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III 愛媛県野村町の集落の現状と集落対策
1 野村町の概況
(1)位置等
・野村町は、愛媛県の南西地域、東宇和郡の東部に位置し、東は柳谷村、小田町、高知県梼原町に、西は宇和町、南は城川町、広見町、三間町、北は大洲市、肱川町、河辺村にそれぞれ接し、総面積は187.60km2で、東西に細長い行政区域となっている。
・昭和30年に、旧野村町を中心に渓筋村、中筋村、貝吹村、横林村、惣川村の6ヶ町村が合併し、現在の野村町誕生、今日至っている。
 
(2)自然・地形条件等
・野村町は、四国山脈に連なる四国カルスト高原の源氏ヶ駄馬(標高1,400m)を初めとする急峻な山々に四周を囲まれている。これらの山々から県内最大の肱川が町内を東西に流れ、その支流に多数の小河川が注ぎ、複雑な地形を形成している。
・町土全域で平坦地が少なく、野村盆地に町の中枢機能が集中して市街地を形成しており、肱川とその支流域の段丘地帯に農用地と集落が散在している。
・年間平均気温14.4度、年間降水量1,900mm、無霜期間210日と農林業等にとって比較的恵まれた気象条件となっている。
・野村町の行政区域の約76.5%は森林で占められている。地目別土地利用面積は別表のとおり。
表III−1地目別土地利用面積(野村町)
(単位:ha、%)
  全体
  農用地 林野 河川等 道路 宅地 その他
面積 18,760 1,977 14,355 1,238 523 275 392
100.0 10.5 76.5 6.6 2.8 1.5 2.1
(平成12年)

(3)交通条件
・県庁所在地の松山市から車で約1時間40分、宇和島市、八幡浜市、大洲市へは30分から40分を要する。
・鉄道のない本町においては、交通手段がバス、自家用車等に限られるため、道路網の整備を積極的に推進した結果、国道197号、441号の整備が順調に進み交通時間が短縮された。これにより都市との交流活動に期待が寄せられている。
 
(4)人口・世帯数
・人口は、平成12年の国勢調査で11,093人で、うち男5,305人、女5,788人となっている。昭和35年の20,850人に比べると46.8%の減少となっており、以来減少の一途をたどっている。
・平成12年の世帯数は3,878世帯で、昭和50年(3,921世帯)以来ほぼ横ばいの傾向にある。
・年齢階層別の人口の推移は、昭和35年と平成12年の比較で、年少人口(0歳〜14歳)が7,601人から1,504人と80.2%も激減しており、逆に65歳以上の老年人口は1,626人から3,509人と2.2倍となっており、少子高齢化の現象が顕著に表れている。
表III−2年齢階層別人ロの推移(野村町)
年次 0〜14歳 15〜64歳 65歳以上 合計
  構成比   構成比   構成比
昭和35年 7,601 36.5 11,623 55.7 1,626 7.8 20,850
昭和40年 5,542 31.0 10,676 59.7 1,671 9.3 17,889
昭和45年 4,072 26.2 9,745 62.7 1,731 11.1 15,548
昭和50年 3,337 23.4 9,246 64.7 1,705 11.9 14,288
昭和55年 2,930 21.3 8,846 64.3 1,975 14.4 13,751
昭和60年 2,647 19.9 8,435 63.4 2,225 16.7 13,307
平成2年 2,220 17.7 7,693 61.5 2,595 20.7 12,508
平成7年 1,852 15.8 6,770 57.9 3,069 26.3 11,691
平成12年 1,504 13.6 6,080 54.8 3,509 31.6 11,093
(5)就業者人口
・平成12年時点の就業者数は5,665人で、割合は第1次産業26.7%、第2次産業27.7%、第3次産業45.6%となっている。
・第1次産業偏重の産業構造から、次第に生産額では第3次産業が町の主産業となってきており、既に農業は基幹産業ではなくなった。
表III−3産業別就業者数の推移(野村町)
年次 第1次 第2次 第3次 合計
  構成比   構成比   構成比
昭和35年 6,811 66.3 1,169 11.4 2,288 22.3 10,268
昭和45年 5,024 60.1 1,002 12 2,326 27.9 8,357
昭和55年 3,407 44.1 1,884 24.4 2,433 31.5 7,725
平成2年 2,328 34.1 2,048 30.1 2,426 35.8 6,804
平成7年 1,847 29.8 1,864 30.1 2,489 40.1 6,202
平成12年 1,512 26.7 1,568 27.7 2,584 45.6 5,665
(6)農業
・農家数
総農家数は、昭和40年の2,492戸から減少の一途をたどり、平成12年には1,527戸となっている。このうち、販売農家数は1,120戸となっている。
・経営耕地面積
平成12年の経営耕地面積は1,272ha、うち販売農家の経営耕地面積は1,189haとなっており、販売農家1戸当たり平均が1.06haとなっている。
・農業粗生産額
平成12年の農業粗生産額は、4,330百万円で、農家1戸当たりで2,835千円となっている。種別で見ると、酪農が1,856百万円と全体の42.9%を占めているのが特徴となっており、米は450百万円と全体の10.3%に過ぎない。
 
(7)林業
・平成12年現在、森林面積は14,355haで、うち国有林が7.1%を占め、民有林は92.9%となっている。なお、人工林率は全体の67.0%となっている。
 
(8)商業
・野村町の平成11年の小売業の状況は、商店数213店、従業員数が693人、年間販売額が95億4,300万円となっている。平成3年以降の変化を見ると、商店数及び従業員数は減少から増加へ、年間販売額は横ばいから減少へと推移している。
表III−4小売商業の状況の推移(野村町)
年次 商店数 従業者数(人) 年間販売額(百万円)
平成3年 239 785 11,603
平成6年 221 687 10,560
平成9年 201 680 11,096
平成11年 213 693 9,543
(9)工業
・従業員数は、近年大幅に減少しつづけ、平成11年には461人と平成6年(812人)との比較でも4割以上も減少している。
・製造品出荷額も、ほぼ横ばいで推移していたが、平成9年に6,030百万円、平成10年に5,887百万円、平成11年で5,276百万円と、ここ数年においては減少傾向が強まっている。
(10)観光・リゾート
・野村町への観光客数は、平成12年度で約38万人となっており、平成6年度以降、ほぼ横ばいで推移している。
・四国カルストの最西端に位置する大野ヶ原には、県内でも貴重なブナの自然林が75ha残されており、標高1,300〜1,380mにかけ分布している。
・南予の水瓶である野村ダム、シルク博物館、茅葺き民家の土居家など、豊かな自然と歴史に育まれた文化・産業が息づく魅力ある環境を有している。
・全国でも唯一のプロとアマが激突する「乙亥相撲」は、大相撲九州場所を終えた力士や地元の小中学生をなど幅広い参加のもと開催され、野村町の一大行事となっている。
表III−5観光客数の推移(野村町)
年次 6 7 8 9 10 11 12
宿泊数 206 170 206 150 134 116 118
日帰り客数等 3,826 3,841 3,705 3,888 3,822 3,609 3,658
4,032 4,011 3,911 4,038 3,956 3,725 3,776
愛媛県 東宇和郡 野村町全図
(拡大画面: 866 KB)
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