■自動車点検基準
自動車点検基準(昭和26年8月10日 運輸省令第70号)より抜粋
最終改正 平成11年10月27日運輸省令第46号
別表第1 (事業用自動車、自家用貨物自動車等の日常点検基準) (第1条関係)
| 点検箇所 | 点検内容 | 
| 1ブレーキ | 1ブレーキ・ペダルの踏みしろが適当で、ブレーキのききが十分であること。 2ブレーキの液量が適当であること。
 3空気圧力の上がり具合が不良でないこと。
 4ブレーキ・ペダルを踏み込んで放した場合にブレーキ・バルブからの排気音が正常であること。
 5駐車ブレーキ・レバーの引きしろが適当であること。
 | 
| 2タイヤ | 1タイヤの空気圧が適当であること。 2亀裂及び損傷が無いこと。
 3異状な磨耗が無いこと。
 ※4溝の深さが十分であること。
 | 
| 3バッテリー | 液量が適当であること。 | 
| 4原動機 | ※1冷却水の量が適当であること。 ※2ファン・ベルトの張り具合が適当であり、かつ、ファン・ベルトに損傷がないこと。
 ※3エンジン・オイルの量が適当であること。
 ※4原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がないこと。
 ※5低速及び加速の状態が適当であること。
 | 
| 5灯火装置及び方向指示器 | 点灯又は点滅具合が不良でなく、かつ、汚れ及び損傷がないこと。 | 
| 6ウィンド・ウォッシャ及びワイパー | ※1ウィンド・ウォッシャの液量が適当であり、かつ、噴射状態が不良でないこと。 ※2ワイパーの払拭状態が不良でないこと。
 | 
| 7エア・タンク | エア・タンクに凝水がないこと。 | 
| 8運行において異状が認められた箇所 | 当該箇所に異状がないこと。 | 
 
(注)※印の点検は、当該自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に行うことで足りる。
(出典)運輸省自動車交通局監修(平成12年)「自動車整備関連法令と解説(平成13年版)」
 
自動車の点検及び整備に関する手引(平成12年3月27日 運輸省告示第162号)より抜粋
1 はじめに
(省略)〜近年地球温暖化などの環境問題が重要視されていることからも、排気ガスや燃料消費率の状態を意識した上で〜(省略)
2 日常点検の実施方法
(省略)〜「自家用貨物など」と「事業用など」に分類される自動車については、1日1回、その運行の前に実施することが必要です。〜(省略)
| 点検箇所 | 点検項目 | 
| 運転席での点検 | ブレーキ・ペダル | 踏みしろ、ブレーキのきき | 
| 駐車ブレーキ・レバー | 引きしろ(踏みしろ) | 
| 原動機(エンジン) | ※かかり具合、異音 | 
| ※低速、加速の状態 | 
| ウィンド・ウォッシャ | ※噴射状態 | 
| ワイパー | ※拭き取りの状態 | 
| ◎空気圧力計 | 空気圧力の上がり具合 | 
| ◎ブレーキ・バルブ | 排気音 | 
| エンジン・ルームの点検 | ウィンド・ウォッシャ・タンク | ※液量 | 
| ブレーキのリザーバ・タンク | 液量 | 
| バッテリ | ※液量 | 
| ラジエータなどの冷却装置 | ※水量 | 
| 潤滑装置 | ※エンジン・オイルの量 | 
| ファン・ベルト | ※張り具合、損傷 | 
| 車の周りからの点検 | 灯火装置、方向指示器 | 点灯・点滅具合、汚れ、損傷 | 
| タイヤ | 空気圧 | 
| 亀裂、損傷 | 
| 異常な磨耗 | 
| ※溝の深さ | 
| ◎エア・タンク | タンク内の凝水 | 
| ◎(ブレーキ・ペダル) | ※(踏みしろ、ブレーキのきき) | 
 
(注)※印の点検項目は、「自家用貨物など」、「事業用など」に分類される自動車にあっても、自動車の走行距離や運行時の状態などから判断した適切な時期に行えばよいものです。
 ◎印の点検箇所は、エア・ブレーキが装着されている場合に点検してください。
 
