日本財団 図書館


虐待された子どもに援助の手が届かないと
 
虐待による症状・影響
 
●身体発育の問題
 身体の障害、発育の遅れ、発育不良
●知的発達の問題
 知的発達の遅れ、知的障害、学習障害、学習の不振
●情緒的問題
 感情コントロールの混乱、乖離の常在化、自己イメージの混乱、対人関係の混乱など
●心的外傷後ストレス障害
 
 身体的には、暴力などで身体に障害が残ったり、食べさせられないことなどで発育不良がみられます。
 知的には、知的発達の遅れなどがみられ、親が子どもに関わらず学習の機会が制限されていることや、適切な刺激がなく子どもを支持する環境にないことなどによりおこると考えられています。乳幼児期早期に適切な栄養摂取がなされないことも影響していることは間違いありません。
 情緒的には、感情のコントロールが混乱し攻撃的だったり鬱的だったりしますし、苦痛を軽減しようと防衛的に感情、記憶などを分裂させる乖離が起こったり、自分が悪いから虐待されていると考えて貧弱な自己概念を持ったり、他者を信頼する能力が欠如してしまいうまく人間関係を結べなくなったりしてしまいます。また、阪神淡路大震災でなじみの言葉になった、PTSD(心的外傷後ストレス障害)もみられるといわれています。
 これらのもたらす影響は重大で、早く虐待されている子どもたちを見つけだすことの重要性がここにあるといっても過言ではないでしょう。
 
予後
死亡
虐待の再発
反社会的行動
虐待する親
 
 虐待により、最悪時には子どもが死亡してしまいます。しかし、援助が開始されても、安易に虐待者の元に返すと約4割が再発するといわれており、子どもを育てる環境が改善しているのか評価を行うことが大切です。
 大人になると、反社会的行動をとり犯罪者となったり、親になった時、約3〜4割が自分の子どもを虐待する親になるといわれています。
 これらのことから、虐待防止への援助目標は「虐待の世代間連鎖を絶つこと」ともいえます。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION