里親新制度を迎える年
会長 渥美 節夫
2002年を迎えました。きびしさが増す年だと云われています。
この秋10月には、虐待をうけているこども達に対しての新らしい専門里親制度が発足しようとしています。私達里親にとってまさに画期的な事態を迎えることなのです。
虐待をうけたこどもに対するケアが、里親に頼らなければならないことは、既に脱施設化が完成している欧米の経験から実証済みのことであります。
実親に対してすら信じることのできないこども達は、親以外の人達に対しても信頼を置きません。彼らの信頼をとり戻すことはまことに容易なことではありませんし、まして被虐待児は虐待に対する免疫を持っているものであるとする臨床医師の見解もありますし、彼等に対するケアは、「癒やし」と「和ごみ」の愛情一杯で終日起居をともにする里親を措いては行うことができないのではないでしょうか。
これにはもとより、里親に対してこの仕事に対応するための研讃の努力が必要でありますし、この困難な業務を支援するための関係者である医師、臨床心理士、ケースワーカー、教師、児童委員、弁護士等のチームワークによる協力が必須のことです。また、この里親に対しては、これに応じる大巾で特別な手当やレスパイトケアの弁償が確保されなければなりません。
このような対策は、既に欧米の諸国においては実施されておりますし、我が国においても一刻も早い実現が求められます。
里親の皆様の新らしい年の新らしい大事業に対しての、ご理解とご協力を心から期待いたします。