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(2)車両の使用期間から見た点検・整備の重要性
 取組強化項目2
 自動車使用の長期化に伴う、磨耗劣化や経年劣化に対する十分なメンテナンスの実施。

 事業用トラックの主力である普通貨物車の保有台数は2001年3月末で約258万台、このうち事業用は約90万台であった。国内で使用されている自動車が新車登録されてからの経過年数の加重平均年数を自動車の平均車齢(人間の平均年齢に相当する)と呼ぶが、普通貨物車の平均車齢は、図3 普通貨物車の平均車齢の推移に示す様に、ここ10年間で2.7年長期化している。
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図3 普通貨物車の平均車齢推移
出典:「平成13年度 わが国の自動車保有動向」 (財)自動車検査登録協力会 発行
 また、国内で新車として登録されてから抹消登録されるまでの期間の平均(平均使用年数:人間の平均寿命に相当する)は普通貨物車の場合、90年代の10.5年前後に対して、近年、12年超と長期化しており(図4)、厳しい経済状況の中でユーザーが、少しでも長く車両を使用する傾向が現れているものと推測される。
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図4 普通貨物車の平均使用年数推移
出典:「平成13年度 わが国の自動車保有動向」 (財)自動車検査登録協力会 発行
 このような平均車齢や平均使用年数の長期化は、車両の安全確保や環境保全機能の維持の観点から、点検・整備の必要性がますます高まっていることを示している。
(3)自主的な点検・整備の充実(道路運送車両法の改正)
 取組強化項目3
 法定点検の簡素化に対応した、自己管理責任に基づく車両の使用状況に合った点検・整備の充実。
 自動車の点検・整備制度は、自動車技術の進歩や使用条件の変化に伴い、逐次見直しが行われてきたが、平成12年5月施行の道路車両運送法の改正により、トラックに関係する点検項目の簡素化と初回車検証の有効期間が延長された。
・1ヶ月点検の義務付け廃止
・定期点検項目数の削減:3ヶ月点検 65項目→47項目
              12ヶ月点検 127項目→96項目
・車両総重量8t未満のトラックの初回検査証有効期間を2年に延長
 今回の改正は安全の確保及び環境の保全に配慮しつつ、自動車使用者の負担軽減にも配慮したものであるが、一方では、こうした点検・整備制度の簡素化は、事業者に対して一層の自己管理責任を求めるものであり、定期点検の着実な実施はもとより、車両の使用状況に応じた計画的な点検・整備の実施が求められる。
(4)目視による黒煙点検
 取組強化項目4
 黒煙は現状で最も厳しい規制値でも目視により確認できるため、日常的に排ガスの状況を観察し、迅速な点検・整備を行うこと。
 黒煙の濃度に関しては、現状最も厳しい規制値(25%)であっても、目視により異常かどうか判断することが可能(例えば、黒煙濃度に応じて色分けされた「黒煙チャート」を使用)であることから、日常的に黒煙の排出状況を把握し、点検・整備を迅速に行うことが求められる。
図5 黒煙チャート
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 黒煙に対する基準は表2のとおりである。
表2 使用過程車に対する黒煙の規制
検査方法等 規制値等 対象自動車 検査開始等時期
無負荷
急加速検査
50% 軽油を燃料とする自動車 S50.1.1
40% 軽油を燃料とする自動車であって、平成5年規制に適合したもの H5.10.1
40% 軽油を燃料とする自動車であって、平成6年規制に適合したもの H6.10.1
25% 軽油を燃料とする自動車であって、平成9年規制に適合したもの H9.10.1
25% 軽油を燃料とする自動車であって、平成10年規制に適合したもの H10.10.1
25% 軽油を燃料とする自動車であって、平成11年規制に適合したもの H11.10.1
資料:自動車交通局技術安全部保安・環境課
(5)車両の使用状況に基づく自主的な整備基準の設定
 取組強化項目5
 メーカーが提供する部品の交換時期等の推奨基準を参考に、車両の使用状況に基づく自主的な点検・整備の実施。
 定期点検基準は、車両の標準的な使用状況を前提にしているが、厳しい使われ方(シビアコンディション)で使用される車両については、その状態に合わせた点検が必要である(表3)。メーカーにおいても、標準的な使用における部品の交換時期等を推奨基準として示すとともに、次に示すような状況のもとでは、より細かい点検・整備が必要であるとしてユーザーを対象に情報提供を行っている(関連資料(9)参照)。
表3 シビアコンディションの例示
A 悪路(凸凹路、砂利道、未舗装路等)、雪道、多塵地帯の走行が走行距離の30%以上
B 走行距離が多い(目安:10,000km以上/月)
C 山道、登降坂路の走行が走行距離の30%以上
D 発進・停止の繰り返しが多い、もしくは低速走行が走行距離の30%以上
表4 主な定期交換部品のメー力一設定時期の例(トラック関係)
部品名 メーカー設定時期
大型 小型
エアクリーナエレメント 1年 5〜6万km 2年 4〜6万km
燃料フィルタエレメント   2〜10万km 1年 3〜10万km
オイルフィルタエレメント 1年 1.5〜3万km 1年 0.5〜2万km
資料:運輸省「自動車の定期交換部品に関するアンケート調査」(97年)
出典:運輸省自動車交通局「平成9年度自動車の検査・点検・整備に関する基礎調査検討結果報告書」(平成10年3月)(トラック事業社106社に対する調査結果の一部抜粋)
 また、定期交換部品以外では、カーエアコンの冷媒として使用されている特定フロンCFC12(R12)はオゾン層破壊、代替フロンHFC134aは地球温暖化への影響が大きいため、大気への漏洩防止に取り組むことが重要である。そのためには、カーエアコンの効き具合等により、エアコンガスの漏洩の有無を定期的に点検することが必要である。なお、2002年10月には、自動車の製造者や輸入者に対して、フロンの回収・破壊を義務付ける法律(フロン法)が施行される予定である。








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