「生き物たちが危ない(1)」 |
NASA映像 |
  |
音楽〜 |
ナレ |
私達の住むこの地球上には、一千万を超える種類の生き物たちが生息してると言われています。それぞれ生き物たちは、自分たちにあった環境の中で生活し「種族の維持」をはかってきました。 |
いろいろな動植物 |
彼らは、いろいろな環境に適した形態や機能を持ち合わせ、大規模で複雑な生態系を作り上げてきたのです。しかし、今、地球上の生物たちはその生態系が、速い速度で崩壊されています。このことは、種の絶滅といった、取り返しのつかない事態までも引き起こしているのです。 |
スーパー
|
現在の1年間に、なんと、約4万種の生物たちが絶滅していると推定されています。恐竜の時代では、千年に1種、1900年頃は、1年に1種、現在はたった13分に一種、つまり1年間に4万種の生き物たちが絶滅しているのです。 |
表 |
一体、どうしてそのような事になってしまったのでしょう? |
渋滞・煙突
森林伐採 |
それは、人間の活動によることが大きいのです。人間が直接、間接的に自然環境を破壊し、生き物たちの生態系に多大な影響を与えているのです。 |
バンコク市街
スーパー |
それではその大きな原因のひとつ、人間の活動によって生まれた、「地球温暖化」の問題についてこれからみなさんと考えていきましょう。 |
新ウータン |
なんだって〜? 1年間に4万種類の生き物たちが絶滅してるって、本当かい?・・・ |
白インコ |
そう、人間のせいでね・・・ |
チンパン父 |
人間てヤツあ、生き物の風上にも置けねえワルだ!んったく! |
白インコ |
まあまあ、お怒りはごもっともですが、その原因のひとつ「地球温暖化」について、この際私達も、ちょっと勉強しましょうよ。ねえ、みなさん。 |
バンコク上空 |
ナレ |
「地球温暖化」とは、文字どおり地球が暖かくなる現象です。その原因は、大気中に含まれる二酸化炭素などの量が増えてきたためだといわれています。 |
スーパー |
大気中のそれらのガスには地表の熱を吸収して、宇宙に逃さない「温室効果」があるので、その量に比例して、作用が強く働くわけです。 |
クジャク |
なぜ、その二酸化炭素とやらが増えたのかしら? |
工場地帯空撮 |
ナレ |
産業が発達すると、それに比例してエネルギーをより多く必要とします。 |
排気ガス |
そのために、石油や石炭などの化石燃料をどんどん燃やし、そこで発生した二酸化炭素は次々と大気に放出されるのです。 |
森林開発 |
また、二酸化炭素を吸って酸素を出す、森林の減少もその 原因のひとつです。 |
チンパン父子 |
チンパン子 |
ねえパパ、その地球の温暖化ってさ、なんでいけないの? |
チンパン父 |
ああ?ああ、その、いけないに決まってるさ・・。 |
子 |
なんで?ねえ、なんで?わかんないの? |
チンパン父 |
ウルサイ! |
子 |
ねえ、なんで? |
チンパン父 |
ダメだコリャ。ママに聞いてこよ〜っと。なんだっていいだろーっ・・ |
山上空 |
ナレ |
では、「地球温暖化」が及ぼす自然環境への影響について考えてみましょう。 |
スーパーパタヤビーチ |
まず、海水の温度の上昇による影響についてです。 |
アイスランド |
温暖化によって気温が高くなると、海水が膨張したり、南極や北極の氷や氷河が融け、海面が上昇します。 |
モルジブ |
21世紀には、30〜110センチも上昇すると予想されています。 |
世界地図 |
仮に1メートル上昇した場合、オランダで6%、バングラディシュで17.5%、マーシャル群島のマフロ座礁では、80%の土地が水没してしまうと言われています。高潮などが起これば、その被害は拡大です。 |
赤インコ |
赤インコ |
それは大変だ! |
新ウータン |
新ウータン |
水没してしまったら、そこにいる生き物たちは、みんな死んでしまうかもしれんのう・・・・。 |
サンゴ水中映像 |
ナレ |
また、海水の温度の上昇は、海に住む生き物たちにも大きな影響を与えます。例えば、サンゴの白化現象。海水の温度の高い状態が続くと、サンゴ体内に共生している褐中藻が、逃げ出してしまいます。 サンゴ自体の石炭質が目立って、白くみえるのはそのためです。 |
白インコ |
白インコ |
色が白くみえるならいいじゃない。今、美白ブームだし、アタシなんて、モテモテ、モテちゃんよ〜。 |
魚類X |
魚類X |
なに言ってんだい!褐中藻はね、サンゴさんの養分供給係なんだよ。 その係がいなくなったら、サンゴさんが死んでしまうのは当たり前だろー! |
サンゴ |
ナレ |
サンゴの白化現象による死滅は広い範囲に及ぶため、海に住む生き物たちの生態系をも崩すことになるのです。 |
サカナ1・2 |
サカナ1 |
サンゴさんに頼って生きてる仲間は、いっぱいいるんだ。 |
サカナ2 |
サンゴさんの作り出す粘液や柔らかい肉をエサにしたり、隠れ家にしたり。 |
