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3.2 現地調査の内容と方法
(1)調査コドラートの設置
 各調査測線の断面地形を踏まえ、各測線断面上でB.S.L.標高10cm高低差の地点を基本として調査コドラートを設定・設置した。調査コドラートは代表地点としての1mコドラートと、補助地点としての50cmコドラートの2とおりを設置した。
i)1mコドラート(代表地点)
 各測線の10cm高低差地点のうち、ヨシ等の植生帯内に位置する「湖岸寄り、中央、沖寄り」の計3カ所を代表地点とし、それぞれ1m×1mのコドラート(方形調査枠)を設置した。
ii)50cmコドラート(補助地点)
 代表地点以外の10cm高低差の地点を補助地点とし、50cm×50cmのコドラートを設置した。
(2)現地調査の項目、地点及び方法
 現地調査は、植生調査、ヨシの形状等の測定、地形・地質調査、底質等調査、その他の大きく5項目について実施した。
[1]植生調査
 各調査測線周辺について、植生の全般的概況を記録した。また、原則全コドラートについて、コドラート内の植生を低木層、草本第1層、草本第2層に区分し、生育するヨシその他の植物の種組成、被度・群度を記録した。
 
被度: 各植物を地表に投影したときの調査地点に占める割合。ごく僅かを「+」それ以上を「1〜5」の5段階で表す。
群度: 各植物の調査地点における繁茂状態。「1〜5」の5段階で表す。
 
◆植生調査地点
 全コドラート(1m、50cmとも)…ただし無植生地を除く
[2]ヨシの形状等の測定
 コドラート内に生育するヨシについて、次の測定を実施した。
 ・ヨシ茎数
 ・茎高(第一葉始点までの高さ)
 ・草丈(最高点の高さ)
 ・茎径(地上高50cmの位置または茎高がそれに満たない場合は1/2茎高の位置)
 ・湿重量・乾重量(各コドラート内の任意のヨシ代表サンプルによる測定)
◆ヨシの形状等測定地点
 全コドラート(1m、50cmとも)…ただしヨシ存在コドラートのみ
[3]地形・地質調査
 原則全コドラートについて地盤硬度の測定を実施するとともに、この結果と次項の底泥柱状サンプル、ならびに断面地形測量結果をもとに、各測線の地形・地質の特性を概略把握した。
◆地盤硬度測定方法
 ポータブルコーン貫入試験方法(地盤工学会基準JGS1431−1995)に準拠した。当基準(JGS)では、単管式と二重管式の2種類のポータブルコーンペネトロメーターのいずれかを試験に用いることとされており、単管式は、ロッドの周面摩擦が影響するため適用深さは3〜5m程度まで、それ以上の深さで試験する場合には二重管式を用いることとされている。今回の測定は表層部が対象であることから、単管式を用いた。なお、測定深度は体重約70kgの調査員が全体重をかけてもそれ以上貫入しない深さまでとした。
◆地盤硬度測定地点
 全コドラート(1m、50cmとも)…ただし石畳の地点を除く
[4]底質等調査
 各測線の3〜4箇所で底泥の柱状採取を行い、地表下50cm付近の底泥を試料として持ち帰り、底質等の室内分析を行った。
◆底泥採取方法
 底泥の採取には原則として口径80mm、長さ1.5mのステンレス柱状採泥器(コアサンプラー)を用い、これを地中に貫入してコア状の底泥試料を採取した。ただし、底泥が硬く、サンプラーが貫入できない地点ではスコップにより掘り下げ採取した。
◆底質等分析の項目及び方法
 粒度組成:JISA−1204に準ずる方法
 強熱減量、硫化物、全リン、含水率:環境庁「底質調査方法」
 pH:JISK0102−12.1に準拠する方法
 全窒素:CHNコーダーによる計測
 酸化還元電位:ORP法
◆底泥採取地点
 原則として、各測線とも代表調査地点(1mコドラート)のうち、湖岸寄りと沖寄りの2地点、ならびに植生帯の外側(沖)1地点の計3地点とした。
 ただし、A−3及びE−3測線では、ヨシ帯内中央の1mコドラート地点を追加してそれぞれ計4地点とした。
[5]その他(DO分析)
 調査時点で植生帯内の沖側代表調査地点に滞水が見られた場合は、参考的にその表層水を採取し、溶存酸素量(DO)を分析した(現地でDO固定を行って持ち帰りの室内分析した)。分析方法はJIS K0102−32に準拠した。
◆DO分析地点
 各測線の植生帯の内部でかつ沖寄りの1mコドラート1箇所…ただし、滞水していない場合を除く
(3)調査地点数及び位置
 設置したコドラート数と各現地調査地点数を表3.2.1に、また、各測線断面地形図上でのこれら調査地点の位置を図3.2.1〜図3.2.5に示す。
 測量地盤高及び現地の状況を踏まえて設定したコドラート数は、1mコドラートがA〜E地区の16測線に各3カ所ずつで計48地点、50cmコドラートが、A地区52、B地区48、C地区39、D地区35、E地区13の計187地点であり、1mと50cmを合わせたコドラートの合計総数は235地点となった。E地区は地形勾配がなだらかなため、コドラート数が少ない結果となった。
 全235コドラートのうち、現地調査にてヨシが存在したコドラートは142であり、ヨシの形状等の測定はこれらのコドラートについて実施した。
 ヨシが存在しなかったコドラートのうち、陸域のものは地盤がコンクリートブロックとなっている箇所や他植物に覆われている箇所であった。一方、沖域でヨシが存在しなかったコドラートには、急勾配の箇所や株立ちの箇所などが見られた。また、他植物の繁茂が著しい区画では、水生植生帯の内部においてもヨシ茎の見られない場合があった。
 植生調査はヨシが存在していない場合でも他植物が生育しているコドラートは対象に含めたことから、全219力所について実施した。
 地盤硬度の測定は石積みで計測不可能であったコドラートを除き、全203カ所について実施した。
 底泥採取はA−3及びE−3測線では4、他の14測線では各3の計50カ所とした。
 DO分析は、結果として現地調査当日に植生内に滞水の見られなかったB−3、C−2、E−1〜3測線を除く11測線(11地点)で実施した。
(4)現地調査日程
 現地調査は、表3.2.2に示す日程で実施した。
表3.2.1 各調査測線別の調査地点(コドラート)の数
調査地区 測線 設置コドラード数 ヨシ存在コドラード
(ヨシ形質測定)
ヨシ無し
コドラート
植生調査地点 地盤硬度測定地点
(*)
底質調査地点
(*)
DO分析
総数 1m 50cm 総数 1m 50cm
A.
南山田
A-1 15 3 12 10 3 7 5 14 13 3 1
A-2 18 3 15 11 3 8 7 13 14 3 1
A-3 16 3 13 10 2 8 6 16 17 4 1
A-4 15 3 12 9 3 6 6 10 14 3 1
B.
北山田
B-1 19 3 16 17 3 14 2 19 18 3 1
B-2 20 3 17 16 3 13 4 19 21 3 0
B-3 18 3 15 6 3 3 12 14 16 3 1
C.
木浜
C-1 14 3 11 3 3 0 11 14 5 3 1
C-2 15 3 12 5 3 2 10 15 7 3 0
C-3 19 3 16 11 3 8 8 19 11 3 1
D.
近江八幡
D-1 10 3 7 7 3 4 3 10 11 3 1
D-2 16 3 13 6 3 3 10 16 12 3 1
D-3 18 3 15 11 3 8 7 18 19 3 1
E.
今津
E-1 8 3 5 7 3 4 1 8 9 3 0
E-2 8 3 5 8 3 5 0 8 9 3 0
E-3 6 3 3 5 3 2 1 6 7 4 0
235 48 187 142 47 95 93 219 203 50 11
注)*:各測線の地盤硬度測定地点及び底質調査地点のうちそれぞれ1カ所は植生帯の外側(沖)に位置する地点であり、コドラート数に含まれない地点。
表3.2.2 現地調査日程及び調査項目・調査場所
現地調査実施日 当日琵琶湖水位 調査項目 調査地区・測線
2001(H13)年
   8月20日
B.S.L.-56cm 植生、ヨシの形状等 D地区(D-2、D-3)、E地区全測線
底泥・地質(硬度、採取) D地区全測線、E地区全測線
   8月21日 B.S.L.-57cm 植生、ヨシの形状等 B地区全測線、C地区全測線
   8月24日 B.S.L.-13cm 底泥・地質(硬度、採取) A地区(A-4)、C地区全測線
   8月30日 B.S.L.-23cm 植生、ヨシの形状等 A地区全測線
底泥・地質(硬度、採取) A地区(A-1〜A-3)、B地区全測線
   9月4日 B.S.L.-26cm 植生、ヨシの形状等 D地区(D-1)








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