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2.九州船員地方労働委員会の概要
(1)沿革
 労働組合法は、昭和20年12月22日に制定され、翌21年3月1日から施行されたが、船員の労働事情は当時の緊迫した社会情勢を反映し、ことに海上の労使問題の紛争処理機関の早急な設置が強く要望されたため、法の施行に先駆けて、昭和21年2月1日に船員中央労働委員会が設置された。
 九州船員地方労働委員会は、昭和21年2月26日に設置され、第1回委員会が開催された。
 委員は、第1期では公・労・使各3名で構成され、第2期から各4名となり、第4期から現体制の各5名となった。
 任期は当初1年であったが、労働組合法の改正により昭和41年から2年となり、現在に至っている。
 現行労働組合法は、昭和24年6月に全面改正され、法律第174号として公布されたものである。
(2)権限及び所掌事務
 船員地方労働委員会は、労働組合法及び労働関係調整法に基づき、労働組合の資格審査、不当労働行為の審査、労働争議のあっせん、調停及び仲裁を行う権限を有するほか、船員法、最低賃金法、船員職業安定法、賃金の支払の確保等に関する法律等の規定による諮問に対する答申及び建議並びに雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律に基づく調停を行う。
(3)管轄区域
 九州運輸局(海事関係に限る)の行政区域と同一である。
(4)委員会の構成
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※委員は国土交通大臣から任命(任期2年)される。現委員は第33期委員で、平成12年9月13日付けで発令された。
(5)会議
[1]常設委員会・部会
 ◎総会(毎月1回開催)
 ・全委員(15名)で構成
 ・労働組合法、労働関係調整法に基づく調整事務を統括する。
 ・船員法、船員職業安定法、最低賃金法等に基づく建議・答申に関する事項等の調査審議を行う。
 ◎公益委員会(毎月1回開催)
 ・全公益委員(5名)で構成
 ・労働組合法に基づく労働組合の資格審査、不当労働行為の審査及び救済等を行う。
 ◎船員職業安定部会(毎月1回開催)
 ・会長指名による委員(公・労・使各2名)及び国土交通大臣任命の専門委員(公・労・使各1名)で構成
 ・船員職業安定法の施行に関する重要事項についての調査審議を行う。
 ・現専門委員は、平成13年7月7日付けで発令(任期1年)された。
 ◎女子船員機会均等調停委員会
 ・会長指名による公益委員(3名)で構成
 ・雇用機会均等法に基づき、地方運輸局からの委任を受けて、女子船員と事業主との間の紛争の調停業務を行う。
[2]必要に応じ設置する部会
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 ・九州運輸局長からの諮問に応じ、総会の決議を経て設置する。
 ・各部会とも国土交通大臣任命の委員(公・労・使各3名)で構成
 ・最低賃金の改正に関する審議及び答申案の作成等の業務を行う。
 ・平成13年度の専門部会は、それぞれ平成13年6月20日付けで設置され、委員は平成13年8月14日付けで発令された。
 ◎調停委員会
 ・会長指名による委員(公・労・使)三者で構成
 ・労働関係調整法に基づき、調停案の作成及び受諾勧告を行う。
 ◎仲裁委員会
 ・会長指名による公益委員(3名)で構成
 ・労働関係調整法に基づき、仲裁裁定を行う。
(6)歴代会長及び会長代理
[1]会長
発令 職業 氏名
昭和21年2月 門司市長 阿部嘉七
昭和22年6月 九州大学教授 菊池勇夫
昭和23年6月 九州大学教授 田中和夫
昭和24年6月 九州大学教授 舟橋諄一
昭和38年4月 弁護士 松永初平
昭和40年5月 八幡大学教授 高木孝詮
昭和57年3月 北九州大学教授 二宮清
平成2年9月 前水産大学校教授 廣瀬誠
平成6年9月 弁護士 三代英昭
 
[2]会長代理
発令 職業 氏名
昭和21年2月 九州大学教授 菊池勇夫
昭和22年6月 日本海員財団九州支部長 鈴木倉吉
昭和26年12月 弁護士 松永初平
昭和38年4月 八幡大学教授 高木孝詮
昭和40年5月 弁護士 身深正男
昭和41年5月 毎日新聞西部本社嘱託 渡辺充生
昭和49年8月 弁護士 二村正己
昭和55年8月 北九州大学助教授 二宮清
昭和57年3月 水産大学校教授 廣瀬誠
平成2年9月 弁護士 三代英昭
平成6年9月 九州国際大学教授 後藤勝喜
(7)事務局
 事務局発足の当時は、九州海運局職員の兼務で、事務局長、幹事2名、書記2名の計5名であったが、昭和23年6月30日に専任職員として書記1名、事務員2名が発令され、さらに昭和24年2月1日には専任事務局長が発令された。同年6月1日には兼任の幹事、書記が解任され、国家行政組織法第3条に基づく運輸省の外局として専任の職員だけで運営されることになり、その後事務局に次長制が実施されたが、係制(2係)が廃止される等、幾多の変遷を経て今日に至っている。現行の構成は次のとおりである。
 事務局長―次長―船員労働専門官(2名)
(8)平成12・13年度取扱事案の概要
 
◎調整事件
申請年月日 事件名 申請者 相手当事者 調停委員会及び
あっせん実施日
解決年月日
平成13年8月3日 平成13年度年間臨時手当支給交渉決裂に伴う労働争議に関する調停 いわさきコーポレーション(株)及び南九州興産(株) 全日本海員組合(鹿児島支部) 平成13年8月6日(調停申請の概要説明等)
平成13年8月8日(意見聴取)
平成13年8月9日(調停案提示)
平成13年8月9日調停案の受諾
平成13年11月22日 労使関係確立の確認に関するあっせん 全日本海員組合(福岡支部) 大川海運物産(株) 平成14年1月18日
平成14年3月18日
 
 
◎その他(争議行為予告通知)
[1] 全日本海員組合鹿児島支部から通知されたもの1件〔相手当事者いわさきコーポレーション(株)との平成13年度臨時手当交渉の要求事項に関する争議行為〕であるが、調停により争議行為は回避されている。
[1] 日本私鉄労働組合総連合会から通知されたもの1件〔相手当事者島原鉄道(株)との’01春闘〕であるが、争議行為は回避されている。
(9)平成13年度最低賃金答申状況
業種名 諮問年月日 専門部会開催年月日 答申年月日 答申金額(月額)
第1回 第2回 職員 部員
内航鋼船運航業及び木船運航業 13.6.12 13.9.17 - 13.10.26 A241,400円
B224,950円
3年以上182,100円
3年未満172,950円
海上旅客運送業 13.9.17 13.10.12 237,580円 169,930円
沖合底びき網漁業 13.9.7 - (一人歩船員)179,500円
大中型まき網漁業 (一人歩船員)182,550円
(特例地域:大分県、一人歩船員)169,100円

注)Aは、はしけ長を含む。
Bは、船舶職員養成施設のうち、特定の養成施設の課程を修了した若年職員。








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