障害のある人へのエチケット
やさしさを行動に
1)障害のあるなしにかかわらず、人間は共に助けあって生きています。障害のある人に対する手伝いは人間として自然な行いです。特に意識することなく、素直な気持ちで接したいものです。
2)人間一人ひとりが違うように、障害のある人も、それぞれの個性や人格をもっています。そのことをしっかり認識することが、障害のある人に対するエチケットの第一歩です。
3)手伝う時は、まず声をかけてから行って下さい。黙っていきなり身体に触れたり、車いすを押したりしては相手を驚かせます。
4)障害のある人が困っているのを見かけたら、その人が何をしてほしいかを聞くことが大切です。ひとりよがりで手を出すのは、お節介になりますし、障害のある人自身も介助のされ方を工夫しているからです。
5)障害のある人を特別視しないことが最も理解ある態度です。同情にもとづく言動は控え、必要な時には心よく手伝って下さい。
手足の不自由な人に対して
1)車いすの人が街で困っていたら、まず声をかけ、一人で手伝うのが無理だったら、通りがかりの人に協力を求めます。
2)たとえば、階段で車いすの昇り降りを手伝うには二、三人がかりで、呼吸を合わせて静かに持ち上げます。昇りは前向き、下りは後向きで、車いすの人が落ちないように気をつけ、また手伝う人自身が腰を痛めたりしないように注意しましょう。
3)段差の昇降を手伝う場合、昇りは車いすを後に傾けて前車輪を宙に浮かせたまま引きあげる。降りるときは前向きで、車いすを後に傾けたままショックのないように降ろして下さい。
4)足の不自由な人には松葉づえの人、義足(外から見えないこともある)の人などさまざまです。しかし、これらの人たちは乗り物で大変困っています。シルバーシートでなくても席をゆずりましょう。
5)雨の日は松葉づえの人が一番困る日です。傘はさせないし、足元は大変すべりやすくなっています。隣に松葉づえの人がいたら、ぶつからないよう気を配りましょう。
車いすの取り扱い方法
車いすのひろげ方
車いすのたたみ方
●車いすのタイプにより、折りたたみ方のちがうものや、折りたためないものもあります。
●車いすを広げたり、折りたたんだりする時には必ずブレーキを完全にかけてから行いましょう。
障害のある人のための福祉環境整備
国際シンボルマークは、国際リハビリテーション協会(RI)が定めたもので、英語のInternational Symbol of Accessを日本語に訳した呼び名です。このマークは、障害者が利用できる建築物、施設であることを明確に示す全世界共通のマークです。障害者が住みよい街づくりに寄与することをねらいとしています。
国際シンボルマーク
●マークが使用できる施設について、次のように定められています。
玄関
地面と同じ高さにするほか、階段のかわりに又は階段のほかに、ランプ(傾斜路)を設置する。
ランプ
傾余斗は1/12(こう配4.5°強)以下とする。室内外を問わず、階段のかわりに又は階段のほかに、ランプを設置する。
エレベーター
入口幅は80cm以上とする。
出入口
80cm以上開くものとする。回転ドアの場合は別の入口を併設する。
通路・廊下
130cm以上の幅とする。
トイレ
利用しやすい場所にあり、外開きドアで、仕切り内部が広く、手すりが付いたものとする。
●視覚障害者誘導警告ブロック
●視覚障害者用の横断歩道
目の不自由な人に対して
1)あいさつする時は、見える人の方から先に声をかけて下さい。それによって、目の不自由な人はあなたの身長その他もろもろを感じとり、親近感をもちます。
2)目の不自由な人の中には、全盲と弱視の人がいて、手伝う必要はそれぞれに違います。何が必要かを率直に聞くことが大切です。
3)目の不自由な人は、駅や道路では警告ブロックや誘導ブロックを頼りに歩きます。その上に物を置いたり自転車を放置したりしないようにしましょう。
4)案内するときは、白いつえの反対側に立って腕を貸し、半歩前を歩きます。白いつえは目の不自由な人の目ですから、つえを持つ手をつかんだり、引いたり、押したりすることは絶対にしないで下さい。
5)エスカレーターやエレベーター、階段では、昇りなのか降りなのかをはっきり説明することが大切です。
6)お茶や食事の時は、並べられた食器などの位置と内容を小声ではっきり説明して下さい。物の位置は時計の針の位置で知らせると分かりやすいものです。
7)バス停や駅で目の不自由な人を見かけた時は、行き先をたずね、その目的のバスや電車が来たら教えて下さい。
