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「アイビス Ae 二七〇が本格生産」  和泉 久
 
 チェコと台湾の航空機メーカーが共同出資しているアイビス・エアロスペース社が一九九七年から開発している単発ターボプロップ与圧機アイビスAe二七〇は、このほど確定受注機が合計六十機を達成、本格的に製造を開始することになった。以前に紹介したことのある飛行機だが、改めて進捗状況を紹介する。
 このAe二七〇は全金属製の低翼機体構造を持ち、八百五十馬力のブラット&ホイットニー・カナダ製のPT―六ターボプロップ・エンジンを装備している。 ちょっど、セスナ社の単発ターボプロップ機キャラバンと、ソカタが開発した与圧高性能単発ターボプロップ機TBM七〇〇の中間に当たるような実用的な軽飛行機で、パイロット二名と乗客八名、合計十名が搭載できる。
 アイビス社では、単発ターボプロップ機の経済性と、双発ターボプロップ機の高性能、与圧機のキャビン快適性を兼ね揃えているのがAe270の特長と説明している。主に人員輸送(旅客九名)や社用機(エグゼクティブ仕様では旅客六名配置等も用意)として使われる他、貨物輸送(後部に大型ドアを配置しているほか、機長席横にもドアが設けてあるので、キャビンに目一杯の荷物が積載できる)にも適しており、最大離陸重量は三千七百Kg、ペイロードは千二百Kgとなり、最大航続距離は二千六百七十Km、最大巡航速度は二百六十ノットとなっている。
 このAe二七〇は、今年七月にプロトタイプ一号機がチェコのプラハ近郊で初飛行(この一号機はパリのエアショーに参加、九月までに百五十時間以上をフライトしている)、十月には試作三号機が完成した。現在、試作一号機が飛行試験を行っており、この三号機も十月から飛行試験プログラムに参加し、飛行特性やシステムの機能を試験する。試作二号機は強度試験に使われているほか、四号機が疲労試験に使われる。既に二号機は設計荷重の一五〇%を加えた静強度試験を終了、極めて満足できる結果が得られた、という。
 なお、試作五号機は高気温及び高地での運用に適する出力強化型のPT―六Aエンジンを載せるほか、シエラEFIS二〇〇〇と呼ばれる統合ディスプレーを搭載するAe二七OHPとなる。アイビス社では、これら五機の試作機により型式証明を取得する飛行試験を行い、来年半ばには型式証明を取得、第4四半期から出荷を開始する計画だ。
 なお、受注した六十機のうち、米国からの注文分が四十二機、南アフリカが十二機、オーストラリアが六機となっており、さらに十機が商談中という。同社では、今後、十八年間に八百機のAe二七〇の需要があるものと予測している。
 同社では、北米などでのサービス体制を強化するとともに、五年間もしくは二千五百飛行時間までの保証を付けて販売する。この保証は機体及びエンジン・コンポーネントが対象となっている。
 このチェコの航空機メーカーは、ボーイングの下請けメーカーとして部品製造を行っているほか、ジェット練習機など、いろいろな飛行機を開発・製造した実績があるので、軽飛行機の開発・製造能力は、国際基準を満足している。
 アイビスではAe二七〇の販売を行うため、米国にも販売事務所を持つほか、飛行機販売を得意としている地元企業を販売店として指名、販売に力を入れている。








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