[実例4] 佐世保市「ウォーキング&ゲームラリー大会」
□はじめに
人口24万人の佐世保市は、佐世保湾に囲まれた島々の多くある西九州の中核都市です。自然が豊かなこの市で、平成10年から毎年「ウォーキング&ゲームラリー大会」が開催されています。
これは6月のとある日に、精神障害者の理解と社会参加・自立を支援するため、障害をもった者と一般市民が、体を動かしながら楽しく交流する啓発活動の一つです。その実施にあたるTEAM4×4は「当事者が憩い・集える部屋を支える会」として平成8年に地域活動所として発足しました。現在は平成13年にNPO法人となり、生活支援センターや喫茶店、Tシャツや小物などの製作、販売なども行っています。そのNPO法人の活動の一つとして毎年「ウォーキング&ゲームラリー大会」が行われています。
□経緯
TEAM4×4はかねてより、精神障害者と一般市民が参加できて、交流を図れるイベントを開催するという希望をもっていました。「ウォーキング&ゲームラリー大会」を立ち上げた当時の市の保健師は、参加した人が運動できてなおかつ楽しい内容のイベントは何かという事でこれを発案しました。
そのアイディアがきっかけとなって、TEAM4×4は主体としてそれを具体化する活動を行っていきます。当事者を含めた関係者に呼びかけ、実行委員会を結成し、幾度となく話し合いを重ねた結果、準備期間を経た平成10年6月に、第一回目の「ウォーキング&ゲームラリー大会」が開催されたのです。
この「ウォーキング&ゲームラリー大会」が立ち上げられた当初、参加人数は100名程度でした。第4回には参加人数が300名を超えるまで増加し、回を追うごとに着実にその参加数を増やしてきています。一度参加した人は、リピーターとして翌年も参加をするのが、この啓発活動の一つの特徴で魅力的な証明の一つでしよう。
□内容
「ウォーキング&ゲームラリー大会」は実際に参加をする、体験するプログラムで、見る、聞くといった受身のイベントではありません。
周知媒体としては、工夫されたチラシ・ポスターを公的機関や民間企業に協力を得て貼ったり、口コミでも広がっています。
申し込みは参加にあたり、希望するものはポスター・チラシを見てハガキで申し込みます。1チーム3人のチームが、設定されたコースをウォーキングしながらポイントのゲームを楽しむ内容になっており、毎年変更されるコースには5つポイントがあります。指定されたポイントをクリアすれば、参加者は賞品が獲得できる仕組みですが、スピードを競うものではないので、参加者はハンディがなく戦えます。各ポイントにはクイズやゲームの交流設定がされていて。例をあげれば、チーム同士の自己紹介や平均年齢を当てるといったクイズがあり、参加チーム同士の交流や、障害をもつ人がゲームポイントで何らかの役割を行う中で交流をします。プログラムを通して参加をした人たちはゴールするといった一つの目標に向かって、参加者全体が協力することで、肩肘はらずに力むことなく接する機会を持つことが出来ます。
開催当日は作業所職員、病院のスタッフ、行政職員、当事者が総力を結集して進行にあたっています。
□特徴
<楽しみながら一石二鳥のプログラムである>
今日、生活習慣病は国民の病と言われます。多くの人々は飽食に任せて、過食をして肥満傾向となり、運動も不足しがちな現在の生活を改善したいと願っています。しかし多くの人にとって生活を変えるのはなかなか容易ではありません。ウォーキングは殆ど誰でもが参加できて、安価で手近な運動方法です。ウォーキングにゲームを組み合わせてアクセントをつけることで、楽しみながら運動をするきっかけが作れることは、参加者のニーズにもあった重要な要素です。参加者にもメリットがあることは継続には欠かせません。
<多くの企業からの協賛を得ている>
第4回には関係団体など4つの後援団体、協賛団体では実に地元25企業の協力を得て大会の商品など提供がされています。多くの企業は立ち上げから参加をしていて、毎年継続して賞品を提供しています。限られた予算の中でこれだけの賞品を提供ができるのは関係者が足を使って獲得した結果です。
開催当時、実行委員会のメンバーは、多くの参加者が活動に来てくれて、楽しめるもの、スタッフも含めて楽しめるもの、そして交流が図れる工夫はなんであろうと、知恵を出し合いました。そのアイディアの一つが参加した人に賞品を出すということでした。そこで地元企業から協賛を取り、そこに賞品を出してもらうアイディアを考えました。委員会のメンバーは手分けをして、地元の企業を直接訪問して趣旨を説明して回りました。そして一方では人と人とのネットワークを大いに利用して、地元企業に通じる地元の商工会議所への協力を得るなど、戦略的に活動を進めました。その結果多くの地元企業は快諾をしてくれて、現在の協賛の獲得につながったのです。
多くの賞品は集客に結びつき、最初はそれを目当てに集まる市民も多いですが、参加を通していくうちに活動が認知されるようになり、年々趣旨も理解されつつありようです。
<実行委員会で運営されて培われるネットワーク>
立ち上げの準備段階からNPO法人職員、市の職員、医療関係者、当事者などが中心となってこの活動を立ち上げてきました。チラシやパンフレットの配布方法、場所、協賛企業を訪問する分担など、細かいことはこの委員会で決定されます。年に一回のこのイベントへ向けて、関係者は協力をして開催日を目標に行動をします。それにより啓発活動に重要な要素のネットワークが形成されています。
強調して一つの目標へ向かう事、それに向かう関係者の連携は、このイベント開催意外でもコミュニケーションを円滑にします。
回を重ねるごとに、さまざまなアイディアがメンバーから出されて、工夫が凝らされます。メニューが飽きることのないよう、毎年変更するなど、多くの人が協力をして行う事で、個々人の力を超えた集団の力によって一人では出来ないことも実現可能になっていくのです。これらのネットワークは啓発活動の基礎を成す重要な要素です。
□周囲の反応 まとめ
以上のような特徴は、この活動が効果的であるいくつかの点です。その活動実績は行政にも認められ、第二回目からは市の補助金も得られています。また参加する当事者たちは、賞品も楽しみですが、参加をして何らかの役割を担うことに喜びを感じており、社会参加の機会を得られた事が自信につながり、長期的には今後ますます社会復帰が促進されていく期待がこめられます。
たちあげから継続開催に至るまで、関係者が労力と知恵を惜しまず、さまざまな人を巻き込んだ活動が今日の成功につながっています。