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5.船舶職員
○ 船舶職員業務の概要
 船舶職員法は船舶職員として船舶に乗り組ますべき者の資格を定め、船舶の航行の安全を図ることを目的としているが、1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(STCW条約)の改正内容、船員制度近代化の進展等、内外からの新しい海技資格制度の要請に対応し、その都度改正されている。
(1)海技従事者国家試験(小型船舶操縦士試験を除く)
 総トン数20トン以上の船舶に船舶職員として乗り組むことができる海技従事者免許の試験は、当局管内で平成12年度は定期試験を4回、臨時試験を10回、計14回実施し、その受験者数は1,627人、合格者数は689人であった。また、これらは前年度比受験者数0.2%減、合格者数18.3%減となっている。(表4−17)
(2)小型船舶操縦士海技従事者国家試験(一〜五級小型試験)
 総トン数20トン未満の船舶に船舶職員として乗り組むことができる海技従事者免許の試験は、国土交通大臣の指定試験機関である財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会が実施しているが、同協会九州事務所管内で平成12年度は279回実施され、その受験者数は10,126人、合格者数は9,373人であった。また、これらは前年度比受験者数9.1%減、合格者数8.1%減となっている。(表4−17)
(3)船舶職員指定養成施設
 国土交通大臣が指定する船舶職員養成施設の課程修了者(小型船舶操縦士試験を除く)には、海技従事者国家試験において筆記試験が免除されるが、当局管内では海上技術学校、水産高等学校、水産大学校等の11校をそれぞれの課程に応じた資格別の船舶職員養成施設として指定しており、平成12年度の課程修了者数は420人であった。
 運輸局長が指定する船舶職員養成施設の課程修了者(小型船舶操縦士試験に限る)には、海技従事者国家試験において学科試験及び実技試験が免除されるが、その実施状況は表4−18のとおりであり、乗船履歴を有しない者を対象とする第一種養成施設は平成12年度は705回実施され、これらの課程修了者数は6,815人で前年度比4%減となっている。
(4)海技従事者の免許登録及び免状交付
 海技従事者免許申請に伴う免許登録及び免状交付事務は、昭和54年10月以降電算化されこれらの事務処理は総て地方運輸局が行っていたが、免状交付については昭和63年1月以降逐次福岡、長崎、三角、鹿児島、下関の各指定海運支局でもできるようになった。
 免許申請、訂正・再交付申請、履歴限定解除申請をあわせた免状交付件数は平成12年度は前年度比5%減の18,319件となっている。(表4−19)
(5)海技免状の更新
 海技免状の更新は、海技従事者の身体適性及び知識、技能を5年毎にチェックするためのもので昭和57年の法改正により制度が導入され、昭和62年4月30日からその手続きが開始された。
 なお、小型船舶操縦士免状は平成5年11月以降小型化され、更新毎に名刺大の新規免状が交付されている。
 又、大型免状は、平成11年2月以降、更新毎に海技免状を発給する方法に変更された。
 平成12年度は更新件数45,690件で前年度比9.7%減となっている。(表4−20)
○ 水先業務の概要
 水先の目的は、船舶が輻輳している等の港・水域において、水先人が船舶を安全にかつ速やかに導くことにより、船舶交通の安全を図り、船舶の運航能率の増進に資することである。
(1)水先業務
 管内における関門、博多、長崎、佐世保、島原海湾、細島、鹿児島の7水先区の平成12年水先実績は表4−21のとおりであり、合計水先隻数23,617隻、1隻当たり平均総トン数16,352トン、水先人57人の1人当たり平均水先船舶数414隻となっている。
(2)航海実歴認定書交付
 強制水先区(関門、佐世保)において、当該水域で一定回数以上船長として航海に従事した者が船舶を運航する場合に、運輸局長の認定を受ければ水先人を乗り込ませないことができるが、この航海実歴認定申請に基づく認定書交付状況は表4−22のとおり平成12年度は126件となっている。
表4−17 海技従事者国家試験受験者数 (平成12年度)
区分 受験者数 合格者数 試験実施回数
海技従事者
(小型船舶操縦士を除く)
595
1,627
136
689
14
内訳 航海 307
859
76
355
14
機関 288
716
60
283
13
通信 52 51 4
小型船舶操縦士 10,126 9,373 279
11,753 10,062 293

注1) 受験者数及び合格者数欄の上段は筆記試験のみ受験した者の数。
2) 小型船舶操縦士欄は、国土交通大臣の指定試験機関である財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会九州事務所関係の数。
表4−18 小型船舶操縦士指定養成施設における船舶職員養成状況 (平成12年度)
養成施設の種類 設置者別
(財)日本船舶職員養成協会 (財)関門海技協会 大分県立海洋科学高等学校 山口県立水産高等学校
回数 修了者数 回数 修了者数 回数 修了者数 回数 修了者数 回数 修了者数
第一種
養成施設
一級小型船舶操縦士 52 610 121 1,081 1 26 1 31 175 1,748
四級小型船舶操縦士 227 2,350 299 2,683 0 0 0 0 526 5,033
五級小型船舶操縦士 0 0 4 34 0 0 0 0 4 34
279 2,960 424 3,798 1 26 1 31 705 6,815
表4−19 海技従事者免許及び試験成績関係事務取扱件数の推移
区分 年度
60 2 7 11 12
海技従事者免許申請 10,474 16,664 12,390 10,798 9,975
海技免状訂正・再交付申請 3,012 6,929 8,291 8,229 7,967
履歴限定解除申請 8 149 213 344 377
筆記試験合格証明書交付 121 64 42 58 57
身体検査合格証明書交付 13 9 2 9 8
筆記試験科目免除証明書交付 69 48 41 41 49
表4−20 海技免状の更新件数
区分 年度
5 6 7 11 12
一〜六級海技士 5,994 6,092 5,140 5,536 4,236
一〜四級小型船舶操縦士 42,630 42,887 39,609 45,049 41,454
48,624 48,979 44,749 50,585 45,690
表4−21 水先実績(水先区別) (平成12年)
水先区 区分
水先
人数
日本船舶 外国船舶
隻数 総トン数 隻数 総トン数 隻数 総トン数
関門 36 836 17,750 17,686 282,712 18,522 300,462
博多 6 22 725 2,533 54,195 2,555 54,920
長崎 3 47 2,344 390 6,412 437 8,756
佐世保 3 87 1,564 599 8,863 686 10,427
島原海湾 4 608 697 308 3,045 916 3,742
細島 2 1 6 221 3,189 222 3,195
鹿児島 3 7 118 272 4,561 279 4,679
57 1,608 23,204 22,009 362,977 23,617 386,181

注1) 水先人員数は12月末現在である。
2) 総トン数は千トン単位である。
表4−22 航海実歴認定書交付件数の推移(局別)
年度
本局 若松 佐世保
8 104 36 22 162
9 107 47 17 171
10 105 33 16 154
11 98 48 19 165
12年度

交付件数 82 30 14 126

新交付 27 11 8 46
更新 55 19 6 80








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