解説
4.1 一般要求事項
(1)「組織」とは認証を取得しようとしている組織であり、それは全社ではなく部門としても、ISO 9001規格要求事項を自己完結(組織内部で内容を満足させている)できる形でまとめているならば可能である。
(2)前章で解説したとおり、「品質マネジメントシステム」(以下QMS)は“仕組み”ということが主体であり、その仕組みは以下に示した形をとる。実際の「確立」「文書化」「実施」および「維持」は以下を参考に理解するとよい。
(3)「品質マネジメントシステムを継続的に改善すること」は、別章「継続的改善」の項目のことを指す。
(4)QMSのプロセスに関しては、以下の事項を満足させる設定を行う。(【 】内は4.1規格内の項目を指す)
1)示された“(ISO9001が規定する)QMSのプロセス(工程:仕組み)”は、以下の規格要求事項にその基準が詳述されており、それらは適用する組織が明確にわかるよう設定しておく必要がある。【aに該当】
「4.品質マネジメントシステム」 |
:現業以外のシステム管理 (文書管理・記録管理) |
「5.経営者の責任」 |
:現業以外のシステム管理 (方針管理・責任権限等) |
「6.資源の運用管理」 |
:現業を中心とした関係資源 (人・設備・施設等) |
「7.製品実現」 |
:8.を除くすべての現業作業 |
「8.測定、分析及び改善」 |
:監視・測定・分析・是正・予防・改善・顧客満足 |
2)プロセス・工程は“時系列的”および“内容的(意味合いのつながり)”に考慮した「順序」を設定する。但し、順序が明確に示されたものが無ければ、新たに設定する必要がある。【bに該当】
3)上記2)の順序と共に、「相互関係」も考慮し、設定する。尚、相互関係は順序や関連がその手順において明確に示されていれば、特に別途相互関係を示すための手順等は不要である。【bに該当】
4)設定したプロセス・工程の中に、必要な場合、「判断基準」および「(関連)方法」を設定しておく。(判断基準等に関しては、具体的な項目において詳細を詳述する。)【cに該当】尚、判断基準は、絶対評価ができる設定が好ましいが、それが不可能ならば、評価者に対する絶対性を確保する方法(評価者の認定制度;評価者の複数チェック制等)を設定しておくことが好ましい。
5)設定したプロセス・工程の中において、使用される又は設定された「資源」および「情報」は以下の通り、内容や手順も含めて設定しておく。【dに該当】
「資源」 |
:「6.資源の運用管理」で設定され、その詳細は「7.製品実現」および「8.測定、分析及び改善」に使用資源内容や使用手順が詳述される。 |
「情報」 |
:上記資源の運用管理に関連して行われる情報伝達および交換について設定しておく。 |
6)設定したプロセス・工程に対する「監視・測定・分析」は、別章「8.測定、分析及び改善」の項目を指す。【eに該当】
7)「継続的改善を達成するために必要な処置」とは、規格中の以下の項目を指す。【fに該当】
直接的 |
処置 行為 |
「8.5.1継続的改善」「5.6マネジメントレビュー」「8.2.1顧客満足」 |
「8.2.2内部監査」「8.5.3予防処置」「8.5.2是正処置」 |
事前 設定 |
「5.3品質方針」「5.4.1品質目標」「5.4.2品質マネジメントシステムの計画」 |
間接的 |
処置 行為 |
「8.3不適合製品の管理」「8.4データの分析」 |
(5)規格では、「アウトソース」について言及されているが、「アウトソース」は“プロセス”及び“プロセスの管理”を外部委託することであるが、旧来認識されている「外注同意であり、この内容は、「7.4購買」と対象の形態が異なるだけで、管理上のプロセスにおいては同一体系となることに留意する。