明日への提言
笹川鎮江
「米百俵」の精神を彷彿させる小林虎三郎の漢詩がたくさんありました
「国が興るも、亡びるも、みな人にある」と人材育成の急務を訴え、「米百俵」の故事をのこした小林虎三郎の漢詩は、財団事務局で調べたところ、「小林虎三郎の求志洞遺稿小林安治国訳・略註」(長岡市出版)に絶句、律詩など一六五篇が載せられていることがわかったそうです。
小林虎三郎が佐久間象山の門に入った翌年の二十五歳の時に作った求志(志を求める)の想いを述べた「壬子の元旦」と題した絶句がありますのでご紹介いたします。
小林虎三郎は、この二年後の安政元年三月、師・象山の意向をうけて長岡藩に対し幕府の下田開港に反対する建議をしますが容れられず、藩主から直ちに帰藩、謹慎を命じられてしまいます。江戸から長岡への帰途に詠った虎三郎の五律「三國嶺」があります。
無念さが言外にほとばしるこの詩は虎三郎の絶唱といえるものではないでしょうか。
水六訓
一、あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
一、常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
一、如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
一、自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
一、動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
一、大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
笹川 良一