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測線B−2 北山田駐車場北 
淡海財団植栽群落(消波なし)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は332本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で54.3本/m2であった。平均形状は、茎高か208.4cm、草丈か238.1cm、茎径が7.4mmであった。茎密度、平均形状は全地区総平均及びB地区平均と比べてやや大きい。1m2あたりの平均湿重量は2081g、乾重量は1039g、ヨシ1本あたりの平均湿重量は35.7g、乾重量は17.3gであり、全地区総平均値(湿重量1506g/m2、29.9g/本、乾重量665g/m2、12.7g/本)に比べて大きな重量となった。
 測線の断面変化をみると、ヨシの生育は基点付近から沖合45m付近まで認められたが、24〜29m区間では分布がまばらであった。39.4m地点では312本/m2という最大の密度が計測されたが、これは株立ち状のヨシをカウントしたことによるものである。
植生の概況
 岸は石畳である。岸から沖へ向けて、ヨシ優占区間が続く。一部にアメリカセンダングサ、メヒシバ、タカサブロウそれぞれの優占区間が挟まっている。沖のヨシは株立ち状であった。
地形・土質の概況
 基点杭までは石畳である。汀線は南南西に向いており、湖底地形の縦断面形状は、22mまではほぼ平坦面(15m地点に微凹地、22m地点に微高地)、それより沖合は凹形斜面であった。
 遷急点は22m付近にあり、この点を境にして、湖底の勾配はほぼ水平→4.8°に変化した。また、遷緩点は37m付近にあり、湖底の勾配は4.8°→1.4°に変化した。
 湖底堆積物の土質は、28m付近までは「砂」、それより沖合は表層が「砂」、下層が「シルト」であった。湖底堆積物の硬さは、28m付近までの「砂」層の表層(深度0〜0.2m)では「軟らかい〜硬い」、下層(深度0.2〜0.6m)では「硬い」であり、それより沖合の「砂」層では「軟らかい〜硬い」、「シルト」層では「非常に軟らかい〜中位の」であった。
 湖底堆積物の厚さは、25m地点から沖合に向かって徐々に厚くなる傾向がある見られた。
 10.0m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.25m、土質「砂」、硬さ「中位の〜硬い」であり、32.7m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.50m、土質「砂」、硬さ「中位の〜硬い」であった。
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量、全窒素及び全リンが若干減少し、IL/N比が上昇する傾向がみられたが、その変化量はわずかでありほぼ一定の底質環境であった。このことより、本測線では沖側において有機物の供給速度が若干少なく、分解速度も遅いことが示唆されたが、その差異はわずかであると考えられた。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、陸側では好気的(+319mV)であるが、沖側では−28mVと陸側に比べるとやや嫌気的な傾向(嫌気的とは言えないレベル)であった。硫化物は沖側が低く、継続的に嫌気的になるような環境ではないと考えられた。また、粒度分布は陸〜沖間の差異は明確では無かった。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、ヨシ帯内よりも強熱減量、全窒素及び全リンが大きい値を示しており、有機物の堆積が進んでいる状況であった。また、粒度分布では、ヨシ帯内より粒径が小さく0.25mm未満の粒径により約96%が構成されており、両者に共通する粒径範囲がほとんど見られなかった。このことにより、ヨシ帯内と外の底質が全く異なる由来を持つ(おそらくはヨシ帯内に覆砂された)可能性があると推測される。
 本測線の底質の状況について相対的に比較すると、ヨシ帯内では陸側から沖に向けてほぼ一定の底質環境であるが、沖合ではヨシ帯より多くの有機物を含み、ヨシ帯内とは性質が大きく異なる底質であった。
 
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図3.4.13 B−2測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.14 B−2測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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