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吟剣詩舞の若人に聞く 第三十三回
藤井 陽子さん(十歳)
(平成十二年度全国剣詩舞コンクール決勝大会剣舞幼年の部準優勝)
祖母・・藤井 碧さん
師・・赤田 象順さん
宗家・・藤上 南山さん
(菊水流剣詩舞道本部)
全国大会で花開いた才能が、再び同じ舞台に立つ。
 平成十二年度全国剣詩舞コンクール決勝大会剣舞幼年の部準優勝の藤井陽子さんは、物静かな受け答えの中にも、気迫を感じる逸材。すでに本年度の挑戦も決まり、優勝を目差して日々鍛練の時を送っています。
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藤井陽子さん
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稽古場で、写真右より藤上南山宗家、藤井陽子さん、師の赤田象順さん、藤井碧さん
 
陽子ちゃんは何歳から剣舞をしているの?
陽子 「三歳の終わりぐらいから剣舞を習っています」
誰かに勧められたの?
陽子 「おばあちゃんから、勧められました」
おばあ様も剣舞をしているのですか?
碧 「いえ、していません(笑)。でも、先生とは長いお友達なので、女の孫ができたら、ぜひ先生に教えていただきたいと思っていました。と申しますのも、リサイタルなどを見せていただき、素晴らしい踊りだと感心していましたから、とにかく菊水流に入れたいと考えていました。まさか剣舞をするとは思いませんでしたが」(笑)
先生から見た陽子ちゃんの印象はいかがですか?
赤田 「最初の頃は他に教えている子がいまして、その子の付き合いで詩舞をしていました。難しい踊りを踊ったのですが、良くできたので驚きました。それに、覚えが良く、踊りが好きという感じがしましたね」
詩舞から始められたのですか?
赤田 「私はどちらも教えており、最初は詩舞から始める人が多いですね。いずれにしても、うちの生徒さんはどちらもします」
いつ頃から剣舞をしましたか?
赤田 「入った翌年から剣舞をさせました」
初めて舞台にでたのは、いつ頃ですか?
陽子 「五歳の頃に、名流大会に出まして、とても緊張しました」(笑)
お稽古は楽しいですか?
陽子 「…普通です」(笑)
やっていて苦手なところはある?
陽子 「腰を入れるところが難しいです」
赤田 「肩の力を抜かないと腰は入りませんから、子供には難しいかもしれませんね」
剣舞だと大きな声を出すけど、恥ずかしくないの?
陽子 「…」(笑)
赤田 「ここはお父さんも、お姉さんも、お兄さんも、皆剣道をしており、この子も剣道をしているので、恥ずかしいということはないと思います」
陽子ちゃんの資質はいかがですか?
藤上 「資質はあります。珍しいくらい良いものを持っています。感情表現が、子供なのにありすぎるほどです。あとは足腰を鍛えれば、良くなって行くでしょう」
性格的にはおとなしい方ですか?
赤田 「おとなしいほうではないと思いますが」(笑)
碧 「上二人に厳しくされているので、家では頭が上がらないようです。あまり目立ちませんね」(笑)
剣道をしているけど、面白い?
陽子 「はい、試合が面白いです」
何が得意なの?
陽子 「小手です」
踊りと剣道で大変だね?
碧 「踊りが主ですから、あまり剣道に引っ張らないよう、私が親に言っています」(笑)
 ◎  ◎
幼年の部に出たのは初めてですか?
陽子 「いえ、小学校三年生の時に一回出て、三位に入りました。次が昨年で準優勝です」
大きなコンクールに出た感想は?
陽子 「・・・・・・・・」(笑)
最初の時よりも、二回目の方が落ち着いてできた?
陽子 「いいえ、緊張しました」(笑)
名前を呼ばれた時、どんな感じだった?
陽子 「忘れました」(笑)力いっぱいできた?
