日本財団 図書館


設立総会
会長あいさつ
(神奈川新聞社代表取締役社長)
水木 初彦
 
z0001_01.jpg
 
 神奈川被害者支援センターが多くの皆様のお力添えにより、本日設立総会を迎えることができました。
 お忙しい中、東京からご出席いただきました全国被害者支援ネットワークの山上皓会長、警察庁の安田貴彦被害者対策室長をはじめ、多数のご来賓の皆様に心より御礼申し上げます。また、これまで連絡協議会から設立準備委員会と長い期間尽力されてきた皆さん、そして率先参加してくださいましたボランティア相談員の皆さんに敬意を表したいと思います。同時に、準備段階からバックアップをいただきました賛助会員の方々、とりわけ組織を挙げてといっても過言ではない県警職員の皆さんのご協力に深く感謝申し上げる次第です。先程、第一部の会議で事務局から報告がありましたが、午前中からもう電話が寄せられたそうです。年配のご婦人からで、親戚の若夫婦が幼児を亡くし悲嘆に暮れている。見るに忍びなくて………という内容だったそうです。「このセンターのような組織が出来て本当に良かった」ともおっしゃっていたそうです。
 こうした県民の方々の思いを受け止めますと、センターの仕事の意義というものを改めて痛感するのであります。明日からはいよいよ業務が始まるわけですが、まず何より、直接に電話窓口に立つ相談員の皆さんよろしくお願いいたします。私ども役員は、みなさんが仕事をしやすいようにバックアップに努力します。
 スタートに当たってここに参加している全員でもう一度確認したいことは、センターの活動を貫くものは、ボランティア精神だということです。実際にやっていく中では、いろいろな問題や難しいことも出てくると思いますが、お互いにボランティアらしさ、ボランティアの良さを発揮していけば乗り切っていけるし、そうしなければいけないと思います。
 念願のセンター設立に漕ぎ付けたわけですが、今後、業務の内容をより充実したものにしていくこと、そのための財政基盤の強化等なすべきことは沢山あります。そのために、皆んなが一致協力の精神で歩んでいきましょうということを、締めくくりの言葉として申し上げます。
 
相談窓口
相談 TEL 045−228−0783 (ゼロナヤミ)
  受付時間 水曜日と土曜日 AM10時〜PM4時 
  (相談は無料です。また、ご相談の秘密は厳守します。)
センターの設立経緯
設立準備委員会委員
(神奈川県臨床心理士会会長)
繁多 進
 
 私は、神奈川県被害者支援連絡協議会の会長を務めさせていただいておりますが、「神奈川という大きな都市で、被害者やその家族の心のケアを行う体制が整っていない。突然不幸のどん底に突き落とされ、悲嘆に暮れている人に、市民が手を差し伸べることが大切である。」と痛感し、平成11年11月に開催した協議会の定期総会で、私から「民間被害者支援組織の必要性」を提案したわけでございます。その後、私と竹内副会長、大河内弁護士、それに、被害者対策室長の4者で検討を重ね、平成12年11月に開催した協議会の定期総会で「設立準備委員会を設置し、平成13年度の早い時期に民間被害者支援組織を設立する。」旨の報告をしています。
 そして、同年12月20日に、協議会会員や非会員をメンバーとした「設立準備委員会」を設置し、第一回設立準備委員会を開催したのを始め、第二回からは、会長候補者として推薦する水木神奈川新聞社代表取締役社長に出席いただき以後毎月1回、設立準備委員会を開催して、設立総会を迎えることができたわけです。
 この組織の運営に重要な役割をなすボランティア相談員につきましては、一般公募や臨床心理士会推薦で合計82人の応募者の中から、面接等によって研修受講者53人を決定し、そのうちの32人について、研修を実施して準備を整えたわけです。
 また、組織を設立し、それを維持する資金は、神奈川県被害者支援連絡協議会会員の皆様をはじめ、設立準備委員会の委員や相談員の方々、あるいは皆さんを通じて多くの県民や企業から、賛助会費や寄付金をいただき、更に、「財団法人犯罪被害者救援基金」を通じ、「日本財団」から当センターの設立、運営のための助成金をいただけることとなり、大変有り難く思っているところです。早速、相談業務が開始され、実質的に動きだすこととなるわけですが、電話相談や面接相談を通じ、各種の情報提供や心のケアによって、被害者やその家族・遺族の精神的打撃を少しでも和らげることができるように頑張っていく決意です。今後とも力強いご支援をお願いいたします。
 
センターの花について
 私たちは、センターに親しみを持っていただき、少しでも多くの人にその活動を理解してもらいたいと考え、センターのイメージと一致する花を「センターの花」にすることとしました。
 センター設立の5月11日の花暦を調べたところ、「あなたと一緒なら自然と心が安らぐ」との花言葉を持つ「ペチュニア」と出会い、このペチュニアが「神奈川被害者支援センターの花」となりました。
z0002_01.jpg
 
