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2.海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(資源管理法)について
(1)はじめに
 以下、上記の5つの法律について分析を進めることとするが、順序としては、本稿全体の趣旨から、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(以下、資源管理法と言う)を最初に検討することとしたい。
 資源管理法は、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使に関する法律、水産資源保護法の一部を改正する法律とともに、国連海洋法条約に関連するいわゆる水産4法のひとつとして平成8年の第136回国会で制定された。同法は、従前の漁業法・水産資源保護法による漁業管理制度に加えて、新しくTAC制度(漁獲可能量制度)を導入するものとして、国連海洋法条約の発効と同時に施行された。資源管理法は、同法1条の目的規定において、「漁業法又は水産資源保護法による措置等と相まって」海洋水産資源の保存・管理を図ることが明記されており、わが国における従来からの漁業管理法制との組み合わせによってTAC管理の制度が動かされるべきことが、明確に示されている。
 平成13年改正前の旧法は、TACについて、わが国の排他的経済水域等(排他的経済水域、領海及び内水(内水面を除く。)並びに大陸棚)において、政令で定める特定海洋生物資源につき、その種類ごとに採捕することのできる暦年の数量の最高限度を設定するもの、と定義していた。平成13年改正により、政令でTAC制度の対象となる資源が第1種特定海洋生物資源とされ、「暦年」が「年間」へと改正されているが、改正法については項を改めて後述することとし、ここでは、まず、資源管理法の定めるTAC制度の概略を確認しておきたい。
 なお、平成8年7月20日付けで、農林水産次官から各都道府県知事あての通達「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の施行について」が出されており、政府による同法の解釈を理解する手がかりとなる。








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