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母子保健法と児童虐待の防止に関する法律
母子保健法
 母子保健法は昭和40(1965)年8月、児童福祉行政の一部であった母子保健施策を総合的、体系的に整備し単独法として制定公布されたもので、母性が児童の健全な出生と育成の基盤として尊重され、保護される権利を有すると共に、乳幼児の健康が保持、増進されるべきものであることが明記されています。
 さらに母性及び乳幼児の保護者は自ら進んで母子保健に関する知識の習得並びに母性及び乳幼児の健康の保持増進に努めるべきことを定めています。
母子保健に関係のある法律等
 
基本的法律
●母子保健法……母子保健全般
 
関連する法律
●児童福祉法……児童福祉施設、育成医療、療育指導、児童福祉施設への入所措置
●児童虐待の防止等に関する法律……児童に対する虐待の禁止
●生活保護法……出産扶助
●健康保険法、国民健康保険法等……分娩費(助産費)、出産育児一時金の支給
●地域保健法……母子保健についての保健所の業務
●戸籍法……婚姻届、出生届
●死産の届出に関する規程……死産
●母体保護法……不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節実地指導員
●労働基準法……産前産後の休業、育児時間、生理休暇
●育児・介護休業法……育児休業の取得
●男女雇用機会均等法……妊娠中及び出産後の健康管理に関する配慮及び措置
●予防接種法……乳幼児の予防接種
●栄養改善法……特別用途食品、集団給食、栄養表示基準
●結核予防法……結核健康診断、予防接種、結核り患児の医療
●精神保健福祉法……精神障害児(者)の医療、社会復帰
●学校保健法……就学時及び定期健康診断
 
児童虐待の防止等に関する法律
 「児童虐待の防止等に関する法律」は平成12年5月24日に公布され、同年11月20日より施行されました。
 
1 目的(第1条)
 この法律は、児童虐待が児童の心身の成長及び人格の形成に重要な影響を与えることから、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童の保護のための措置等を定め、児童虐待の防止に関する施策を促進することを目的に公布されました。
 
2 「児童虐待」の定義(第2条)
 この法律で言う「児童虐待」とは、保護者(児童を現に監督するもの)による行為として、その監督する児童(18歳未満)に対し、次のような行為をすることをいいます。
 
●身体的虐待
 殴る、蹴る、たばこの火を押し付ける、異物を飲ませる、冬に戸外に閉め出すなど生命・健康に危険のある行為により、児童の身体に外傷が生じ、または生じる恐れのある暴行を加えること。
 
●性的虐待
 子どもへの性交や性的行為の強要、性器や性交を見せる、ポルノグラフィーの被写体に子供を強要するなど、児童にわいせつな行為をしたりさせること。
 
●ネグレクト
 病気や怪我をしても適切な処置を受けさせない、児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置、極端に不潔な環境で生活させるなど保護の怠慢や拒否、その他の保護の怠慢や拒否により、健康状態や安全を損なう行為。
 
●心理的虐待
 子どもの心を傷つけることを繰り返し言う、無視する、他の兄弟と著しく差別的な扱いをするなど、心理的外傷を与える言動を行うこと。
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3 法律の概要
 「児童虐待の防止等に関する法律」は、16条の条文と付則の5条及び理由によって構成されています。上記の2条に加え、児童虐待の禁止(第3条)、国及び地方公共団体の責務(第4条)、児童虐待の早期発見(第5条)、児童虐待に係る通告(第6・7条)、通告または送致を受けた場合の措置(第8条)、立入り調査等(第9条)、警察官の援助(第10条)、指導を受ける義務(第11条)、面会または通信の制限(第12条)、児童福祉司等の意見の聴取(第13条)、親権の行使に関する配慮(第14条)、親権の喪失の制度の適切な運用(第15条)、大都市等の特例(第16条)が定められています。 また付則として施行期日(第1条)、検討(第2条)、児童福祉法の一部の改正(第3条)、児童福祉法の一部の改正に伴う経過措置(第4条)、中央省庁等改革関係法施行法の一部改正(第5条)によって構成されています。
 
4 厚生労働省の虐待防止対策
 厚生労働省では児童虐待防止の対策として、虐待の早期発見と早期対応に向けた体制の充実を図るため、
1 児童虐待防止市町村ネットワークの充実と拡大、
2 児童家庭支援センターの拡充、
3 1歳6か月児及び3歳児健康診査時の相談体制の充実、
4 児童福祉司の人材養成、
5 一時保護施設の充実、
6 児童虐待に関する専門相談、
関係職員の研修等の実施と、児童の保護と保護者への指導体制の充実を図るため、
1 被虐待児個別対応職員の配置、
2 児童保護施設等への心理療法担当職員の配置、
3 小規模児童養護施設の増設と施設整備等の改善、
4 児童相談所における保護者のカウンセリングの充実を図っています。
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