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「技量維持」  奥貫 博
 
 先日熊本のFA200の仲間に混ぜていただいて大分県央空港の行事に参加してきました。内容は、いつものアクロ飛行展示なのですが、ひとつだけ困ったことがあります。空港行事前日の着陸競技会に強制参加させられてしまうことです。この競技は、エンジンアイドルでの360度滑空着陸等で前後20mの接地点を狙うものです。ほぼ毎回満点をとる強者もいるのですから、かなうわけなどありません。その上、最近は軽い尾輪機体ばかりで飛んでいますので、FA200で20mの接地点を狙うのは、大変困難なことです。
 
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着陸競技中のセスナ172
 
 私の結果はさておき、今回も、優勝、準優勝はほぼ満点というものでした。また多くのメンバーが高い得点を獲得しまして、技術の高さを痛感させられました。これらは日頃からまじめに飛んでいる結果であることは言うまでもありません。
 誰でも、ライセンス取得の頃は、こういった緊急着陸の訓練を繰り返し行うのですが、以降のフライトにおいて実施する機会は少ないのではと思います。正直、私自身も競技会でもなければ、先ず実施することはありません。単発機にとって緊急着陸技量は必須なのですが、これでは困ったものです。それでも私などは無理やり競技会に参加させられて恥をかいているとしましても、その機会があるだけ恵まれていると思います。
 ライセンス取得後の飛行では、慣れるものと、失うものがあると思います。通常の離着陸は、飛行時間と共に慣れて、何とかなるのでしょうが、緊急着陸技量は、その正反対の失う側にあると言えるかもしれません。ただ、この訓練を実際に接地まで実施しようとしますと、通常の飛行パターンとは少々変わったものになるため、飛行場側の了解を得る等、少々面倒であろうかと思います。
 緊急着陸はこのくらいにしまして、ライセンス取得後の技量維持全般と言った範囲まで話を広げてみますと、この日本でも、様々な議論が行われているようです。技量再確認の必要性については大きくとらえれば納得なのですが、では、何をどのように、の段階になりますと、途端に難しくなります。日本では、とにかく1飛行時間あたりの費用が大きいものですから、技量の再確認が望ましいとしましても、その金銭的な負担を考えますと、現実的ではないでしょう。結局のところ、飛びたくなった時点で訓練を受けると言った現在の状況に落ち着くのであろうかと思います。
 大体、限定が陸上単発といいましても、100馬力機体で免許を取得したものが300馬力に乗れるはずはありません。尾輪式も同様です。それは、誰でも理解しています。また、技量確認の実施機体の選択も難しい事になります。私の友人にその昔エアロンカで免許を取得した後、飛んでいないというのがいます。しかし、飛ぶためには、最近の機体での再訓練が必要なことが良くわかっていますので、問題は無いのです。それを、定期的な技量確認を実施して不合格と判定した所で、当人にとっては何の意味も無いでしょう。
 その意味からは、現在の、技能証明は終身有効とし、身体検査は定期的に実施とする方式は、逆に合理的と言えるものなのかもしれません。








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