
 
表1 舶用大型補助ボイラ用バーナ性能調査結果
(拡大画面: 171 KB)
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表2 舶用大型主ボイラ用ガス油混焼バーナ性能調査結果
(拡大画面: 169 KB)
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