2.4.2 不良データの除去処理の検討
不良データとなる原因には、動揺、Heaveなどのほかに、センサーの形状に起因する音響ドップラー効果などが考えられる。
これらの不良データの状況を把握するためにマルチビームデータのクロスポイントにおける解析を実施した。
(1) マルチビームのクロスポイント評価
今年度実施した柱島南方海域で取得したデータを用い、マルチビームのクロスポイント評価を行った。評価は図52中に示す赤丸部分で実施した。赤丸部分は、2つの測線が交わり且つ沈船の影響を受けない部分である。赤丸部分と沈船の位置関係を図53に示す。
評価方法は、南北測線、東西測線各々で1mグリッドの水深ファイルを作成し、南北測線の水深ファイルと測線番号[16]のピングデータ、東西測線の水深ファイルと測線番号[3]のピングデータを比較する。南北測線の水深ファイルと測線番号[16]のピングデータのクロスポイントの比較結果と南北測線の水深ファイルで作成した20cmごとのカラー水深図を図54に、東西測線の水深ファイルと測線番号[3]のピングデータのクロスポイントの比較結果と東西測線の水深ファイルで作成した20cmごとのカラー水深図を図55に示す。この結果、図48に示す南北測線の水深ファイルは、測線番号[16]のピングデータに比べて、凹凸が大きくなっている。図54にも示すようにコンターに相当する色の分布が左右に振動するように表現されており南北方向の凹凸を確認することができる。図55に示すように一方東西測線の水深データでは、東西方向の凹凸の大きさが、測線番号[3]のピングデータとほぼ同等である。また、これらの比較結果からも南北測線で作成したグリッドデータは、南北方向の凹凸が生じている。これより、南北測線のデータで作成したグリッドファイルは、マルチビームの処理過程で生じたと考えられ修正が必要である。
南北測線のデータで作成したグリッドファイルに表示される櫛の歯状のパターンはは、実際の海底地形ではなく、動揺データ等による補正不足である。
表23. SeaBat8125データ
測線番号 |
ファイル名 |
収録開始時刻 |
収録終了時刻 |
進行方向 |
[1] |
001_1249.HSX |
12:49:01 |
12:52:04 |
南から北 |
[2] |
003_1253.HSX |
12:53:37 |
12:56:36 |
北から南 |
[3] |
005_1257.HSX |
12:57:53 |
13:00:54 |
南から北 |
[4] |
007_1302.HSX |
13:02:32 |
13:05:20 |
北から南 |
[5] |
009_1306.HSX |
13:06:54 |
13:09:49 |
南から北 |
[6] |
011_1311.HSX |
13:11:15 |
13:14:07 |
北から南 |
[7] |
010_1329.HSX |
13:29:40 |
13:32:45 |
北から南 |
[8] |
013_1334.HSX |
13:34:04 |
13:37:13 |
南から北 |
[9] |
015_1338.HSX |
13:38:50 |
13:41:44 |
北から南 |
[10] |
017_1342.HSX |
13:42:46 |
13:45:46 |
南から北 |
[11] |
008A1347.HSX |
13:47:59 |
13:51:03 |
北から南 |
[12] |
004_1356.HSX |
13:56:31 |
13:58:58 |
西から東 |
[13] |
006_1400.HSX |
14:00:27 |
14:02:22 |
東から西 |
[14] |
008_1404.HSX |
14:04:06 |
14:05:59 |
西から東 |
[15] |
010_1407.HSX |
14:07:08 |
14:08:50 |
東から西 |
[16] |
012_1410.HSX |
14:10:12 |
14:11:46 |
西から東 |
図52. 解析地点位置
図53. 東西測線のデータから作成した水深図。(間隔:1m)
(拡大画面: 63 KB)
図54. 南北方向のグリッドデータと測線番号[16]データのクロスポイントの比較と南北方向のグリッドデータで作成したカラー水深図
(拡大画面: 63 KB)
図55. 東西方向のグリッドデータと測線番号[3]データのクロスポイントの比較と東西方向のグリッドデータで作成したカラー水深図