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(3)条例事項の整理
 次に、新地方自治法と関連した法改正がある。新地方自治法14条2項は、「普通公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令の定めのある場合を除くほか、条例によらなければならない。」と規定している。これは、簡単にいえば、国の法令が、地方公共団体の条例・規則に委任をする場合に、従来のアドホックなものから、条例で定めるべき事項と、規則でよいものとを明確に整理することを促す規定である。
 そこで、資源保存法においては都道府県の規則に委任していた事柄のうち、都道府県が独自にTAC管理を行う場合の海洋生物資源の指定、右のTAC管理を行う海域の指定、都道府県知事が独自にTAE管理を行う場合の海洋生物資源の指定と対象海域の指定については、条例で行うこととされた。これらの事柄は、いずれも、住民の権利義務に関わるものであることから、規則ではなく条例化すべきものと整理されたことが推察される。
 この点について、法技術的には当然なされるべき改正なのであろうが、TAC制度なり、新しいTAE制度なりを、都道府県に分権化するという根本的な部分で、広域的な漁業管理を行うという本質論の部分で、疑問がある。日本の漁業管理制度は、従来から日本で行われた漁業管理の法的仕組みを、一見すると巧妙に取り込んだものであるようにも見えるが、そもそも、排他的経済水域に関する沿岸国という国レベルの統一的な取り組みを行うべき事柄について、いたずらに細分化された分かりにくい制度に向かっているのではないか、という疑問をもつ。EUのように、加盟国の間で漁業資源を割り当てるということではないので、ある意味で非常に集権的システムの日本において、都道府県単位での資源の割り振りということが強調されることには、やはり素朴な疑問を抱かざるを得ない。








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