3 定期点検の実施の方法
 定期点検は、一般的な構造・装置の自動車に関し標準的な使用を前提として、定期的に行う必要のある点検を定めたものです。〜(省略)
(省略)〜「事業用など」に分類される自動車には、3か月点検と12か月点検の2種類があります。ここでは、標準的な点検の実施の方法を説明しています。
 なお、特種な構造・装置の自動車や、走行距離が多いなど使用の状況が厳しい場合(いわゆるシビアコンディション)には、表に示されていない点検(メーカーなどが発行する点検整備の情報を参考として行う点検)が必要となります。〜(省略)
 (注)(省略)〜表中「点検時期」欄で、「距離」と付した点検項目については、前回その項目について定期点検をしたときからの走行距離が、〜(省略)〜「自家用貨物など」と「事業用など」については3ヶ月当たり2,000km、(点検項目が6か月点検の対象の場合は6か月で4,000km、12か月点検の対象の場合は年間で8,000km)に満たない場合には省略することが出来ますが、2回連続して省略することはできません。
(1)四輪自動車など
| 点検箇所 | 点検項目 | 点検時期 (年又は月ごと)
 事業用など
 | 
| かじ取り装置(ステアリング) | ハンドル | 操作具合 | 12月 | 
| ギヤ・ボツクス | オイル漏れ | 12月 | 
| 取り付けの緩み | 12月 | 
| ロッド、アーム類(ステアリング・リンケージ) | 緩み、がた、損傷 | 3月距離 | 
| ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂と損傷 | 12月 | 
| ナックル | 連結部のがた | 3月距離 | 
| かじ取り車輪 | ホイール・アライメント | 12月 | 
| パワーステアリング装置 | ベルトの緩みと損傷 | 3月 | 
| オイル漏れ、オイル量 | 3月距離 | 
| 取付けの緩み | 12月 | 
| 制動装置(ブレーキ) | ブレーキ・ペダル | 遊び、踏み込んだときの床板とのすき間 | 3月 | 
| ブレーキのきき具合 | 3月 | 
| 駐車ブレーキ機構 | 引きしろ(踏みしろ) | 3月 | 
| ブレーキのきき具合 | 3月 | 
| ホース、パイプ | 漏れ、損傷、取付け状態 | 3月 | 
| リザーバ・タンク | ブレーキ液の量 | 3月 | 
| マスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ、ディスク・キャリパ | 液漏れ | 1年 | 
| 機能、磨耗、損傷 | 12月 | 
| ブレーキ・チャンバ | ロッドのストローク | 3月 | 
| 機能 | 12月 | 
| ブレーキ・バルブ、クイック・レリーズ・バルブ、リレー・バルブ | 機能 | 12月 | 
| 倍力装置(ブレーキ・ブースタ) | エア・クリーナの詰まり | 12月 | 
| 機能 | 12月 | 
| ブレーキ・カム | 磨耗 | 12月 | 
| ブレーキ・ドラム、ブレーキ・シュー | ドラムとライニングとのすき間 | 3月 | 
| シューの摺動部分、ライニングの磨耗 | 3月距離 | 
| ドラムの磨耗と損傷 | 12月 | 
| バック・プレート | バック・プレートの状態 | 12月 | 
| ブレーキ・ディスク、パッド | ディスクとパッドとのすき間 | 3月距離 | 
| パッドの磨耗 | 3月距離 | 
| ディスクの磨耗と損傷 | 12月 | 
| センタ・ブレーキ・ドラム、ライニング | ドラムの取付けの緩み | 3月 | 
| ドラムとライニングとのすき間 | 3月 | 
| ライニングの磨耗 | 12月 | 
| ドラムの磨耗と損傷 | 12月 | 
| 二重安全ブレーキ機構 | 機能 | 12月 | 
| 走行装置 | ホイール | タイヤの状態 | 3月距離 | 
| ホイール・ナットとホイール・ボルトの緩み | 3月 | 
| リム、サイド・リング、ホイール・ディスクの損傷 | 12月 | 
| フロント・ホイールベアリングのがた | 3月距離 | 
| リヤ・ホイール・ベアリングのがた | 12月 | 
| 緩衝装置 | リーフ・サスペンション | リーフ・スプリングの損傷 | 3月 | 
| 取付部、連結部の緩み、がた、損傷 | 12月 | 
| コイル・サスペンション (トーション・バーを含む)
 | コイル・スプリングの損傷 | 12月 | 
| 取付部、連結部の緩み、がた、損傷 | 12月 | 
| サスペンションの取付部と連結部 | 緩み、がた、損傷 | 2年 | 
| エア・サスペンション | エア漏れ | 3月 | 
| ベローズの損傷 | 3月距離 | 
| 取付部、連結部の緩みと損傷 | 3月距離 | 
| レベリング・バルブの機能 | 12月 | 
| ショック・アブソーバ | オイル漏れ、損傷 | 3月 | 
| 動力伝達装置 | クラッチ | ペダルの遊び、切れたときの床板とのすき間 | 3月 | 
| 作用 | 3月 | 
| 液量 | 3月 | 
| トランスミッション・トランスファ | オイル漏れ、オイル量 | 3月距離 | 
| プロペラ・シャフト、ドライブ・シャフト | 連結部の緩み | 3月距離 | 
| 自在継手部(ユニバーサル・ジョイント)のダスト・ブーツの亀裂と損傷 | 12月 | 
| 継手部のがた | 12月 | 
| センタ・ベアリングのがた | 12月 | 
| デファレンシャル | オイル漏れ、オイル量 | 3月距離 | 
| 電気装置 | 点火装置 | 点火プラグ(スパーク・プラグ)の状態 | 3月距離 | 
| 点火時期 | 3月 | 
| ディストリビュータのキャップの状態 | 12月 | 
| バッテリ | ターミナル部の接続状態 | 3月 | 
| 電気配線 | 接続部の緩みと損傷 | 3月 | 
| 原動機(エンジン) | 本体 | 低速と加速の状態 | 3月 | 
| 排気の状態 | 3月 | 
| エア・クリーナ・エレメントの状態 | 3月距離 | 
| エア・クリーナの油の汚れと量 | 6月 | 
| シリンダ・ヘッドとマニホールド各部の締め付け状態 | 12月 | 
| 潤滑装置 | オイル漏れ | 3月 | 
| 燃料装置 | 燃料漏れ | 3月 | 
| 冷却装置 | ファン・ベルトの緩みと損傷 | 3月 | 
| 水漏れ | 12月 | 
| ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置 | ブローバイ・ガス還元装置 | メターリング・バルブの状態 | 12月 | 
| 配管の損傷 | 12月 | 
| 燃料蒸発ガス排出抑制装置 | 配管等の損傷 | 12月 | 
| チャコール・キャニスタの詰まりと損傷 | 12月 | 
| チェック・バルブの機能 | 12月 | 
| 一酸化炭素等発散防止装置 | 触媒反応方式等排出ガス減少装置の取付の緩みと損傷 | 12月 | 
| 二次空気供給装置の機能 | 12月 | 
| 排気ガス再循環装置の機能 | 12月 | 
| 減速時排気ガス減少装置の機能 | 12月 | 
| 配管の損傷と取付状態 | 12月 | 
| 警音器(ホーン)、窓拭器(ワイパー)、洗浄液噴射装置(ウィンド・ウォッシャ)、デフロスタ、施錠装置(ステアリング・ロック) | 作用 | 12月 | 
| エグゾースト・パイプとマフラ | 取付けの緩みと損傷 | 3月距離 | 
| マフラの機能 | 12月 | 
| エア・コンプレッサ | エア・タンクの凝水 | 3月 | 
| コンプレッサ、プレッシャ・レギュレータとアンローダ・バルブの機能 | 12月 | 
| 高圧ガスを燃料とする燃料装置等 | 導管、継手部のガス漏れと損傷 | 3月 | 
| ガス容器取付部の緩みと損傷 | 12月 | 
| 車枠(フレーム)、車体(ボディー) | 非常ロの扉の機能 | 3月 | 
| 緩み、損傷 | 3月 | 
| 連結装置 | カプラの機能と損傷 | 12月 | 
| キング・ピンの亀裂と損傷 | 12月 | 
| ピントル・フックとルネット・アイの損傷 | 12月 | 
| 座席 | 座席ベルト(シートベルト)の状態 | 12月 | 
| 開扉発車防止装置 | 機能 | 12月 | 
| その他 | シャシ各部の給油脂状態 | 3月 | 
 
 
4 整備の実施方法
 ここでは、「2 日常点検の実施の方法」と「3 定期点検の実施の方法」に基づき点検を行った結果、清掃、調整、交換などの整備が必要となった場合、通常行われることが多いものの代表例について、その実施の方法を説明しています。
(1)四輪自動車など
| 装置 | 整備項目 | 
| 制動装置(ブレーキ) | ブレーキ液の補給 | 
| 走行装置 | タイヤの交換 | 
| 電気装置 | バッテリ・ターミナル部の清掃 | 
| バッテリ液の補給 | 
| ヒューズの交換 ○灯火装置(前照灯、制動灯など)
 ○方向指示器
 ○窓拭器(ワイパー)
 ○洗浄液噴射装置(ウィンド・ウォッシャ)など
 | 
| 原動機(エンジン) | エア・クリーナ・エレメントの清掃、交換 | 
| エンジン・オイルの補給 | 
| ジーゼル車の燃料フィルタの水抜き | 
| ジーゼル車の燃料系統のエア抜き | 
| 冷却水の補給 | 
| 冷却水の交換 | 
| その他 | 洗浄液噴射装置の洗浄液(ウィンド・ウォッシャ液)の補給 | 
| 窓拭器(ワイパー)のブレードの交換 | 
 
(出典)運輸省自動車交通局監修(平成12年)「自動車整備関連法令と解説(平成13年版)」