陽子 「はい、自分なりにはできました」
藤上 「私が見た限りでは、演舞の迫力では勝ち目がありませんね。だけど、準優勝が取れたのはなぜか、それは情緒があったからだと思います。これでずいぶん得をしていると思います」
ここまで成長したお孫さんを見ていかがですか?
碧 「始めた時は、まさか東京の大会へ出られるとは思っていませんでしたし、しかも準優勝ですから、夢のようです」
全国大会に出られる自信はありましたか?
碧 「私にはわかりませんが、ご宗家はじめ、皆さんが見てくれましたので、安心はしていました」
吟題「木村重成」を選ばれた理由は何ですか?
赤田 「それは宗家先生が選ばれました」
藤上 「特に意図はありませんが、流派としていろいろなものをするのではなく、ひとつに決めたほうが、皆がそれに集中できますし、手薄にならず稽古の量も多くなりますので、私どもではそうしています。また、「木村重成」は子供に良いのではと思い選びました」
剣舞をしていて、何が面白いの?
陽子 「・・・・・・・・・・」(笑)
赤田 「見ていると好きですね」
碧 「そう、好きですよ。少しでも時間があると、家でもやっていますから」練習はよくしますか?
赤田 「コンクールのときなどは、自分から進んで練習していますね」
自分でするの?
陽子 「たまにです」(笑)
そんな時、手本があるの?
陽子 「手本はありませんが、自分が覚えていることを繰り返しやっています」幼年の部に今年も挑戦するの?
赤田 「今日、発表がありまして、出ることになりました」
今度は何を踊るの?
陽子 「桶狭間です」
抱負はどうかな?
陽子 「・・・・・・・・」(笑)
前の時、優勝したかった?
陽子 「はい」
学校の先生は知っているの?
陽子 「はい、知っています」
碧 「中国大会まで、わざわざ見に来てくれました。全国大会も行くと言ってくれましたが、残念ながら行けませんでした」
これからのご指導のポイントは?
赤田 「やはり腰ですね。それをどのように教えたらよいか、宗家先生に教えていただかなければ」(笑)
藤上 「だいたい今の子は脚力が弱く、鍛え方が足りないのか、食事のせいなのか、全体的に弱いですね」
それは踊り以前の問題ですね?
藤上 「そうです。鍛えなければいけないのでしょうが、先生が同じように動いてやれませんから(笑)、小さな子供が皆で練習する機会を作ってやることが必要でしょう。そういう機会にまだ恵まれていないので、早く作りたいと思っています。例えば、少年部とか青年部とか、部活動的に鍛えるようにすることが大切だと思います」
赤田 「指導のポイントではありませんが、全国大会に行くようになってから、辛抱して習うことを覚えましたね。それまでは、そんなことがありませんでしたが、今では訓練をすることに耐えていく気持ちが生まれてきました。大変嬉しいことです」
陽子ちゃんは食べ物の好き嫌いはある?
陽子 「あります。嫌いなものはピーマン、ネギ、タマネギ(笑)、好きなのはお肉」(笑)
最後になりますが、陽子ちゃんへのアドバイスなどがありましたら、お願いします?
藤上 「要は続けることが大事で、ぜひ続けてください。だいたい小学校高学年から中学になると辞めていく人が多いですが、なかには続けてくれる子もいますので、せっかくの人材ですから続けて欲しいと思います」
赤田 「いつまで教えられるか、私自身も頑張りたいと思います」
藤上 「もし、動けなくなったら、次の人が教えるから大丈夫だよ」(笑)
碧 「できる限り応援して、続けさせたいと思います」
藤上 「続けるためには家族の理解が一番ですね」
陽子ちゃん、抱負をお願いします?
陽子 「これからも続けていきます」(笑)
本日はインタビューに答えていただき、ありがとうございました。優勝できるよう頑張ってください。期待しています。
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インタビューを受ける写真右より藤上南山宗家、祖母の藤井碧さん、藤井陽子さん、師の赤田象順さん








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