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日本海の流れ、最近得られた多くの知見について
 
尹 宗煥(九州大学応用力学研究所)
 
 1991年のソ連邦崩壊による冷戦の終結から今年で丁度10年が経つ。冷戦の終結によって日本海周辺国による国際共同観測が可能になるなど、日本海の海洋循環の研究は以前と比べて格段に活発化し、この間、多くの新しい発見及び知見が得られたが、それらをすべて紹介することは難しいので、ここでは日本海の海洋循環を理解する上で重要なものに焦点を当てて紹介する。
「対馬暖流の第1,2分枝」
 古くから様々な説のあった対馬暖流の平均流路については3分枝説が有力になりつつある。ARGOSブイや直接測流等により200m以浅に束縛される沿岸分枝(第1分枝)の存在が確認され、第2分枝は日本沿岸沿いの大陸棚傾斜面(500m〜1000m深)に束縛される流れであることもわかってきた。図1に対馬暖流の第1、第2分枝の模式図が示される(Hase et al., 1999)。第1分枝、第2分枝とも海底の変化の激しいところに束縛される海底地形制御流である。しかし、模式図にあるような第2分枝の流路は長年の平均的な流路に過ぎず、時々刻々の流路は発達する不安定な渦によってその流路は乱れに乱れており、流路を特定するのさえ難しい。
 
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図1. 対馬暖流の第1、第2分枝の模式図(Hase et al., 1999). FBTWC、SBTWCはそれぞれ対馬暖流の第1分枝、第2分枝.








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