「エアロンカ」 奥貫 博
エアロンカは、日本飛行連盟のシンボルマークにもなっていますように自由な小型機の原点を象徴する存在であると思います。2人乗り、65馬力のこの機体は、巡航速度90MPH、失速速度は35MPHと、のどかなものです。その性能は超軽量動力機にも劣るほどです。しかしながら、エアロンカは正規の耐空証明を有する航空機ですから、その気になれば、日本中どこへでも飛んで行くことが出来ます。立派な航空機なのです。
日本飛行連盟のシンボルマークとしておなじみのエアロンカ7AC JA3155
昭和40年代頃に親しまれたこのような練習用の機体は、やがて、セスナ150、パイパーチェロキー、セスナ17 2等の機体に置き換えられ、姿を消してしまうことになります。操縦訓練の過程にAD F、VORといった新しい機材が必要となり、それらを含む新しい操縦教育の内容に対応できなかった面があるのかもしれません。また、当時は、操縦訓練の需要が急増した時期でもありましたから、飛行クラブを運営する使用事業等としては、新しい飛行機をそろえることが必要でした。同じ投資をするなら使用事業にも使い勝手の良い4人乗り高翼のセスナ172等が選ばれたということなのでしょう。そのような流れは良く理解できるのですが、それが全てかと言いますと、少々寂しい気がしないでもありません。昨今は、手軽に空を楽しみたい人たちの間で、超軽量動力機が広まっています。こちらは、飛行機としてのライセンスも、機体の耐空証明も必要なく、一定の手続き申請で飛ぶことができます。単に空中に浮かぶための手段としましては、はるかに簡単なのです。しかしながら、飛行可能な高度と範囲はごく狭く限定されていまして、いわゆる、遠方へのナビゲーションなどは全く許可されません。それで、手軽ゆえ、コストも安いかと言えば、確かに単に飛ぶだけならば安いのですが、自分の機体を持ち、技量の向上と共に更新する等しますと、軽飛行機のライセンス取得をはるかに超えるお金を使っていることになりかねません。また、何年飛んでも、いくら最新式の機体を手に入れましても、狭い範囲から外へ出て行くことはできないのです。それに対し、エアロンカのような機体は、同じ場所からの離着陸が可能で、どこへでも飛んでいけるのですから楽しみの範囲も広がるという訳です。
空の楽しみ方は自由としましても、エアロンカのような機体は、こういった原点の空を楽しむには最適な存在であると思います。そのためには、勉強して、ライセンスを取得することも必要となりますが、それは、公共の空を飛ぶために必要なこととして割り切ることでしょう。車の免許取得の勉強と同じ事です。
その上で、安く、安全に飛びたいと思うなら、出来ることは全て自分たちで実行することです。可能ならば、整備士を仲間に引き込んで、整備可能な体制を整え、部品も証明付きのものを自分で買って来る等の手段も必要になるでしょう。
こうして、エアロンカのような耐空証明付きの機体を、自分たちで維持し、きちんと管理し、飛ばすことができるようになれば、飛行機の楽しみの世界が広がると共に、この日本の小型機の世界の底上げにも役立つような気がしてなりません。