日本財団 図書館


(3)モーダルシフトの推進をはじめとする物流の効率化
 モーダルシフトとは、物流分野における二酸化炭素排出量の一層の削減を図るため、環境負荷の少ない大量輸送機関である内航海運・鉄道貨物輸送の活用を図ることです。
 海上輸送へのモーダルシフトの推進や、そのための基盤となる内航海運の競争力強化について、船舶のエネルギー消費率を向上させるスーパーエコシップの開発をはじめとする新技術の導入、規制の見直し、海上ハイウェイネットワークの構築を図ることにより実現します。また、輸送力増強等の鉄道の利便性向上を図ることにより、鉄道輸送へのモーダルシフトを推進します。さらに、物流効率化の一層の推進のため、規制の見直し、利便性向上、多目的国際ターミナル等交通基盤の整備を通じて対策の強化を図ります。
 
●次世代内航船(スーパーエコシップ)の研究開発
研究期間2001〜2005年度
z1032_01.jpg
 
 また、物流事業者や荷主等の関係者が協調して、計画的に輸送共同化を実施したり、海運や鉄道の活用によりモーダルシフト等の実証実験を行う場合について支援をする「幹線物流の環境負荷低減に向けた実証実験」が、2002年度から創設されました。
 さらに循環型社会構築に不可欠な静脈物流ネットワークについても、二酸化炭素、NOx等の排出量を削減する観点から、鉄道、海運を積極的に活用することが必要です。

●幹線物流の環境負荷低減に向けた実証実験
 
環境負荷の小さい幹線物流体系の構築
z1033_01.jpg
(4)公共交通機関の利用促進
 大都市圏を中心とする鉄道新線・新交通システム等の整備や、鉄道・バスの利便性の向上は、従来自家用自動車を利用していた旅客を、環境負荷のより少ない公共交通機関へとシフトさせ、自動車の走行量の削減につながり、地球温暖化対策の面からもその推進が求められています。
 このため、鉄道に関しては、1995年から2010年にかけて、鉄道新線については約300km、新交通システム等については約100kmの延長を図るため、必要な助成が講じられています。また、ICカード導入に対する支援措置等を通じた既存鉄道の利用促進策が推進されています。
 バスに関しては、前にも触れたTDM施策と合わせてオムニバスタウン構想をはじめとするバス利用促進事業、バス専用レーンの設置、違法駐車の排除等バスの走行環境改善に向けた諸施策が推進されています。
 
●オムニバスタウン構想のあらまし
(拡大画面: 128 KB)
z1034_01.jpg
 
コラム
・・・次世代の新公共交通システム:2つのタイヤ式トラムとガイドウェイ・トロリーバス・・・
 
 1997年、パリ圏、パリ交通局をはじめとする官民参加の「PREDIT(フランス公共交通研究・革新ナショナルプログラム:補助制度)による都市交通システム委員会」に3つの新公共交通システムが提案されました。
 このうちの2つ(TVRとTranslohr)はタイヤ式トラムで、1本レールのトラム(路面電車)ともいわれ、1本のレールを使って走るトラムモード、トロリーバスとして走るモードなどと随時切り替わる八イブリッドトラムです。もう1つ(CIVIS)は、ガイドとして路面にペイントされたマーキングをカメラが認識し、追尾して走る光学式ガイドウェイ・トロリーバスです。通常のバスと違って運転席が中央にあり、車両デザインもトラムに近いものです。3つとも、架線がなくても自走できるデュアルモードです。
 これらは既にフランスの3都市で走っており、世界各都市でも続々導入が決定されています。
z1034_02.jpg
TVR(右)








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION