増水の紀の川で水上バイクの友人助けようとした若者
新六筒井堰で救出 友人2人は自力で岸へ
八日午前八時三十分ごろ、和歌山市六十谷の紀の川にある新六筒井堰に人が取り残されていると通報があり、現場に駆けつけた消防隊員や赤十字飛行隊田井秀治和歌山支隊長らが協力し、午前九時二十八分に救出した。
救助されたのは岡山県の男性(26)。同堰の上流約五百メートル付近で水上バイクに乗っていた友人(25)、エンジントラブルを起こしたバイクとともに流された。助けようともう一人の友人(25)とともに泳いで川に入ったが流れが早く流された。友人二人は自力で北側の岸へたどり着いたが、男性はそのまま堰の中央付近へ。堰に上がって身動きが取れなくなったところを見ていた付近の住民が通報、消防隊員らが救助した。三人にけがはなかった。
三人が最初にいた場所は、川の近くまで車をつけることができるので、付近では週末を中心に水上バイクを楽しむ人が多い。この日は七日の大雨の影響で紀の川の水位は上昇しており、朝から好天に恵まれたものの、現場付近はにごった水が強い流れとなっていた。
中消防署の署員は「増水している場合、流れの強さや流木の危険性を考えると、運転技術に係わらずやめておくのが常識。命に直接係わることなので正常でない場合は乗らないでほしい」と呼び掛けている。
和歌山新報 二〇〇一年(平成十三年)九月九日(日曜日)
詳細は次の報告書のとおり
赤十字飛行隊出動報告書
日時 |
平成3年9月8日午前9時から同日午前までの間 (土) 天候 晴れ |
目的 |
紀ノ川での増水により流された人を救出するため |
飛行時間・経距 |
1時間・離陸9:00 着陸10:00 |
機種・記号 |
機種 ヘリコプター R44 JA7929 |
操縦者及同乗者 |
操縦者 |
同乗者 |
田井秀治 |
日本赤十字社和歌山県支部特別救護隊飛行分隊隊員
中川登志男 |
飛行の概要 |
1.認知 |
平成13年9月8日午前8時45分ごろ、和歌山県警察からの連絡による。 |
2.発生日時 |
平成13年9月8日午前8時30分ごろ |
3.発生場所 |
和歌山市六十谷118番地の2阪和モータース南方の紀ノ川主流 |
4.事案概要 |
前記日時場所において、岡山市に居住する26歳の男性が水上バイクで遊んでいたところ、エンジンが停止し、折から前日の豪雨による増水により流された新六筒井堰の支柱につかまって救助を待っているのを通行人等に発見され119番されたものである。 |
消防・警察が出動し救助活動を行ったが激流でボートでは被救助者に接近することができず、航空機の出動が必要となった。消防局は、直ちに防災ヘリを出動要請したが防災ヘリは、訓練により奈良県に出払っており現場到着に数時間かかるとのことで緊急を要することから当隊に連絡が入り緊急出動することとなった。 |
5.措置 |
日赤和歌山県支部に連絡すると共に、直ちに出動態勢をとり、事前に準備していた救助バック(長さ12メートルのロープ・浮き輪等)を携帯しテイク・オフした。 |
現場は、川幅約200メートルで激流により被救助者は、今にもつかまっている支柱を離し堰の下流に落ち込んでしまう状態にあり一刻もの時間的余裕がなかった。 |
天候は、晴れで約5ノット北風であり乗員2名であることからホバリングによりロープを垂らし被救助者にロープをつかまらせて上流の安全な位置まで移動させ消防救助隊員のボートに救出させる方法をとり実施した。 |
高度水面より約3メートルの位置からロープに垂らし、被救助者に搭載拡声器により指示して差し出したロープにつかまらせ上流に約20メートル移動させ、救助ボートにより救出したものである。 |
6.その他 |
航空局には、救出後、直ちに電話報告し、局の指示により緊急を要した理由書を添え事後の低空飛行許可を申請した。 |