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(4)日本における排出海域の概況
1) 日本における水底土砂の海洋投入処分場所
 日本における水底土砂の海洋投入処分の場所等(平成9〜11年度、国土交通省港湾局で行ったアンケート資料より作成)は、表2−27に示すとおりである。
表2−27 アンケート調査結果による各港湾からの浚渫土砂の海洋投入処分場所等
No 平成9〜11年度の投入量
(m3
投棄前試験 処分場所 中間処理 排出方法 事後モニタリング
物理試験 科学試験 生物試験 航行/停止
1 2,517,000     沖合4km/海浜利用 なし 航行中 深浅測量により投入後の地形変化を確認
2 281,800 熱しゃく減量,乾燥減量   沖合5km,水深30m なし 航行中 深浅測量により水深チェック、水中カメラにて状況確認(毎年)
3 208,128 4項目   地先 なし 停止中 あり
4 173,400     (干潟利用) なし    
5 173,000     沖合24km,水深500m以上 なし    
6 169,550 熱しゃく減量   沖合10km,水深60m なし 航行中 工事着手前と完了後に深浅測量実施
7 135,752 単位体積重量   沖合4.3km なし 停止中  
8 102,000     沖合2km,水深35m なし 航行中  
9 85,675     沖合10km,水深800m なし 航行中  
10 84,800     沖合200m水深6m/沖合300m水深5m/沖合14.5m なし 停止中  
11 70,385     沖合2.7km,水深35m なし 停止中  
12 62,200       沖合2km なし 停止中  
13 50,750     沖合6km,水深50m なし 航行中  
14 39,050     駿河湾沖合17km/湾外 なし 航行中  
15 34,625     沖合4km なし 停止中  
16 34,520     沖合7.5km なし 停止中  
17 31,700     沖合7km なし 航行中  
18 29,970       沖合3km,水深800m なし 航行中  
19 28,860     沖合64/40km なし 停止中  
20 28,346     沖合11.5km なし 停止中  
21 26,998 熱しゃく減量   沖合11km なし    
22 26,275       なし 航行中  
23 24,440 単位体積重量,粒度組成   沖合2km,水深300m なし    
24 24,426     港内/沖合2/3km なし 停止中  
25 22,690     沖合1km,水深150m なし 停止中  
26 19,445     沖合0.6km,水深76m なし 航行中  
27 17,600     沖合14km なし    
28 17,454     沖合20km なし    
29 15,906       沖合2km,水深600m なし 停止中  
30 15,843     沖合19km,水深60m なし 停止中  
31 15,490 熱しゃく減量   沖合2km,水深16/19m なし 停止中  
32 14,664     沖合14km なし    
33 13,885 粒度組成   沖合13km なし    
34 13,615     沖合10km,水深200m なし 停止中  
35 10,852 合水率   沖合17/70km なし    
36 10,784       沖合8km なし 停止中  
37 9,350     沖合3.9km なし 停止中  
38 9,080     沖合1km,水深3m なし 航行中  
39 8,690     沖合8km なし 停止中  
40 8,210     沖合12km,水深1200m なし 停止中  
41 7,373       沖合4km,水深600m なし 停止中  
42 7,190     沖合5km なし 停止中  
43 6,832     沖合2km なし 航行中  
44 6,801       沖合1km,水深40m なし 停止中  
45 5,762       沖合12.5km なし 停止中  
46 5,630     沖合1km/海浜利用 なし 停止中  
47 5,500       (海浜利用) なし 停止中 あり
48 5,487     沖合13km,水深100m なし 停止中  
49 4,946     沖合11km,水深50m なし 停止中  
50 4,300     沖合2.0km,水深30m なし 航行中  
51 4,000       沖合26km,水深250m なし 停止中  
52 3,155       沖合3km なし 停止中  
53 3,064       沖合4km,水深40m なし 停止中  
54 3,000     沖合5.1km なし 停止中  
55 2,928     沖合16km なし    
56 2,640 熱しゃく減量   沖合10km なし    
57 2,096       沖合12km,水深70m なし 航行中  
58 1,689       沖合2km なし 停止中  
59 1,403       沖合2km なし 航行中  
60 1,205     沖合1.1km なし 停止中  
61 1,000       なし    
62 704     沖合2km,水深35m なし 航行中  
63 623     沖合10km なし    
64 550       なし    
65 527     沖合2km なし 航行中  
66 490         なし    
67 238     沖合2.5km,水深60m なし    
68 0 単位体積重量   水深20m なし    
合計 4,756,341 11 53 0        
総海洋投入処分量 6,973,825              
割合(%) 68.2              
注)*1.総海洋投入処分量は国土交通省港湾局が把握している分を示した。
 *2.空欄については回答なし。資料)国土交通省港湾局資料より作成
[1]投入処分場所
 水底土砂の処分場所は概ね沖合約10kmまでのものが多く、最も遠い場所で沖合70km(約38海里)である。これらの実績より、ほとんどの事業はさほど遠くまで水底土砂を運搬していないことがうかがえる。投入海域の水深は、浅い場所では3m程度、深い場所では1000m以深に及んでいる。
 
[2]処分前試験
 処分前試験としては、ほとんどの事業が化学試験を行っている。物理試験は11件で行われている。生物試験はいずれの事例でも実施されていない。(注:物理試験のうち粒度組成について多くのアンケートでは回答がないが、実際は浚渫にあたって底質の強度を測定する際にほとんどの例で図っていると考えられる。)
[3]事後のモニタリング
 事業者が事後のモニタリングを行っているのはおおむね3年間の海洋投入処分量が15万m3以上の事業であり、調査項目は深浅測量となっている。
2)日本周辺海域の特性
 日本の周辺海域について、各海域における流れの特性や化学的特性をまとめ、これらを水深線や廃棄物の排出海域と同一の図に示した。
[1]流れ、水温・塩分分布
 主要な湾域の流れ及び水温・塩分分布については図2−15〜17に、外海の流れ及び水温・塩分分布については図2−18〜20に示すとおりである。
 
[2]底質の化学成分
 海上保安庁による主要湾域の底質調査結果の推移は図2−21〜30に示すとおりである。
 東京湾、大阪湾では全般的に各物質に対して高い値が見られる。その他の地点では2港湾ほど高い値を示している物質や年はあまりみられず、推移の傾向としては横ばいか漸増の状態である。
 また、環境省により実施された日本周辺海域における底質調査の結果をもとに、内湾及び外海における1975〜1984年の10年間(硫化物、全水銀、ヒ素、鉛、カドミウム、全クロム、PCB、炭化水素)または5年間(銅・亜鉛・フッ素)の測定値(毎年夏季1回の測定)を平均してまとめたものは図2−31に示すとおりである。以下に、各物質の分布特性を述べる。
 PCBと炭化水素は陸域や内湾部が負荷源であり、内湾部で高い傾向にある。硫化物は、主に富栄養化によるプランクトン量と関係している。このほか人為的な影響が大きい物質としては水銀、亜鉛、カドミウム、鉛が挙げられ、これらはともに湾奥部で高い。
 外海では、東シナ海南部の測定点(D3)は全水銀、鉛、亜鉛、ヒ素が多量に検出しており、これらが本測定点を特徴付けている。また、隠岐島西方の測定点E5〜6では亜鉛、カドミウム、フッ素が高く、E5ではこのほか硫化物も高い。E1〜4は全般的に各成分とも低いが、底質の粒度組成が粗であり、かつ水深も浅いため、底層の流動と関係していると思われる。








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