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測線A−2 山寺川南 
水資源公団植栽群落(消波なし)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は458本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で79.0本/m2であった。平均形状は、平均茎高が150.3cm、平均草丈が177.8cm、平均茎径が3.2mmであり、平均形状は小さく、細いヨシが多数を占めていた。1m2あたりの平均湿重量は1327g、乾重量は652g、ヨシ1本あたりの平均湿重量は18.8g、乾重量は8.5gであり、特に1本あたりの重量は全地区総平均、A地区平均を大きく下回る値であった。
 測線の断面変化では、基点から6〜28.6mの間にヨシの生育するコドラートが存在し、茎個体数密度が50本/m2を超えるコドラートが大半を占めた。特に14.0m地点と25.0〜26.7m地点では、密度が100本/m2を上回り、26.7m地点ではA地区最大の224本/m2が計測された。草丈及び茎径は陸域から沖域にかけてわずかに増加する傾向が見られたが、全般に変化は小さかった。
植生の概況
 岸は石畳であり、ヘクソカズラが散見されるほどでほとんど無植生である。岸から沖へ向けて、ヨシは連続して高密度で分布しているが、立地の段差から、27m付近より沖側は急に密度が低くなり、ウキヤガラが優占するようになる。ヨシ群落内の混生種はアメリカセンダングサ・シロネ等が顕著であった。
地形・土質の概況
 基点杭から2.4mまでは石畳である。汀線は西に向いており、湖底地形の縦断面形状は、20mまでは平坦面、それより沖合は直線斜面であった。36m付近と42m付近に局所的微高地がある。
 遷急点は20m付近にあり、この点を境にして湖底の勾配は水平→5.7°に変化している。
 湖底堆積物の土質は、平坦面部では「砂+シルト」、直線斜面部では表層が「砂+礫」、下層が「砂+シルト」であった。
 湖底堆積物の硬さは、平坦面部の「砂+シルト」層では「硬い」であり、直線斜面部の「砂+礫」層では「中位の〜硬い」、「砂+シルト」層では「軟らかい〜硬い」であった。
 6.0m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.25m、土質「砂+シルト」、硬さ「硬い」であり、26.7m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.25m、土質「砂+シルト」、硬さ「硬い」であった。
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量、全窒素お及び全リンが増加傾向を示し、沖側では有機物の供給が相対的に盛んであると考えられる。また、IL/N比は、ヨシ帯内では沖側で若干低くなっており、本測線では沖側において有機物の無機化がやや進行していると考えられた。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、陸側では好気的(+377mV)であるか、沖側では−116mVと陸側に比べるとやや嫌気的な傾向であった。また、粒度分布では沖側においてシルト質の増加が見られた。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、全体としてヨシ帯沖側と類似した傾向を示していたが、ヨシ帯内沖側と比べて強熱減量と全リンが若干増加し、IL/N比が大きくなる傾向がみられた。また、粒度分布では、ヨシ帯内の沖側地点と比べてシルト質〜細砂の割合が若干高くなる傾向がみられた。これらのことより、沖合の調査地点ではヨシ帯内に比べて有機物の堆積速度が早いか分解速度が遅いと考えられる。
 本測線では、陸側から沖に向けて有機物が堆積しやすい傾向があり、この傾向が沖合まで連続しているものと推察された。
 
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図3.4.4 A−2測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.5 A−2測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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