8)盲導犬がハーネス(胴輪といい、犬につける特殊なハンドル)をして歩いてる時は仕事中です。かわいいからといって、食べ物を与えたり、口笛を吹いて盲導犬の気を散らさないで下さい。事故を起こすもとになります。
耳の不自由な人に対して
1)耳の不自由な人といっても、難聴の人からまったく聞こえない人など、さまざまです。事故や病気で聞こえなくなった人は話せますが、生まれつき耳の不自由な人は言葉が不自由です。
2)意外と知られていないことですが、耳の不自由な人には、話好きな人が多いのです。話す気持ちがあれば、方法はいろいろあります。まず、心を開いて話しかけて下さい。
3)耳の不自由な人との会話の方法の一つに、唇の動きを読み取る口話法があります。ジェスチャーを交えながら、正面から口をやや大きく開き、はっきりゆっくり話して下さい。
4)手話法は、耳の不自由な人たちの間で生まれた手まね、身ぶりの会話です。手話で話し合っているところを、ジロジロとめずらしがって見ないようにしましよう。
5)筆記法は、手のひらや紙に文字を書いて読み合う方法です。多少時間がかかりますが正確です。
6)道路を歩くとき、背後からの音が聞こえません。車道側を聞こえるあなたが歩いて下さい。
7)病院や銀行の窓口などで呼ばれても聞こえません。手招きなり、肩をたたくなりしてあげて下さい。
脳性マヒの人に対して
1)脳性マヒといっても、障害の現われる型や障害の現われる部位によって、10種類以上の状態があります。症状が一人ひとり違うことをまず理解することが必要です、
2)脳性マヒの人と接する場合、相手と打ちとけ合う心を持って接することです。たとえば、上から見おろすような威圧的な形をとらず、視線を相手と同じ高さにすることが大切です。
3)脳性マヒの人の話しを聞く時は、言葉の一つ一つをかみしめるように聞き分け、その意味を相手と同じ程度理解するよう努めます。言葉がわからない時、筆談やつきそいの人の助けを求めるのではなく、何度となく聞き返すことが大切です。
4)話の内容が理解できなくてメモを取りたい時は、相手にその事を話し許しを得てからメモを取って下さい。相手の言葉がよくわからないまま言葉の先取りをすることは、相手をとても傷つけます。
知的発達に障害のある人に対して
1)知的発達に障害のある人たちは、社会生活への適応性にも困難が伴いますが、コツコツとまじめにものごとを進めていく能力は他の人と比べても劣るものではありません。いい面を最大限に生かしてあげるようにして下さい。
2)会話の中で、難しい言葉づかいや数字などはあまり盛りこまず、ゆっくり、ていねい、わかりやすくを心がけて下さい。また、相手の言いたいと思うことを十分にくみとるようにして下さい。
3)危険なことに対する判断が困難な場合が多いので、周囲の人たちは気付いたら遠慮しないで、うまく安全な方向へ導いてあげましょう。
4)さげすむような言葉を投げかけたり、笑ったりすることは、相手の気持ちを非常に傷つけます。逆にいたずらにこわがったり、警戒心をもったりすることもつつしんで下さい。
精神障害のある人に対して
1)精神障害のある人たちにとって、最も必要なものは周囲の人たちの理解と思いやりです。精神障害は必ず遺伝するとか、こわがったり、危険視するなどの偏見をまず改めましょう。
2)精神病院は、精神障害のある人が社会復帰するためのワンステップです。多くの入院患者さんたちが街へ出て買い物をしたり、レクリエーションを楽しみながら治療しています。いたずらにこわがって社会から排除するのではなく、あたたかい気持ちで根気よく接して下さい。
3)社会的にあるていど適応している人は、自分の症状についても自覚があります。気持ちを刺激するような言葉には注意して下さい。
てんかんの発作に対して
1)てんかんの発作には、いろいろな種類がありますが、いずれも命を失うことはめったにありません。また、伝染することは決してありません。
2)発作が起きた時には冷静に。こわがって騒いだり、相手の行動を制限したり、身体をゆすったりしないで下さい。どんな時にも、口にはしなどを押しこんだり、水などを飲ませないで下さい。
3)あわてて救急車を呼ばないで下さい。発作は普通1〜3分くらいで自然にとまります。しかし、きわめてまれな場合として[1]意識がもどらないうちに次の発作が起きたり[2]10分以上発作が続いたような時は病院に運んで下さい。
4)小さい発作の時は見守るだけで何もすることはありません。大きな発作の時は安静にし、安全な場所に寝かせて、頭の下にやわらかい物をあて、身体をしめつけるベルトなどをゆるめ、顔を横に向けます。発作がおさまり意識が回復するまで静かに休ませ、気持が落ちつくまで見守ってあげましょう。