年頭所感
(社)海外運輸協力協会
会長 竹内 良夫
あけましておめでとうございます。新年を迎えるに当たり、日頃の所感を述べて、ご挨拶にしたいと思います。
21世紀に入り、国の内外の情勢は著しい変化と動きを見せております。すなわち、近年の経済社会の低迷の中で突如発生した米国における同時多発テロは、それ自体の悲惨さと同国に与えた影響はもとより、世界各国に大きな反響を呼んだことは、周知のところであります。この結果、アフガニスタンでは米国とそれを支援する国による報復戦争へと発展しました。今回のテロにより翳りが見えていたアメリカ経済に、さらに下降の道筋をつけた格好であります。我が国においても同様、低迷を続ける金融界、経済界に有形無形の影響を与えることとなりました。
小泉内閣のいわゆる構造改革は着々と進められておりますが、その中で行われてきた特殊法人の見直しも大詰めを迎えております。これに併せて公益法人についても全体的に検討が進められております。
一方、政府開発援助(ODA)関係予算は国内の厳しい財政事情に伴い、本年度同様、来年度においても1割削減など下降傾向にあり、ODAは「量から質への転換」として、より効率的な援助の実施、量的拡大から質的向上への転換、ソフト面の重視など多様化する途上国のニーズヘの対応、透明性の確保、またそれらに伴う評価体制の充実などの諸改革が求められています。
このようなODAをめぐる情勢の中で、1994年以来の増大してきた国土交通省からの受託事業は今後予断を許さない状況にあり、一方金利の低下による基金運用益収入は大幅に減少、公益法人としての当協会の活動を支援している日本財団は、一昨年以来各団体に対して事業及び運営に対する助成方式の見直しを打ち出すとともに、自らの経営意識の向上、自立に向け行動を促すとの方針を表明しております。この結果、平成13年度の事業費助成は認められませんでした。
このような中にあって、当協会としては、協会の目的をより効果的・効率的に推進し、会員はもとより、関係官庁、日本財団から寄せられる期待に応えていく必要があります。
もとより当協会は、基本的には社団法人として、会員が行う海外におけるコンサルティング業務の促進によるわが国の国際協力を推進することであり、この事業は本来的に非営利的事業であります。しかしながら、センター設立前後から、国土交通省から総合交通、環境対策案件等、一定の収益を得ることが可能な事業を受託できることとなりました。従って、協会が今後も公益事業を安定的、継続的に実施していくためには、協会の自力でできる事業をより多く実施することを検討する必要があります。
検討に当たっては、協会全体としてまず、かかる事業を実施できる体制、要員の確保が重要であり、次に、社団法人として会員との無用な競合を回避し、共存できる方策を構築する必要があります。さらには、公益法人であっても、公益性の高い受託事業については積極的に取り込んでいくことを考えていく所存であります。これらにより、運輸全般に亘る案件の実施、協会の運営の地盤となる組織体制の確立に努めてまいりたいと考えます。
最後になりますが、本年一年の皆様方のご多幸とご発展を祈念申し上げますと共に、関係方面におかれてもより一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
国土交通省総合政策局国際協力課
課長 伊藤 松博
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
昨年1月6日に4省庁が統合し国土交通省が誕生して一年が経とうとしています。この間、旧運輸部門の国際協力を担当する当課と旧建設部門の国際協力を担当する国際建設課は、活発に情報・意見交換をし、それぞれが持つ力を効果的に組み合わせて国際協力に取り組んできました。今後ともより一層の連携を推進していく所存でございます。
さて、ODAを取りまく状況を見てみますと、昨今の厳しい経済・財政状況等を背景に、ODA予算についても平成14年度予算で10%を越える削減が予定されております。また、グローバリゼーションの進展に伴い国際環境が急速に変化する中、開発途上国が直面する問題は益々多様化しておりODAの果たすべき役割の再検討が必要となっております。このような状況の中、外務省においては、効果的で戦略性のある援助を実施する目的で、「第2次ODA改革懇談会」を設置し、本年2月を目途に最終報告をまとめることとしています。
国土交通省といたしましては、ODAを効果的、効率的に推進するためには、開発途上国の実状やニーズにあった協力を推進することが重要であると考えており、そのためにも、ハイレベルな政策対話や実務者協議等を通じて相手国関係者との十分な意見交換を行うとともに、国別援助方針づくりや国土交通省におけるODAの政策評価に取り組んでいくこととしております。また、途上国において深刻化する都市交通・環境問題などへも積極的に取り組んで行きたいと思います。
社団法人海外運輸協力協会におかれましては、会員の皆様の事業活動の促進のため、情報収集事業や案件形成事業、要人招へい事業、その他調査研究活動等を通じて、効果的協力案件の形成や途上国の人材育成に努めておられます。世間の目が公益法人にも厳しい世情を踏まえ、これまでにも増して、自らの事業を見つめ直し、貴協会並びに会員の皆様にとってより良い事業活動が促進されることを期待するとともに、貴協会の会員の皆様が相互に良く連携を取りながら、より効果の高い協力案件の形成が促進され、効率的なODAの推進により一層貢献されることを期待しております。
今後とも貴協会や会員の皆様、また、在外にいるアタッシェ・専門家等との連絡・連携を密にし、より良いプロジェクト形成に努めていく所存でございますので、どうか皆様におかれましてもご協力のほど、よろしくお願いします。
最後になりましたが、皆様方の本年一年のご多幸と事業の一層のご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶に代えさせていただきます。