〈全体会〉
(司会)只今から全体会を行います。全体会の進行は北海道里親連合会会長 広瀬清蔵がつとめます。ではお願い致します。
(広瀬)それでは全体会を始めさせていただきます。
例年の大会ですと全体会の事項は三点ですが、今回は内容をより充実させて、全国青少年里子会代表者報告を加えることになり、前回大会処理報告、里親制度の推進に対する要望事項と次期開催県の挨拶ということの四点になります。
始めに、全国青少年里子会の活動について、渥美会長からこれまでの状況についてご説明いただいた後、全国青少年里子会の代表である北海道の根本雄司君から、その活動状況を報告していただきます。
それでは渥美会長よろしくお願い致します。
(渥美)国際里親養育機構というのがあります。これは1991年、丁度10年前に里子の方々が、自分達で世界的な交流を図り頑張っていこうということで、15ヶ国位からスタートした訳であります。皆さんご承知のとおり、里親制度というのは子どもの為の制度です。しかも丁度その頃、施設が世界的に無くなって、子ども達が施設という枠の中から外へ出て、子ども自身のいろいろな主義とか主張とか、そしてお互いの交換とか、そういうことを始めた頃であります。そういった意味で子ども達のネットワークが出来上がったのであります。我が国においても、子ども達がこの数年お互いに交換するようにということでいろいろとプロモートをしていた訳ですが、今年の4月にこの北海道の組織、そして九州の組織、それにその他の方々が個別的に手を取って、この4月に全国の里子連合(Youth Care Net Work In Japan)という組織が出来ました。勿論、これはまだまだ網の目は荒っぽい訳でありますが、子ども達がお互いに手をとって親と共にいろいろと意見を出し、親の方も当然子どもの意見を聞いて、子ども達の成長を祈る。そういうことで、段々と組織が恰好をつけてまいりました。その代表に、この北海道の根本さんという方が選ばれております。少し元に戻りますが、このYouth(若者達の会)は、大体15歳から23歳、つまり里子の年齢をオーバーしたOBの里子さんも一緒になって手を繋いでいこうというふうなことでありますので、今日ご参加の各県の方々におかれても、どうかこの里子連合の組織にお手を貸していただいて、共々成長を祈ってやっていただきたいと思います。若者がこれからの日本を背負う訳であります。しかも里子の経験を持った若者が、この里親制度というものを動かすように祈って行きたいと思います。
(広瀬)渥美会長有難うございました。それでは根本さんよろしくお願い致します。
(根本)皆さん今日は、初めましてという方が多いと思いますが、私は今回、初代の里子会代表(役員)ということで皆様の前に立たせていただきました。私は第一回のオーストラリア、第三回のオランダのそれぞれの国際研修に参加させていただきました。
その中で思うのは、地球という広い世界の中に里親さんの仲間、それから里子達の仲間がいるというのを痛感いたしました。各地域で活動している里子達の仲間の話を聞いていると、里子が里親さんに口答えをする為にできた組織ではないのかと、言われたことがあります。その時にはどうやって返答をしたらいいかという質問を仲間達から受けました。そこで里子会に対しての基本的な理念が必要ではないかということで、簡単ですが6つの基本理念を掲げます。
まず一つが、里親さんと里子の間における問題を話し合い、里親と里子のより良い絆作りを推進していくこと。二つ目が、日本各地の里子が同じような境遇を持つ仲間であり、お互いを信頼し助け合えるような関係でありたい。その為にも他の地域の里子同志の交流を深めていけるよう努力をすること。三つ目、里親や先生方に反抗する為の会ではなく、里子としてより一個の人間として成長していけるよう話し合う為の会であること。四つ目、世間一般に里子というのは同情や好奇の目で見られがちですが、私達が活動することにより社会の認識を深めることとなります。五つ目は、苦しいこと、辛いこと、悩んでいること等自分自身で答えの出ない時は、一人で抱えこまずに相談すること。又、相談に乗った人は必ずその秘密を守ること。六つ目が以上の五つのことを基本理念とし、必要に応じて会合を開き会の推進を図ることとする。これが現段階での基本理念で、先月の終わり頃に開いた第1回役員総会によって了承されております。
