はじめに(ガイドラインの趣旨)
1.目的と対象
このガイドラインは、精神保健福祉分野における啓発活動を実施していく上での基本的な考え方や原則を明らかにするとともに、その実施方法や配慮すべき点を示し、さらには、先駆的な取り組みを行っている活動の実状を紹介するものです。
精神科を利用している人々の数は、すでに200万人を上回っており、決して珍しいことでもあるいは他人事でもない時代を迎えているにもかかわらず、精神科の疾患や精神障害、あるいは精神障害をかかえる人々に対するイメージは、ショッキングな事件報道や閉鎖的な精神病院のイメージなどに基づく旧態依然のままにとどまっています。
このガイドラインでは、様々な啓発活動を地域で草の根的に実施していくことによって、精神障害に対する否定的なイメージを少しでも改善することを目指しています。
そのため、家族会や患者さん本人の会、作業所を運営する団体やスタッフ、保健所や市区町村で精神保健福祉活動に取り組んでらっしゃる職員の方々などを主たる対象としてまとめています。
2.ガイドライン作成までの過程
このガイドラインは、厚生労働大臣指定法人 精神障害者社会復帰促進センター(財団法人 全国精神障害者家族会連合会)が日本財団の補助金を受けて、平成11年度より立ち上げた「精神保健福祉に関する統合的/総合的啓発活動のモデル事業評価研究」の委員会によって作成されました。本研究では、啓発活動の実施とその効果評価研究、ならびに全国における啓発交流活動の取り組み実態調査などを行い、有効な啓発活動のあり方について検討を行ってきました。研究成果の集約であるこのガイドラインは、今後広くご意見をうかがいながら見直しを行い、より標準的なものへと改訂していく必要があります。
3.ガイドラインの構成
まず、I章では、総論的に啓発活動の意義や方向性について述べています。その際に、啓発活動が対象とする「偏見」についても説明しています。
続くII章では、啓発活動の具体的な実施方法について、説明しています。地域交流のあり方を整理し、留意点を明示したもので、いわば、このガイドラインの骨格をなすところです。
そして、III章では、全国各地で行われている先駆的な啓発活動について、聞き取り調査に基づく紹介を行っています。これからの啓発活動を検討する上でのヒントが得られるものと思います。