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2.ペスカマ号(PESCA MAR)船内暴動殺人事件
(1)事件の概要
 平成8年8月2日、ハワイ南方2200キロの公海上で、ホンジュラス船籍のマグロ漁船ペスカマ15号、254トン、以下P号と略。本船の乗組員は韓国人7名、中国人7名、インドネシア人10名で、このうち中国人船員は、いずれも中国朝鮮族であり、テニアンで途中乗船した後に、マグロ漁に従事することになっていた。)において、中国人船員らが、韓国人船員ら計11名を殺害した。その後、韓国人船員のうち唯一の生存者である一等航海士とインドネシア船員6名が、機会をみて反乱船員を漁倉に閉じ込めることに成功し、8月22日に同船内の反乱は制圧された。しかし同船は、燃料不足によって漂流を始め、8月24日、鳥島近海の我が国領海内で救難信号を発信し、漂流中の同船を、東京都漁業指導船「みやこ」が発見し、海上保安庁に通報がなされた。これを受けて、第3管区海上保安本部では、「しきしま」「うらが」の巡視船2隻および特殊警備隊員12名を派遣した。25日には巡視船が現場に到着し、無線により乗組員から事情を聴取し、さらに、海上保安官が乗船し状況調査と事情聴取に及んだ。26日になって、我が国外務省は「我が国に捜査管轄がないため、韓国政府がホンジュラス政府からの同意をとりつけることを前提条件として、公海上で海上保安庁の巡視船より韓国当局の船舶に引き継ぐ」との対処方針を決定した。しかし28日には、韓国政府の要請を受け、「現時点では未だ同意はとりつけられていないが、韓国救難艦「太平洋」が現場に到着しだい、韓国側に引き継ぐ」こととなった。この間、海上保安庁の特殊警備隊員らが、同船内で監視警戒に当たっていたが、同日、韓国救難艦「太平洋」が現場に到着し、同船の船体及び乗組員を引き渡した。








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