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吟詠・発声の要点 第一回
吟詠の特徴を捉えた正しい発声法を考える
本号から新しい連載企画「吟詠・発声の要点」が始まります。
第一回は企画の趣旨、内容のあらましなどをお伝えします。
新連載の概要
一、企画の趣旨
 財団法人日本吟剣詩舞振興会ではこれまで、吟詠の質向上を図るために、漢詩集(解説書・アクセント)の発行、伴奏集の制作・頒布をはじめ、各種全国コンクールなどを実施してきました。
 吟詠の基礎である発声法については、夏季吟道大学など一連の研修会で実技指導を続けてきましたが、印刷物としてまとめたものはありませんでした。
 一方、前月号まで本誌に連載された「吟詠上達のアドバイス−舩川利夫先生に聞く」には、吟詠発声法に関する貴重なヒントが随所に見られ、多くの読者から「一冊の本にまとめてほしい」との要望が寄せられています。
 また、長年にわたり吟詠研修の講師を務めておられる舩川利夫氏からは「近頃の吟詠家の中には、吟の発声がどのようなものかを知らない方が、少なからずいる。標準的な吟詠の発声法をまとめておく時期にきているのではないか」とのご指摘をいただきました。
 以上のような状況から財団として、吟詠の声の出し方の基本をまとめ、いずれはテキストとしても使えるような冊子にすることを前提として、先ず本誌に掲載することとしました。
 
二、執筆、監修
 内容全般に関しては先の「アドバイス」が下敷きとなっていますが、各論の項目については、少壮吟士の皆様から原案を頂きました。舩川氏の理論的な指導を受けた少壮吟士の方々が、これを実際面で応用し、指導に役立てた結果が表れると期待されます。監修は舩川氏にお願いしました。
 少壮吟士各位からは項目ごとに詳しい解説などが寄せられていますが、本誌には各項目の要点を中心に掲載し、詳細説明は冊子の附則に譲る場合があります。
 
三、監修者から
 舩川利夫氏の話=私は一音楽家として、こうあるべきだと思ったことを話していますが、それが全部正しいことではないかもしれません。今回は実地に携わっている少壮吟士の方たちがその裏付けをしてくれるので、いい形のものができると思います。これによって女性は華麗、繊細な声で、男性は渋くて味わい深い吟を実現していただきたい。
 
四、内容のあらまし
(1)吟詠発声法の特徴
[1]吟詠の生い立ちから見た特性
[2]音階、アクセント、発音など音楽的特性
[3]発声の基本は
(ア)よく共鳴する声
(イ)言葉を大切にした発音
(ウ)姿勢と重心
(工)腹式呼吸
(2)各論の解説
[1]素直で響く声を身につける−共鳴とは
[2]日本語を生かす発声
(ア)言霊を大切にする
(イ)母音と子音、半母音。邦楽と洋楽、発声の違い
(ウ)鼻腔共鳴と鼻濁音、その他発音上で特に注意すること
(工)言葉のアクセント
(オ)言葉の明瞭化と意連、息継ぎ
(力)自分では気付きにくい地方特有の発音
[3]吟詠に特有な”強い声”の発声
(ア)裏声を使わない
(イ)腹筋力を多く使う
(ウ)詠い始めのアタック
(エ)緊張した筋肉は響かない
(オ)声帯を詰めた“ガナリぶし”
(力)不自然な震え声は何故生まれる
[4]詠うときの姿勢
(ア)基本はリラックス−標準的な立ち姿勢
(イ)観念上の重心
(ウ)高音部、低音部それぞれの響きと支え
[5]呼吸法
(ア)長く、安定した呼気のための腹式呼吸
(イ)呼吸にかかわる身体の仕組み
(ウ)その練習法
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