その他にもこれから活動していきたいことで、他の里親家族のホームステイをしてみたい、各地区の里親会議へ参加したい。各地域で開かれているキャンプなどを全国規模で一度行ってみたい。それから、里親・里子会の情報活動をして行きたい。そういう意見があって、詳しい内容の方は、報告書として全国里親会の方へ出させていただきました。
今回国際研修の報告書ということで12月の末頃までに、オランダ大会に参加した時の感想等をまとめていただいているところですが、その時の私の感想文を書きました。その中で、やはり一番最初に思ったのは、地球という広い世界の中に私達の仲間がいるということです。私の最初の頃の知識では、世界にいる里子達の中でも漫画の中に出てくる教会に孤児院があって、その中で小さい子ども達から大きい子ども達が、がやがや言いながら過ごしているというのが私の認識でありましたが、それが大会に参加した時点で180度ひっくり返されました。その時の衝撃は測り知れないもので、日本の制度はまだ遅れているのではないかと考えました。でもアメリカとかイギリスとかいろんな所の制度を聞いたところでは、日本の制度はこれに負けているとは絶対思えません。むしろ、私達日本人の文化あるいは体質としては、現在の里親制度の方が完成度は高い方だと思います。ただ里子の意見というものは、今迄取り入れられたということはなかったと思いますので、これから里親会と里子会のそして里親と里子の絆を深めて行くという協力体制を、私達が橋渡ししていければいいと思います。
(広瀬)有難うございました。全国青少年里子会の代表として根本雄司君が報告をしました。
続きまして、昨年和歌山県和歌山市で開催されました第46回の全国里親大会の処理報告を、和歌山県里親会の御所会長からお願いしたいと思います。
(御所)昨年10月、第46回全国里親大会担当の和歌山県でございます。当日は全国からご参集いただきました皆様には改めまして、世紀が変わりましたので二世紀越しとなりましたが、お礼を申し上げ、簡単に前年の処理報告をさせていただきます。大会参加者は、全国含めまして約500名でした。特にここ数年の青少年の凶悪犯罪や児童虐待等の急増の中にあって、私共里親としてどうあるべきかを再認識し、今何をすべきかを考えるよい機会でもありました。特に青山学院大学の庄司教授の記念講演「里親として語り合おう」では里親制度の現状、危機の問題、可能性と限界、さらには新しい動きの紹介の後、語り合いの大切さということについてお話をいただきました。又、シンポジウムでは同じく庄司先生コーディネイトの下で、.里親、里子、児童相談センター職員がそれぞれの経験を踏まえた内容を引き出し、お互いの立場について理解を深めることができました。
和歌山県里親会においては、今年初めてになりましたが、従来の里親研修会のほかに児童養護施設の児童18名、さらには未委託の里親さんと一緒にふれあいキャンプを実施し、沢山の参加者を得て盛会裡に終了しましたが、ここでも語り合い、ふれあいというものの大切さを改めて認識した次第であります。
全国大会を経験して、里親相互や里親と関係機関等の連携が緊密化したことをお伝えして前年の報告を終りますが、最後に本日の北海道大会の一出席者として、このような盛大な大会を準備されました関係の皆様に御礼申し上げますと共に、本日の大会をドライビングホースとしまして、全国の里親並びに里親制度の益々の発展を祈念致しまして処理報告と致します。
(広瀬)続きまして里親制度の推進に関する要望についてでありますが、札幌市里親会の馬場会長から要望書を読み上げていただきます。
(馬場)午前中、厚生省の中村課長さんから、この要望書に対する1項目ずつのご回答を頂戴しております。又、先程のシンポジウムにおいて、フロアから要望書の6番目について質問がありましたが、ここに要望書を出しておりますので、今一度読み上げてまいります。(省略)
(広瀬)中村課長さんには午前中にこの項目について詳細にご説明をいただきました。こういう説明も役員会を通じてではなく直接里親の皆さんに語りかけて下さるということは、まことに有難いと思っております。厚生省へ2回ばかり行って中村課長さんにお願いして快く承諾していただきました。心から感謝申し上げたいと思います。
(中村)一言追加させていただきます。今日はシンポジウム、或は質疑を通じて大変御熱心な議論を聞かせていただき本当に有難うございました。局長も一緒に最後までずっと聞いておりました。午前中、一応要望についてお答えした訳でありますが、やるといった分については必ずきちんとやりたいと思いますし、一歩でも前進ができるように努力をしていきたいと思っております。
それから質疑の中で主任児童委員の話が出てきましたが、一つご報告をさせていただきますと、今臨時国会が開会しており、現在議員立法で児童福祉法の改正ということがテーマになっております。その中で、児童委員、或は主任児童委員の仕事をきちんと明確にして、先程話があったように、12月1日がすべての児童委員さんの3年に1回の改選の時期になっていますので、そういう機会をとらえて、例えば虐待の問題については全員の主任児童委員さん、或は児童委員さんに勉強してもらおうというふうに考えていますが、そういう中で、できれば里親制度についてもお話を聞いていただくようなことを考えてみたらどうかなと思った次第であります。
それからもう一点ですが、私共は国のレベルでは国のレベルでそれぞれの団体なり、いろんな形で働きかけをしたいと思いますけれども、是非、地域で皆さん頑張っていただいて、子どもに関わる方々がみんな集まって地域の子ども達のことを考えてもらえるような機会を持っていただければ幸いかと思います。私の乏しい経験でも、実は十数年前千葉の市役所に3年程勤務したことがありますが、やはりそういう現実の場の中でいろいろ仕事を進めていくことが大変重要なことだと思っています。私共は国のレベルで頑張りますが、どうか皆さんも地域の中でそれぞれ関係しているところと一緒になって、お子さんのことを考えていただければと思います。
(広瀬)本来であれば本日の大会日程の全項目について意見・質問をお受けしなければいけないところですが、このあと、次期開催県のご挨拶をいただかなければなりませんので、これで里親制度の推進に関する要望の件を終らせていただきます。
最後になりましたが、次回の大会は埼玉県で開催することになっておりますので、埼玉県里親会の日野理事長さんから挨拶をお願い致します。
(日野)本日の全国大会、誠にすばらしい大会となりました。地元北海道の関係の皆様に厚く御礼申し上げる次第であります。さて来年の第48回全国里親大会は、埼玉県が開催させていただくことになりました。
期日は、10月12日第2土曜日です。会場は、元の浦和市、今さいたま市となりましたが、そこの埼玉会館を予定しております。埼玉は現在人口約700万人、しかも県民の平均年齢は全国で1、2位の若い県と言われておりまして、それだけに子どもを廻る問題も大変多い県ではあります。県内6か所の児童相談所は土曜日も返上して、相談・対応に追われており、私達県里親会も共に頑張っているところであります。
今日も専門里親制度がいろいろ話題に上がりましたが全国里親会を窓口に、今研究を精力的にやっているところでありまして、来年の48回大会は、その辺を十分視野にいれた大会になるのではないかと予想をしている所であります。皆さん方の情熱とお知恵をいただきながら子ども達のさらなる幸せを求め、これから頑張って行きたいと思っている次第であります。ご参会の皆様には、何卆一人でも多くの方々のお誘い合せをいただき、是非、来年10月12日埼玉においで下さることを心からお願いをいたしまして、次期開催地として皆様にご案内するところであります。来年埼玉でお会いすることを楽しみにしておりますので宜しくお願い申し上げます。