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海や川を汚す原因
 海を汚す原因としては、油によるもの、油以外のもの、赤潮などがあります。油による汚染は船舶からの油廃棄物が多いのですが、最近では減少しつつあります。また、漂流や漂着物の70%が発泡スチロールやビニールなどの石油化学製品です。油以外の汚染や赤潮などの原因の大半が陸上にあって、川から海へ流れ込んでいるのです。
 今、川や海で問題になっているのは有機物による汚れです。有機物は炭水化物や脂肪、蛋白質など生物の栄養源となるものですが、たくさん流れ込むと川は汚れて黒く濁り、悪臭を放つようになります。川には川自身がきれいにする自浄作用がありますが、汚れが多くなって水の中の酸素がなくなると、汚れを食べてくれる好気性微生物も生きられなくなって自浄作用が働らかなくなります。これにかわって酸素がなくても生きる嫌気性微生物が増えて汚れを食べるようになるのですが、この時、硫化水素やメタンガスなどを発生し、魚の住めない汚れた川となって、そして海も汚します。
 では、川や海を汚しているのは何なのでしょうか。工場などの排水が汚していると思われがちですが、実は、わたしたちの生活から出る生活排水が汚れの大きな原因なのです。
 生活排水とは、台所、トイレ、風呂、洗たくなどの日常生活からの排水のことで、この中からトイレの排水を除いたものを生活雑排水といいます。トイレからの排水は処理されないで川や海に流れ込むことはまずありませんが、生活雑排水は下水道が普及していない地域では、処理されないで川や海に流れ込みます。
もし、これだけのものを水に流したら
魚が住める水質(BOD5mg/l)にするために必要な水の量は
…風呂おけ(300l)何杯分?
 
(国立環境研究所調べ)
BOD: 生物化学的酸素要求量、微生物が有機物を食べるときに必要な酸素の量で汚れの度合いを表わす。数字が大きいほど汚れていることを示し、魚が生息できるBOD濃度は5mg/l以下、悪臭が発生し始める濃度は10mg/lといわれている。








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