家族会と市町村〜これからはこんな連携を〜
全家連保健福祉研究所 蔭山 正子
1. 全家連の取り組み ―家族会と市町村の連携について―
[1] これからの家族会と市町村の連携を重視
家族会の多くは、従来保健所と連携して活動してきた。今後、市町村を中心として精神福祉業務が推進される。家族会は、市町村との連携をこれまで以上に強化する必要がある。
[2] 家族会への支援方法のガイドライン(手引き)作成に関する研究
市町村職員が家族会にどのように関わったらよいかわからないという声が寄せられていた。家族会とはどのようなものか、そして、どのように家族会に関わればよいのかを示し、ガイドラインとしてまとめる。同時に、全国のブロック研修会でも、家族会と市町村の連携を訴え、広めたい。
2. 平成14年度から市町村が行なう業務
[1] 通院医療費公費負担に関する手続きの申請受理等
[2] 精神障害者保健福祉手帳の申請受理等
[3] 精神障害者社会復帰施設、精神障害者居宅生活支援事業(ホームヘルプ、ショートステイ、グループホーム)、精神障害者社会適応訓練事業の利用に関する相談、助言
[4] 必要に応じて上記の事業の斡旋、調整及び利用の要請
[5] 精神障害者居宅生活支援事業の実施
3. 市町村が精神保健福祉業務を担うことによって期待される効果
<家族側>
[1] 精神障害のサービスが他障害のサービスと横並びに近づく
市町村の精神保健福祉担当者が精神障害者の相談や援助を通じて、精神障害者本人や家族について理解が深まると、精神障害者へのサービスを整える必要性を感じる。市町村職員は、当事者のニーズを施策に反映できる人たちなので、将来的には、他障害と横並びのサービスが受けられるようになることを期待する。
[2] 距離的に近いところでサービスを受けられる
[3] 地域を熟知した、地域の保健・福祉に責任のある担当者からサービスを受けられる
地域の状況にあった対応、地域の保健・福祉に責任ある対応が期待できる。
<市町村職員側>
[1] 精神障害者の状況を把握できるようになり、独自のサービスを提供しやすくなる
今まで精神障害者へのサービス提供が不足していると感じながら、障害者を把握できないために施策・業務に反映しにくかった。
窓口などで精神障害者本人や家族の声を聞くことができ、ニーズを把握しやすくなる。地域における問題点や必要な対策を明確にでき、精神保健福祉施策、啓発活動・ホームヘルプ事業などの業務に活かせる。
4. 市町村が精神保健福祉業務を担うことによる不安
<家族側>
[1] 市町村の窓口で適切に対応されるか不安である
精神障害者の支援経験の無い職員が窓口で対応することも考えられる。障害者本人・家族に対する言動が十分配慮されるか、事務的対応に終始しない親身な対応がなされるか、プライバシーに配慮した対応がなされるか、など窓口の対応に不安を感じる。
[2] 地域住民の目が気になる
役場で近所の人に会わないか、役場の職員に知人がいないか、など身近な役場になると、知っている人に遭遇する可能性が高まるので、「知られる」ことへの不安が強い。
[3] 市町村職員がプライバシー・秘密を遵守してくれるか心配である
身近な市町村だけに個人情報が漏れたときの影響が大きい。プライバシー・秘密を遵守することに関して、市町村職員全体がどの程度の意識を持っているのか心配である。
[4] 精神障害者本人や家族に対するサービスを確実に受けられるか心配である
通院医療費公費負担・精神障害者保健福祉手帳の事務手続き以外の精神保健福祉業務は、市町村によって進み具合が異なる。自分が住む市町村ではサービスを受けることができるか心配である。
[5] 市町村格差が広がる
居宅生活支援事業など市町村によって取り組みに格差が生じる。
<市町村職員側>
[1] 精神保健福祉行政へのノウハウ・精神障害者や家族への支援経験が不足していることから、対応に不安がある
事務処理が問題なく行なえるか、窓口で障害者本人や家族からの相談に答えることができるのか、などの不安がある。
[2] 財源やマンパワーの不足により、当事者のニーズに応えられるか不安である
5. 市町村精神保健福祉に関わる機関・団体
市町村福祉・保健領域課⇒精神福祉業務を中心的に推進するところ
保健所、精神保健福祉センター、
地域生活支援センター、社会福祉協議会、医療機関、社会復帰施設、
ホームヘルパー、民生委員、ボランティア、
家族会、患者会⇒当事者の声を出していくところ
6. 家族会と市町村職員とのこれからの関係
<家族会と市町村職員が関わることで…>
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<パートナーシップ> 日本語では二人三脚、相棒に似た関係。
特徴
[1] 共通の目的を持っている
「障害者の住みよい街づくり」
[2] お互いに役割が違う、違うから良さがある
家族会:当事者の声を発信する。
地域に暮らす家族を受け入れ、お互いに支えあう場を提供する。
市町村:当事者のニーズをしっかりと受け止め、施策に反映していく。
[3] 関わることでお互いに利益がある、お互いに成長していく
家族会:家族会活動が活発になる。
勉強になる。情報が入る。
行政とのやりとりがうまくなる。
市町村:当事者のニーズを把握できる。
家族会を社会資源として紹介できる。
当事者や家族への対応が上手になる。
一度に多くの情報を手に入れられる。
関係の基本
[1] 対等で平等である。
[2] お互いに信頼している。
[3] お互いをよく理解している。
[4] 家族会が主体性を持っている。
[5] 状況に応じて関わり方が柔軟に変わる。
7. 具体的に何から取り組めばよいのか
ポイント お互いのことを知ること
市町村の精神担当者が家族や本人の実態を知ることで「なんとかしなきゃ」という気持ちになる。
担当者の気持ちが大切。
そのためには…
☆ 市町村職員が家族会の例会に参加することが有効
家族会の例会では、そこでしか言えない家族の日常の生活・悩みが話される。
聞くことで職員は本人や家族への対応がうまくなる。
人間としてためになる。
家族は >>> 例会に来てもらう。取り組みを説明して欲しい等の理由で呼ぶ。
「何にもやってくれない」「補助金をあげて」攻撃と要求だけではだめ。
飾り気のない言葉で家族の日常を話し、聞いてもらう。
市町村職員は >>> 例会に参加する。家族のニーズを吸い上げる。
「何か聞かれても答えられない」と怖がらず、逆に、
知らないから、わからないから、家族と一緒に勉強したい、
そして、施策に活かしたいと伝える。
☆ 家族会と市町村職員が一緒に勉強する機会を持つ
勉強会を企画して、市町村職員にも来てもらう。
その他に…
☆ 市町村の窓口で手続きに来た人に家族会を紹介してもらう。
入会案内をつくり、それを渡してもらう。
手書きも味があって素敵。
入会案内がないと職員も説明しにくい。