設立総会来賓祝辞
その1
(全国被害者支援ネットワーク会長)
山上 皓
 
 本日、神奈川被害者支援センターの設立に当たり、全国被害者支援ネットワークを代表してお祝いの言葉を申し述べさせていただきます。
 私は、9年前ある犯罪被害の遺族の方の話しを聞き、大学の一室で犯罪被害者のための相談室を開設いたしました。その時、多くの犯罪被害者の方々が、社会から何の支援も受けられないまま大変苦しい思いをして生活している現状を理解いたしました。
 犯罪の被害に遭うということは人の人生が一変して崩壊してしまうことを意味します。私たちの多くは、健康や安全に人並みの注意をしていればこの信頼に値する社会の中で安全に生きてゆける実感を持っていますけれど、犯罪は一瞬にして被害者となった人及びその家族の入生を破壊してしまう力を持っております。
 それまで当然あり続けると思っていたものを、その犯罪により、かけがえのないものを他人の不法行為により、突然奪い去られてしまうのです。例えば、
 
・一家の働き手を失い生活に困窮する家庭
・亡くした子どものことで自分を厳しく責め続ける母親
・家族間でお互いを責めながら崩壊に向かう家庭
・心身に重い後遺症を受けながら苦しみながら生活する被害者
 
 そのような悲惨な例を知るたびに、犯罪が引き起こす被害の底知れない奥深さを思い知らされております。犯罪被害に遭うことで一瞬にして生ずるこの人生の落差を埋めることは、私たちを含め、どのような人にとっても決して容易なことではありません。
 犯罪被害者の場合には、災害等の被災者の場合より深く心を傷つけられる傾向があります。それは、人によって、あるいは個人が違法に被害を受けたという事情がありますけれども、それ以上に被害に遭った後で被害者に対する社会の対応があまりに配慮に欠けた様々な二次被害を受けておられるという事情が大きいと思います。事件に遭った時、被害者は、社会が被害者を守り支援してくれ、加害者には厳罰を下してくれるものと期待しております。しかし、現実には、しばしば逆の体験をすることになります。例えば、心身に重い傷を負って仕事を辞めなくてはならなくなった被害者に高額な医療費が要求されたりすることがあります。加害者には国選弁護人がつくのに、被害者には法的に身を守るすべを知らず、裁判で心を傷つけられることをおそれ、告訴を取り下げるようなこともしばしば見受けられます。
 最近の法の改正によって少しずつ状況は改善されてきてはいますけれども、まだまだ多くの問題があります。マスメディアもしばしば被害者のつらい心の内を侵害することを理解して下さい。
 このように孤立無縁の状況に置かれることの多い被害者に、事件後速やかに社会の側から必要な支援サービスを提供することは被害者の苦痛を軽減し、困難を克服するのに大きな力となります。
 神奈川県警は、早くに性犯罪捜査班を立ち上げ、被害者支援への熱心な取組みをしてこられましたけれども、警察のみでできることには限界がありますので、民間の被害者援助組織が立ち上がって欲しいと希望していました。
 被害者支援組織は、アメリカ・イギリスもそうですし日本でも多くの組織がボランティアを中心に活動を続けております。それはとても意義のあることで、多くの方々が一緒に支援に関われることになりますけれども、もう一つ先ほど述べましたが、社会には被害者の立場になって初めて見えてくるいろんな矛盾や多くの問題がございます。それをもとに被害者支援に関わり、そして改善してゆく役割を担っているところに、とてもこの支援の良いところがあるわけです。
 今回、民間被害者援助組織を立ち上げることには、どこでもそうですけれど、とても難しい問題があったと思います。しかし、より多くの困難を乗り越え、本日を迎えられたことは良かったことと思います。
 会長の水木先生、それから繁多先生、竹内先生はじめ、ここに集まられたボランティア相談員の皆さんにこれからの活躍を期待したいと思います。
 最後に、私どもをはじめ、全国被害者支援ネットワークに集うもの皆んなが、今日の日を祝い、どのような援助も協力も惜しまないという気持ちで皆さんを祝っている気持ちをお伝えし、私のあいさつとさせていただきます。
 
全国の民間被害者支援組織
 全国に、犯罪の被害者を対象とし、警察等の関係機関と連携を図りながら、被害者の精神的被害の回復のためのカウンセリング等を行っている民間の被害者援助団体があります。
 神奈川被害者支援センターは、全国で20番、首都圏では2番目に設立された民間被害支援組織です。
 
北海道被害者相談室
オホーツク被害者相談室
犯罪被害者支援センターみやぎ
秋田被害者支援センター
(社)被害者都民センター
水戸被害者援助センター
長野犯罪被害者支援センター
静岡犯罪被害者支援センター
砺波被害者支援相談室
石川被害者相談室
(社)被害者サポートセンターあいち
おうみ犯罪被害者支援センター
(社)京都犯罪被害者支援センター
大阪被害者相談室
紀の国被害者支援センター
広島犯罪被害者・心の支援センター
被害者・被災者心の相談ボランティア ハートラインやまぐち
被害者こころの支援センターえひめ
福岡犯罪被害者支援センター
神奈川被害者支援センター
(順不同)








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION