10.考察
実務において隊員の生体負荷を軽減させるためには、使用器材の検討が必要である。スクーバダイビングの場合は、各人が気に入った器材を選定して使っているが、呼吸ガスを変えることにより生体への負荷軽減が期待できる。例えば、空気の変わりにNitrox(ナイトロックス:酸素を多く含んだガス)を使うことにより、生体への負荷量が軽減され、減圧症に対しても予防対策が図られる1〜4)。本調査研究では、NitroxとHelioxが生体負荷に違いがあるかを調べる目的であった。調べられた心拍数と換気量からは両者に違いは確認できなかったが、終了後のそれぞれのガスを使った感想を聞くと、Helioxで寒さを感じ、吸気抵抗が少なく、吸気の終末で渋く感じ、ノドが乾いたと述べており、体感としてHelioxが「楽であった」ようである。