見応え、聴き応え十分の財団企画
午後は押阪忍さん司会進行による式典から始まり、笹川鎮江会長も元気な姿をお見せになりました。会長挨拶では笹川鎮江会長のお言葉を河田神泉副会長が代読され、これからも吟剣詩舞道の振興と大いなる発展を誓っていました。つづいて来賓祝辞では佐々木正峰文化庁長官代理である遠藤啓文化部長が挨拶を代読され、伝統文化の継承の大切さを話されていました。
「将に東遊せんとして壁に題す」(釈月性作)を吟じる山岡哲山氏 |
藤間章作氏は「飲酒」(陶潜作)を、斉藤獅愛、杉山翔鴻、橋本龍淙、奥山龍愛、中野吟紫五氏の吟詠で舞った |
「峨眉山月の歌」(李白作)を合吟ずる矢沢凰慶氏ら神奈川県吟剣詩舞道総連盟女子の皆さんと、これを舞う小林玲舟氏とその社中の皆さん |
高松宮妃癌研究基金奉賛目録贈呈では、目録が河田神泉副会長から同研究基金の廣澤眞信理事に手渡されました。また、平成十三年度吟剣詩舞大賞は吟剣詩舞功労賞として、田口實凰(京都)、若林芳雲(栃木)、益中櫻月(熊本)、桂心豊(北海道)、臼杵鷺泉(香川)の各先生方が受賞されました。ただ残念なのは、受賞を前に若林芳雲先生が急死されたことです。先生のご冥福をお祈り申し上げます。
平成十三年度少壮吟士の紹介と表彰では、八代光晃子さん(宮崎)、久保草風さん(香川)の二名が晴れて少壮吟士になられました。今後のお二人の精進に期待したいものです。その後、小泉純一郎内閣総理大臣、遠山敦子文部科学大臣、笹川堯衆議院議員などの祝電が披露され、式典は滞りなく終了しました。
そして大会を飾る、期待の吟剣詩舞企画構成番組の幕が上がりました。「生命の讃歌―二〇〇一ボランティア国際年に寄せて」は、今年が第五十二回国連総会で採択、宣言された「二〇〇一ボランティア国際年」にあたり、また吟剣詩舞道界でもお馴染みの医学博士・日野原重明聖路加国際病院理事長による企画・原案で舞台化した音楽劇「葉っぱのフレディー―いのちの旅―(原作レオ・バスカーリィア博士)」に題材を得て、「その一・誰かのためにある人生」では「葉っぱのフレディー」の中で「いのちはめぐる」と語るレオ・バスカーリィア博士の哲学を紹介。「その二・生きがいのある人生」では「自分を愛するのと同じように、他人を愛すること」という日野原博士のボランティア精神を和歌や漢詩によって表現した、見ごたえのある内容になっていました。
幕開けは笹川鎮江会長による美しい吟詠「和歌・秋来ぬと」ではじまり、以降、河田神泉副会長など財団役員による吟詠、剣舞、そして日本を代表する吟剣詩舞道家らによる舞台がつづき、片時も目と耳を離せないすばらしい舞台がつづきました。会場を訪れた人たちも、感嘆の表情で熱心に見入っていました。
フィナーレで出演者が揃うと、武道館は割れんばかりの拍手に包まれ、そのまま舞台は合吟コンクール入賞団体の発表へと移りました。入賞団体が呼ばれるたびに歓声と拍手が起こり、見事優勝を果たしたのは「蘇台覧古」を合吟した、四十四番・岳精流日本吟院三河岳精会女子(愛知)でした。準優勝は四十八番・契秀流吟詠会女子(神奈川)、三位は二十九番の岡山県吟剣詩舞道総連盟女子(岡山)でした。
最後まで滞りなく進行した第三十四回全国吟剣詩舞道大会は、盛会のうちに幕を下ろしましたが、来年は財団創立三十五周年にあたります。今年以上の盛り上がりが、この武道館大会でも見られることでしょう。
藤上南山氏とその社中の皆さんの詩舞、八代光晃子、久保草風両新少壮吟士の吟詠で「子由の  池懐旧に和す」(蘇軾作) |
「述懐」(頼山陽作)を吟じる田邑嘉風、有森芳由、河田?泉三氏と、これを舞う田村天聖月氏とその社中の皆さん |
「子を戒む」(邱濬作)を舞う鈴木凱山氏とその社中の皆さん、吟詠は菅原雪山、平形鴻成、植島昊香、沼崎星掌の四氏 |
横田岳  氏ら少壮吟士男子の皆さんの合吟と、青柳芳寿朗氏とその社中の皆さんの詩舞で「書懐」(西郷南洲作) |