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推薦のことば
全国地球温暖化防止活動推進センター長
市民運動全国センター代表 須田 春海
 
 地球環境に関心を寄せる世界の人々の努力が実を結んで、京都議定書が2002年中には何とか発効になる見通しが生まれています。
 周知のように、日本の目標は6%減ですが、1990年比ですでに運輸部門は23%増(1999年度)となっています。その内容も、貨物より旅客、なかでも乗用車の増加が顕著です。
 そこで改めて、エコロジカル・モビリティのあり方が重要になります。しかし、ではその実態はどうかとなると、専門書はあるものの、解りやすい統計、役だつ解説書というものが身近にはありません。その視点からすると、この年次報告書は意欲的であり、使い易く、ある意味では必携書になります。
 交通に関する日本の近代化の流れは、大雑把にいえば、鉄道重視の時代、高速道路・航空重視の時代から、スピード・安全だけでなく環境適応を重視せざるをえない時代の入り口にあります。
 この時代を切り開く力は、じつはマイカーを利用している市民自身にあります。しかし、個々の市民にはクルマの選択以外ないとしたらシステムに問題があると言えます。とすれば、改革をすすめるには「協働」が求められることになります。この書はその際の参考書でもあって欲しいと願っています。
 
国土交通省総合政策局環境・海洋課長
大野 裕夫
 
 ますますクローズアップされている地球温暖化問題。
 運輸部門からの二酸化炭素排出量は、90年代前半を中心に激しく増加し、国内運輸からの排出量だけで世界全体の約1%(日本全体の約2割)に達しています。
 一方で、「幸い」、というと無責任だと怒られるかも知れませんが、近年、運輸部門からの二酸化炭素排出量の上昇傾向は、急速に鎮静化しつつあります。
 日本の運輸部門の二酸化炭素排出量の90%は、自動車の運行に起因するものです。じっさい、90年代前半の増加は、自動車普及台数と走行距離の急増によるものですし、最近の伸び率鈍化の最大の原因も、低公害車・低燃費車の急速な普及です。
 今、私たち1人1人が「くるま社会との新しい付き合い方」を考えていく必要のある時代がやって来ています。
 ただ、交通システムのいっそうの改善とともに、低公害車・低燃費車の開発・普及が促進されていけば、運輸部門からの二酸化炭素排出量に一定の歯止めがかけられる、そんな可能性が少しづつ大きくなってきた。これは嬉しい事実ですし、だからこそ、1人でも多くの方に「運輸と温暖化」の関係を知っていただきたい。
 つくづく、そう思うこの頃です。
 さて、交通エコロジー・モビリティ財団が発行する本書には、運輸と温暖化に関する最新の情報がふんだんに盛り込まれています。
 −私たちは、くるまの使用によって、どれだけの二酸化炭素を排出しているのか?
 −低公害車の積極的な導入には、どんな意味があるのか?
 −どんなくるまが低公害車になり、どんな助成が受けられるのか?
 −環境にやさしい交通システムの導入は、どのように進められているか?
 こんな問いへの回答は、すべて本書に詰まっています。
 交通エコロジー・モビリティ財団ご自身が展開されている交通環境対策事業も、年々すこしづつ充実して来ています。トラック事業を中心とするグリーン経営の推進、環境負荷の少ない交通を取り込んだライフスタイルヘの転換。これらの事業の積極的展開には、私たち国土交通省も大きな期待を抱いています。
 運輸部門環境年次報告書。余りにも固すぎる書名ですが、私は一読して、こんな感想をもちました。どうぞ、皆さんも名前で拒否反応を起こさず、中身を覗いてみて下さい。








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