サカナ4 |
サカナ3 |
サンゴさんがいなくなったらボクたちだって、生きていけなくなっちゃうんだ。 |
サメ2S |
サメ |
小魚がいなくなったら、俺たちだって同じだ。 |
ウミガメの赤ちゃん |
ナレ |
また温暖化による影響には、ウミガメにも及ぶのです。アオウミガメなどは、産卵する砂浜の温度が、性別を決定する要因のひとつになっています。 温度が高いと、メスが多く生まれる傾向にあるようです。 |
ウミガメ |
ウミガメ |
そうなんだ、 このままだとメスばっかりになっちゃうってことなんだよ。 |
白インコ |
白インコ |
いいじゃない! オスが少なきゃ、あなただって、モテモテ、モテちゃんに、なるわよ〜きっと〜。 |
ウミガメ水中映像 |
ナレ |
メスとオスのバランスが大きく崩れれば、 当然、絶滅の道に追い込まれてしまいます。アオウミガメ、アカウミガメなどは、既に、その他の影響もあって数が減少しています。 |
白インコ |
白インコ |
ごめんなさい・・・ そんなこととは、つゆ知らず・・・ |
チンパン父 |
チンパン父 |
反省しろよ、反省・・。まったく、無知なヤツには困ったもんだ。 |
新ウータン |
新ウータン |
ま〜エラそうに。ご自分の方はどうなんでしようね、チンパンさん。 |
地球スーパー |
ナレ |
つぎ、地球温暖化による、 「気候変動」の影響について考えて見ましょう。 |
タイ低地 |
気温が高くなると、 空気は多量の水蒸気を含むようになり、 雨がが降る時は、たくさん降るようになります。 そのため、雨量の多い地域では洪水などの 水害が多発する恐れがあります。 |
干し上がった沼 砂漠 |
しかし、気温が高いので乾くのも早くなり、 雨の少ない地域では、干ばつが続いて 砂漠化が進むといわれています。 |
プレーリー1・2 |
プレ1 |
昔から、みんな生き物たちは自分に合った、 所でくらしてきたよね。 |
プレ2 |
うん。 多少雨が多く降ろうが、日照りが続こうが・・・ |
プレーリー1 |
プレ1 |
なんていうのかな、 天気のリズムっていうのか・・・ それになじんできたんだよね。 |
大木 |
樹老人 |
そうなんじゃよ。 そのリズムみたいなものが狂ってきたとなると、 わしら植物たちは大変なことになるんじゃ。 もちろん、生態系の基は植物だから、 君たち動物にも大いにその影響があるわけだ。 |
写真? |
ナレ |
例えば、 ヒロオハチドリという渡り鳥は、 昼間の長さで春の渡る時期を決めています。 その時期に渡り始めれば、 目的地で餌を得る事ができ、また植物は、 ハチドリのおかげで受粉することができるのです。 ところが、 植物は雪解け水に反応して花を咲かせます。 だから、温暖化の影響で雪解けの時期が早まると、 ハチドリがやってきた時には、開花は済んでしまい ハチドリはエサにありつけず、植物は受粉できず、 両者とも共存の危機に陥るのです。 |
チンパンカップル |
チンパン男 |
そうなんだよ。 気候が変わって植物のリズムが変わってくるとボクたちや 鳥さん、虫さんたち生き物みんなが困ってしまうんだな・・ 君、わかる? |
チンパン子 |
ボクはわかるよ。 |
サファリパーク |
ナレ |
生き物たちには、 おのおの最も適した生息環境があります。 地球温暖化による環境変化は、それぞれの場所で、 今、栄えている生き物たちにとって、 不都合窮まりないことです。 そのため、生き物たちに移動を強いることになるのです。 |
チンパン子 |
チンパン子 |
ねえ引越しってこと?ねえ、ママ〜 |
? |
ナレ |
今後100年間で平均気温が 2度上昇すると推測されています。 この2度上昇は、生き物たちの棲息域を 大きく移動させることであり、 例えば、日本が500キロも 南へ移動するようなものなのです。 したがって、 現在に生態系を維持することができず、 特に植物のいくつかの種は、 絶滅を迎える可能性があるのです。 |
チンパン父 |
チンパン父 |
なんか難しい話になって・・・・ よくわかんないなあ。 で、いったいこれからどうすんだよ。 その温暖化。人間はほっとくわけか? |
夕陽(移動) |
ナレ |
ここ数年の生き物たちの絶滅の勢いは恐ろしいほどに速度を増してます。そして、その影響について、予測がつかないことも事実です。
しかし、長い年月を経て出来た生態系は、ちょっとした環境変化から崩れていき、やがて、すべてが滅んでしまう可能性があります。
地球が45憶年かけて作り上げたてきた自然そして生き物たちを、私たち人間は数千年で破壊してしまうのでしょうか?
地球温暖化、その原因はわかっています。原因がわかれば、それを防ぐ手だてもわかっているはずです。
のんびりしている場合ではないのです。
今、生き物たちは、そんな人間たちになにを思っているのでしょうか・・・・・・。 |
日本財団助成事業 地球環境展
企画:財団法人日本科学技術振興財団 制作:中村理科工業株式会社 |