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 各地区には他植物がほとんど存在しないヨシの純群落のコドラートが、それぞれA地区に11、B地区に18、C地区に9、D地区に4、E地区に5存在した。A、B、Eの3地区では、ヨシの存在しない他植物のみのコドラート数がこれと同数程度(A地区13、B地区13、E地区3)であったが、C地区は他植物のみのコドラートが著しく多く、全48のコドラートのうち29(約6割)を占めた。A、B、E地区ではヨシと他植物の混生コドラートが相対的に多く、それぞれ29、21、14が混生群落であった。また、D地区では混生コドラートと他植物のみのコドラートが同数(20)であった。
 出現種数についてみると、全コドラートにおいてヨシを含め計62種の陸生及び抽水性の草本植物が出現した。地区別にはA地区が28種で最も多く、次いでB地区とE地区がこれとほぼ同数の27種であり、C地区のみ10種と少ない結果であった。C地区では、比較的限られたヨシ以外の特定の植物が優占的に生育する傾向のあることがうかがえた。
 図3.3.2は、調査で出現の見られたヨシ以外の草本植物種について、全地区を通じて出現の多いものから順に並べた上で、調査地区ごとの出現頻度を比較したものである。
 
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図3.3.2 ヨシ以外の各草本植物種の出現頻度(出現延ベコドラート数)
 
 全地区を通じて見ると、アメリカセンダングサの出現が最も多く72コドラートで、次いでチクゴスズメノヒエが多く63コドラートで見られた。後者については別に同属のキシュウスズメノヒエの存在したコドラートが8あることから、両種をスズメノヒエとしてまとめると71コドラートとなり、アメリカセンダングサとほぼ同数となる。これらに続いてシロネが46コドラートで見られた。このほか、マコモ、アレチウリ、オオイヌタデ、メヒシバの4種は出現頻度が20以上を数えた。
 地区別にみると、A地区ではアメリカセンダングサ、シロネ、マコモが相対的に多く、かつこれらがヨシと混生しているケースが大半を占めた。
 B地区はアメリカセンダングサの出現頻度が突出して高く、全57コドラートのうちのほぼ半数にあたる28コドラートで出現した。また、この約6割がヨシと同所的に出現した。当地区ではこのほかメヒシバがこれに次ぐ13コドラートで見られた。
 C地区はチクゴスズメノヒエの出現頻度が特に高く、全48コドラートのうちの7割地区にのぼる33コドラートで確認された。このほか、シロネ、アレチウリ、オオイヌタデなどの出現が多く、かつその大半がヨシと混生しないコドラートであり、少数の種が優占的に出現する傾向が見られた。
 D地区もチクゴスズメノヒエが多く、全44コドラートの6割強にあたる28コドラートで出現した。また、D地区ではヨシの存在しないコドラートで多種が幅広く出現する傾向が見られた。
 E地区はアメリカセンダングサとキシュウスズメノヒエがやや多い程度で、他はまばらであった。大半がヨシに混じって生育が見られた。なお、キシュウスズメノヒエが見られたのは当地区のみであり、他地区で出現したスズメノヒエは全てチクゴスズメノヒエであった。








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