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タンク液面及び喫水パージヘッダーレスエアパージ計測システム
株式会社宇津木計器
1.調査研究の目的
 近年、内航船の近代化が囁かれる中、その近代化の一項目であるバラストコントロールシステムは、設置スペースの面で装備が難関とされていた。
 機側機器である液面・喫水検出器においては、省スペース、コスト面共に内航船用としてはユーザーに十分満足のされるものではなく、特に設置スペースに制約を受けるこれらの船では同システムの装備を断念せざるを得ないこともあった。
 この設置スペース等の課題を解消するための方策として、比較的安価といわれるエアパージ方式を採用し、機側部に設置されるパージヘッダーを省き、集中エアー制御することにより、機側の省スペース化及びメンテナンスの向上を図ることが可能となる。
 しかし、遠隔でエアーをコントロールするには伝送配管などの径及び配管距離による管路抵抗などの影響が大きくなるために、計測が正確に行えないという課題がある。
 このために、本調査研究では、管路抵抗による圧力損失、圧力変動による流量特性、環境変化による特性変化の流体工学的要素の調査、解析を行い、従来品に比して、安価で正確に安定した計測が可能な省スペース型バラストコントロールシステムの実用化を目的に実施した。
2.実施経過
2.1 実施項目
 計画の内容
 本調査研究は、流体工学的要素を解析し計算値を含む実証実験にて確認を行い、その結果により適切なパージエアー制御方法を決定し、試作機にて全体システムとしての実証実験を行い、製品化が可能であるかを検討する為、下記のとおり実施した。
 
[1] 圧力変動及び流量特性の相関関係の実証試験
 流体工学的要素であるところの圧力変動及び流量特性の相関関係を擬似試験装置にて実証実験を行い計算値を交えて解析を行った。
[2] 各ユニットの設計
 [1]項の解析結果に基づいてパージエアー制御方法を決定し、各ユニットの設計を行った。
[3] 各ユニットの製作
 [2]項の設計に基づいて、各ユニットを試作した。
[4] 各ユニットの単独性能試験
 各ユニットの機能に応じた性能試験を行った。
[5] システム全体の性能試験
 システム全体を組合わせ、実測定と同様な状態にて性能試験を行った。
[6] 各ユニットの耐久試験
 各目的及び設置環境に応じた各ユニットの耐久試験を行った。
[7] とりまとめ及び報告書の作成
 上記の調査研究結果をとりまとめ、報告書を作成した。
2.2 実施期間
 開始:平成12年4月1日
 終了:平成13年1月25日
2.3 実施場所
 宇津木計器 本社内
 参考: 既存のエアパージ方式と今回の調査研究を行うエアパージ方式の違い。エアパージ方式による液位計測は、空気を用いて液位(水頭圧)を計測する物で、空気を計測対象先底部にまで設置したパイプを通じで供給し、やがて先端より水頭圧以上になった圧縮空気がもれ始める。その時の空気圧を液位として計測する物です。
 既存のエアパージ方式(図A)は計測対象先付近にパージヘッダを設けている。
 この為、先に挙げた(調査研究の目的)様に、設置スペースの問題・メンテナンス性・艤装コストなどの制約を受ける。
 しかし、計測対象先との距離が短い為に圧力損失などの影響がごくわずかである為に正確な計測が行える。
 今回の調査研究対象のエアパージ方式(図B)は、パージヘッダを省き、その機能をユニット化する事で、先に挙げた事が可能となる。








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