災害はこうして起きる
例えば、ある漁船で、とものウィンチの修理をするため甲板を走っていたところ、開口部に落ちてケガをしたとすると、開口部という不安全状態と、走っていたという不安全行動が絡みあって落ちて結果として災害が発生したことになる。
1:ケガは事故の結果として現れる。
走って、落ちて、打ってケガをした(災害)
走って、落ちて、打ったがケガはしなかった(事故)
2:事故は直接原因によって起こる。
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不安全な状態の例 |
服装が悪い、甲板が油や氷ですべりやすい。 |
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不安全な行動の例 |
安全のために決められたルールを守らない動作をする。 |
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常識で考えても当然やっては行けない行動をする。 |
3:直接原因を調べると、その起因となった間接原因が潜んでいる。
ケガの大部分を占める不安全な行動は、安全について知らない、やれない、やらない等のどれかが原因。
自覚をしましよう。人間の弱さを。人間はミスをし、注意力は長続きしないことを。
◆重大災害の前の小さい災害や、多くのヒヤリ八ットを見逃している。
アメリカの傷害保険会社のハインリッヒという統計技師が提唱した「1:29:300の法則」(重傷0.3%・軽傷8.8%・無傷事故90.9%)は5万件の災害事例を分析した結果、同一原因の災害について、ひとつの大きな災害が起きるかげには、軽い災害が29件おこっていて、さらにそのかげには災害にならない無傷事故が300回もくりかえされているということを示している。
作業の標準化に推進による安全の確保
●船種別に、最も安全で効率的な作業動作の方法と手順、作業配置等を分析し、安全で無駄のない作業を進めるうえでの基本となるマニュアルの作成を図り、その周知により災害防止を図ること等の安全対策の推進。
●本年度は12年度に検討した「内航船における整備・クリーニング作業の標準化」の指導啓蒙。
●これまでに作業の標準化に取り組んできたマニュアルを活用。
●各種講習会や中小船舶所有者で組織された「船員安全衛生推進会」等の場を通じ、指導啓蒙活動の推進。
安全操業は皆の願いです!漁船安全管理体制の構築の促進
●船舶所有者が当該漁船の操業形態に合わせて、安全操業ができるような安全上の措置、責任分担等の明確化を図る等、漁船安全管理体制の構築の促進。
●安全管理マニュルを作成普及することについて調査・検討の着手。
具体的事例に学ぶのも有効な災害防止対策です!船員災害の原因分析とその活用
●船員労務官の災害発生時監査・海難発生時監査報告及び船員法第111条で求められている災害疾病発生状況報告等に基づき、具体的事例に即した原因の分析及び対策の検討を行い、その結果を船員災害防止協会の機関誌等により公表する等の普及策を検討し、13年度中のできるだけ早い時期に実施することを目指す。
まだまだあるぞ災害防止対策(1)
〈安全衛生パトロールの実施〉
●協議会等又は団体安全衛生委員会の構成員である船舶所有者(以下「構成員船舶所有者」という。)の安全衛生担当者等による安全衛生パトロール班による安全衛生診断の実施とその結果から安全衛生の問題点の改善方法についての協議、検討。
〈安全衛生教育、講習会等の実施〉
●管理・監督者教育、新規雇入れ者、転船者等の教育、安全衛生点検方法や作業手順に関する教育、健康管理に関する講習会等、構成員船舶所有者のニーズに応じた安全衛生教育等の実施。
●船員災害防止協会の行うサバイバルトレーニング、安全担当者講習会等を積極的に活用。
まだまだあるぞ災害防止対策(2)
〈災害事例等に関する情報交換等〉
●構成員船舶所有者において、災害の発生原因等について共同で調査分析し、安全基準を作成する等再発防止策の検討。
●船員災害防止に関する情報、死傷災害、改善事例等を収集してそれに基づく意見の交換や改善策の導入等についての検討。
●構成員船舶所有者に共通する作業に関する安全作業手順等の作成及び機械設備の安全化についての検討とこれらの活動の円滑な実施を図るため、船員災害防止協会の安全・衛生管理士等の活用。
疾病予防と健康増進を!
●健康教育、健康相談、保健指導等の実施の促進。
●健康診断の定期的、継続的な受診の促進。
●作業環境の整備や適正配置を行う等の健康管理対策の推進。
●訪船診療、巡回検診車等の積極的な利用。
●船内の安全衛生管理体制の充実と日頃から節度ある生活態度の心掛け。
●快適な船内生活環境の形成のために必要な措置の推進。
●エイズの正しい知識の周知と感染の予防対策を推進。
●生活習慣病予防対策やエイズ予防対策を効果的に推進。
ゆとりのある労働条件は安全衛生活動の基本です!
労働時間等労働条件の改善
●船員の安全と健康を維持増進、労働時間短縮の着実な推進に十分な乗組員数の確保。
異なる文化の理解はコミュニケーションから航災防の和英併記の刊行物の活用も一手です!
混乗外国人船員に係わる安全衛生対策の推進
●外国人船員とのコミュニケーションの充実。
●船舶所有者は、船員災害防止協会発行の和英対訳「船員労働安全衛生規則(図解)」や安全作業マニュアル等を船内に備置。
●外国人船員に対し雇入れ時に船員法等関係法令の周知、安全衛生教育の実施の徹底。
●作業基準の見直し、外国語による危険等に関する標示、レクリエーション設備や相談体制の整備等の安全衛生対策の推進。
みんなで考えよう船員労働安全衛生月間活動の見直し
●基本的には、9月を船員労働安全衛生月間としつつ、地域においては、弾力的に集中実施期間を決定。
●実施内容について、創意工夫し、実効性の向上に向けて関係者一体となって努力。